日ノ本の歴史 始まりの話

Ittoh

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幕間1 日ノ本「黒歴史」

幕間の3 「黒歴史」を記述せず・・・

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 まぁ、困ったことに、描くに難しい“仁義なき戦い”の時代が、弥生から古墳にかけて、日ノ本で起きた時代ということになります。倭国大乱とは、縄文晩期に勢力を拡大し、確立されていった血族国家、ヤマト王国が、外征征伐、内乱抗争、後継紛争の中で、連合王国を形成していった部分のことが、一般的な歴史書となります。

 お爺ぃの定義する「倭国大乱」では、最初でしかありません。

 本当の「倭国大乱」は、陸奥から薩摩までの国府設置、国分寺建立までという、「国号・国体」の確立をもって、最終的に終焉したと定義します。つまりは、それまでの日本は、「倭国大乱」の時代ということになります。聖武天皇の時に、名実ともに、日本統一が完成したことになります。
 前段として発生していた、戦乱と暗闘、暗殺、闇討ちに騙し討ちと、なんでもありの殺伐とした抗争の歴史は、「黒歴史」として、日本史では封印されています。



 実質的な日本建国は、聖武天皇の時代であり、孝謙天皇から称徳天皇の世代に確立し、桓武天皇の時代に完成したと言えます。



 千年を超えて「倭国大乱」を纏め上げ、千年を超えて「日本国」を継続す。先人の偉大な事績でありますが、なかなかに記述が難しい歴史でもあります。どこにも真実は無く、真実の欠片が散りばめられた、「暗黒史」、真実の欠片を混ぜて紡いだ、神話伝承の記述を持って、「暗黒史」を封印した先人達の気持ちが理解できます。
 これは、各地の口伝伝承についても、同じことなのです。「風土記」の中へ、様々な地域伝承が封印されたのも、「暗黒史」を封印するための作業でもあったのです。

 今も残る、民間の神話伝承は、封印の歴史に埋め込まれた真実の欠片となります。
 しかしながら、欠片を解いただけでは、「暗黒史」を語ることはできません。そういった意味では、「暗黒史」は不明なままなのです。



 お爺ぃからは、「暗黒史」は「迂闊に語るべからず」と文言を添えます。正直に言えば、おそらくは、誰も幸せにならない歴史なのです。



 お爺ぃが、歴史学者という目標を捨てたのは、調べれば調べる程に、日本の歴史とは、記述していくのに難しい壁が次から次へと立ち塞がっていくのです。最近は、興味本位で調べて記述される方も多く、お爺ぃとしては、「マギレ」が増えるのは良いことだとは思います。乱暴な言い方をすれば、真実の欠片を持って語ることで、真実の欠片は「闇」へと消えていくです。





 お爺ぃの描く、宵闇もまた、真実の欠片を持って紡ぐ「マギレ」なのです。



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