日ノ本の歴史 始まりの話

Ittoh

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古代の終焉、中世の日ノ本

日ノ本の中世 第四話 隔離されるモノは、必然として登場する

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 お爺ぃは、妖怪あやかしという存在に、あやかしひとならざるものというルビを振って小説を書いたのは、日本国内で隔離され差別されたとされるモノ達を描くためでもありました。
 歴史の中で、庶民と呼ばれる里人さとんちゅう達にとって、隔離すべき相手であったからです。里人さとんちゅうの支配体制下で、「黒歴史」を伝えるモノ達で在り、征伐の対象となったモノ達です。

 最初に登場するのは、おにです。「国号・国体」が確立する過程で滅ぼされたもの、追われたものの末裔、「まつろわぬ」モノ達が、おにと称される存在になります。おには征伐の対象であり、退治されるモノ達です。彼らは、人ではありませんので、殺しても、罪にならないのです。
 神話伝承の時代から、平安、鎌倉、室町、江戸に至るまで、おにの存在は、神話伝承として残されています。





 次に登場するあやかしひとならざるものは、神域を護るモノです。
 山伏に代表される、山岳を霊域として、山岳信仰を祀るモノ。山幸彦に端を発する、山人やまんちゅうです。後の世には、忍者という形でも、有名にもなります。サンカとも呼ばれるモノ達です。
 漁師に代表される、海原を霊域として、海神信仰を祀るモノ。海幸彦に端を発する、海人うみんちゅうです。後の世には、海賊とも呼ばれ、海の武士団ともなっていきます。安土桃山から江戸期には、塩飽諸島の人名に代表される、領地無き領主ラントレス・クランナーと称されます。
 彼らの存在は、里人さとんちゅうにとっては、禁忌でもありました。
 畿内ヤマトにとって、日向ひむかに代表される山岳の霊域は、かつての祖霊の地でありました。さらに言えば、畿内ヤマトが勢力を拡大していく中で、血族へと組み入れていった者達の多くも山岳民族であったのです。
 海洋民族である海人うみんちゅうもまた、畿内ヤマトにとっては、禁忌でありました。婚姻の契りを交わし、南方より稲をもたらし、大陸から銅や鉄を伝承し、広大な大海原を神域とする海人うみんちゅうは、物流の担い手としてなくてはならないモノ達でもありました。塩飽諸島に人名と呼ばれる、領地を持たない領主ラントレス・クランナー達が住んでいたように、海を住処とする海人うみんちゅうにとっての陸地は、仮初かりそめの住処ということになります。
 土地を持たない民というのは、公地公民にとって、矛盾する民なのです。土地に住む民が、一天万乗の大君に「まつろう民」となりますが、土地に住まない民は「まつろう必要が無い民」ということになります。つまりは、大君に対して、「まつろう」ことを選べる民です。
 統治政策を進めるには、非常に厄介な存在となります。





 最後に登場するあやかしひとならざるものは、カワラモノと呼ばれるモノ達です。
 カワラモノは、文化が発展していく、平安期になって生まれます。

 今でも、カワラモノの隔離された居留地の痕跡は、電車に乗って見かけることができます。

 電車が川を渡る時、人の居住地域を護るための堤防があって、何故か内側に存在する畑や家は、何故、そこに建っているのでしょうか。何故、そのような場所でなければ、住処とすることができない人が居たのでしょうか?

 それこそが、カワラモノと呼ばれるモノ達の発生理由であったのです。言ってみれば、奈良、平安時代のホームレスが集まる場所が、カワラモノと呼ばれるモノ達が集まる場所となったのです。里人さとんちゅうにとっては、川岸に住み着いた、良く分からないモノ達ということになります。





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 こういった禁忌と隔離地域の形成は、法的には記載されることの無く、明文化されることすらほとんどありません。しかしながら、現実に存在するのです。

 日ノ本を治めて、里人さとんちゅうの頂点となる主上おかみが、山岳と河川、海洋という地域を隔離したのは、頻繁に発生する自然災害の多くが、山岳、河川、海洋に要因があったからです。木を伐り過ぎれば、山は崩れ河川は氾濫する、地震津波は海岸に大規模な災害となる。山の怒りが噴火となって表れるのは、海底の山にも存在する。

 海や山の怒りを恐れ、神域として規定することで、里人さとんちゅうにとっての禁忌とした。山を管理するのを、山人やまんちゅうに任せて、海を往くのを海人うみんちゅうに任せるのは、神々の怒りを恐れる里人さとんちゅうの知恵でもありました。
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