Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

文字の大きさ
206 / 412

4人の帰路 シルさんとクジョウ君

しおりを挟む
 俺達は、『始まりの町』に帰るために歩きながら話をしている。
 それにしても、今のところ、4分の3か。
 シルさんって、生産職の知り合いが多いんだな。
 と言うことは、最後のクジョウ君に関しても期待が持てるな。
 俺は、どうせクジョウ君とも知り合いなんでしょう? と思いながら、シルさんに聞いた。

「最後に、クジョウ君は知ってる?」

 ここで、シルさんが聞き返して、ローズが詳細を説明すれば、いつもの流れだ。
 結論はその後になるだろう。
 ここはとりあえず、おなじみの流れを待つとしよう。
 そう思っていると、シルさんはすぐにピンと来て、驚いたような声を上げていった。

「クジョウ君……あぁ、あのスパーヘルパーのクジョウさんか!」

 まさかここで確定されるとは思ってもいなかった。
 今まで4回、4怪異ともここで聞き返していたのだ。
 知り合いではないけんけんぱさんの時もここで一度聞き返していた。
 だから、すぐに結果が出るとはみじんも思っていなかった。
 完全に油断していたところに、予想外のことを言われたので面食らってしまった。
 俺が面食らって何も言えなくなっている間に、コルドが言った。

「知ってるのか?!」

 俺もそれぐらい驚いている。
 いや、まだ声を出せないぐらい驚いている俺の方がより驚いているのかもしれないな。
 まさか、あそこでピンとくるとは思わなかったな。
 いつもの流れになるものだと思っていた。
 俺は驚きから解放されてだんだんと冷静になってきた。
 あの反応と言うことは、少なくとも、クジョウ君について知っている。
 あれだけ大きな反応をしたと言うことは、知っているだけではないだろう。
 と言うことは、知り合いである可能性が高い。
 というか、もうほとんど知り合いで確定だろう。
 そう思っていると、冷静にローズが言った。

「同じクジョウさんを言っているのか確認するために詳細を言うわね。クジョウさんは、男性のプレイヤーよ。職業はクラフターで、見た目的には、私たちより年下っぽいわね」

 そうだな。人違いの可能性があるし、詳細説明は必要だな。
 いつも通り簡潔でわかりやすい説明をしたローズ。
 ローズの説明を聞いたシルさんはうんうんと何度も頷いた。
 この反応から、人違いではなさそうだな。
 シルさんは、一呼吸置いてから言った。

「そのクジョウさんで合っているはずだよ。あ、言い忘れていたけど、クジョウさんとは知り合いだよ。いろんなところで彼の商品を買ってたからね。それで何度か話したこともあるよ。今までの知り合いと同じぐらいの知り合いだよ」

 よし! これで5分の4か。
 元々の知り合いがこんだけいれば、シルさんは、すぐにでもクランになじむだろうな。
 それに、残りのメンバーもシルさんと対立するようなことはないだろうし、シルさんはすぐにでもクランに溶け込むだろうな。
 すぐにでも全メンバーとフレンドになるだろうな。
 早ければ今日にでも。
 そして、いつの間にか生産とかに手を出しているだろうな。
 俺は、気になったことをそのまま聞いた。

「今までのメンバーと違って、そんなすぐピンとくるぐらい有名なの?」

 今までの4人と違ってすぐにピンときたと言うことは、それだけ有名だったという事じゃないだろうか?
 シルさんは、俺の発言をうんうん頷きながら聞いて、1拍おいた後、少し興奮気味に答えた。

「クジョウさんは、今までのメンバーの中で一番有名だよ。クラフターという職業の中で、一番優秀な人で、人手が足りない生産職のところに手伝いに行って、どこでも一線級の活躍をしていたんだよ」

 へぇ、そんな有名だったんだ。
 人材不足だから、ただでさえどの生産職の人も有名だった中でさらに抜けて有名だったのか。
 かなりすごい人材がクランに入ってくれたって事なのかな?
 こんなβテスターですらないようなプレイヤーの道楽クランに。
 ありがたや。ありがたや。
 もちろん有名だからとか、有名じゃないからとかにかかわらず、クランに入ってくれた全てのメンバーには感謝しかないな。
 改めて、ありがたや。ありがたや。
 クジョウ君って、いろんなところにヘルプに入っていたんだな。
 確かに、どの生産職の仕事も出来るって言ってたし、どこも需要過多で大変な中でいろんな現場にヘルプに出ていたら、それは有名になるな。
 それに、どの現場でもちゃんと活躍をしていたのならなおさら。
 コルドは、クジョウ君を尊敬するようなキラキラとしたまなざしで言った。

「そんなすごい人だったんだな!」

 俺も知らなかったから大分驚いたな。
 挨拶とかで、スーパーヘルパーしてましたクジョウですとか言ってくれたら良かったのにな。
 そうじゃなきゃ過去のことなんか分からないよな。
 ローズは感心したような声色で言った。

「だから、スーパーヘルパーなのね」

 めっちゃすごいヘルパーで、スーパーヘルパーなんだな。
 とてもそのままのネーミングだな。
 もうちょっとひねっても良かったんじゃないかな?
 いや、ひねると相手に伝わらない可能性が高くなるから、これぐらいまっすぐな二つ名の方が良いのかな?
 と言うか、二つ名ってどうやって授けられるのも何だ?
 称号みたいにシステム側がくれるのかな?
 クランの称号みたいに、もらった二つ名が名前の前についたのかな。
 もしくは、自称なのかな?
 クジョウ君なら、βテスターの時は厨二病だったんだよと言われてもそこまで驚かないな。
 そっとしておいてあげたくなるな。
 もしくは、周りが名付けたパターンもあるのか。
 それが自然と広まっていった可能性があるな。
 もしくは、シルさんの周りだけその二つ名で読んでいただけの可能性も十分あるな。
 俺は気になったので、シルさんに聞いてみることにした。

「二つ名みたいなのって、他称? 自称? APOのシステムからつけられたもの?」

 シルさんは、あぁ、その話ねみたいな反応をした後にすぐに説明してくれた。

「周りの人たちが勝手に言っててそのまま定着した二つ名だよ」

 へぇ、周りが言ったが正解だったか。
 1番最初に思いつけなかったな。
 ちょっと悔しい。
 前半にぼけるのではなくて、真剣に考えていればたどり着けた気がする。
 それもまた悔しいな。
 コルドは、感心したような、シルさんを褒めるようなテンションで言った。

「そうなんだな! 兄貴は、生産職の人に関して詳しいな!」

 それは思った。
 こんなに詳しいものなのかな?
 もしかして、大体のβテスターはこれぐらい詳しいのかな?
 もしくは、シルさんの知り合いが生産職の人に偏っているのかな?
 気になるな。
 コルド、ナイスクエスチョン。
 シルさんは、軽く言った。

「そこまででもないよ。まぁでも、生産職の人と関わる機会って多いからね。多少は情報が入ってくるんだよ」

 俺はうんうんと頷きつつ言った。

「やっぱりそうなんだな」

 シルさんは、豆知識を披露するようなテンションで言った。

「それに案外同業者の方が関わりが薄いんだよね」

 同業者の方が薄いんだな。
 へぇ、知らなかったな。
 何でだろう?
 狩りの場所の情報共有とかしていそうだけど。
 まぁ、俺達はそういうことは一切やってないけどな。身内以外では。
 ローズは、へぇと言いたげな顔をして言った。

「そうなのね。意外だわ」

 俺も意外だった。
 シルさんは追加で説明するように言った。

「一緒に狩りをするとか、パーティーを組むとか、同じクランになるぐらいでしか関わらないからね」

 確かにそうだな。
 同業者は、それすなわち、競合他社、競争相手。
 簡単に手の内を明かさないし、なれ合わない。そもそも、関わる機会がないと言うことなのかな。
 なんとなくそんな気がするな。
 俺はそんなことを考えながら言った。

「そう考えると、生産職は取引とか、護衛とか関わる機会が多いんだな」

 シルさんは俺の発言をうんうんと頷きながら聞いた後に言った。

「そうだね。だから大体の生産職の人とは面識があるんだよね」

 そういうことだったのか。
 はぁ、なんか納得いったな。
 話が収束に向かっているのを察したのか、コルドが締めの言葉のテンションで言った。

「やっぱり、世間って思ったより狭いんだな!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...