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1章 スタートダッシュ
カフェで甘い夕飯
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受付から離れたタイミングで通知が来た。
通知が来たと言うことは、運営からまた何かが来たのだろう。
そう思いながら通知を開いた。
【重要】スタートダッシュイベントの追加情報
イベントへの参加ありがとうございます。
参加していただいた皆様に、スタートダッシュイベントを頑張ってもらうための追加情報を発信しました。
この情報を見て、是非ともやる気を出してください。
※なお、この通知は、順位データと連動しているため、常に変化しています。
《順位》
個人ポイント:0pt
個人ポイント順位:134,186位
個人ポイント順位(町):1236位
パーティー名:アロンとなーさん(編集可)
パーティーポイント:0pt
パーティーポイント順位:173,527位
パーティーポイント順位(町):1362位
《報酬》
ポイント報酬
特定のポイント数を達成すると獲得することができる報酬。
達成すれば、獲得できるので10ポイントなら、0ポイントの報酬、5ポイントの報酬、10ポイントの報酬の3つの報酬を獲得できる。
0pt:参加賞
5pt、10pt、20pt、50pt、100pt、300pt、500pt、1000pt、……
順位報酬
最終順位に応じて獲得できる報酬。
順位によって受け取れる報酬は異なる。
ポイント報酬とは違い1つしか受け取ることが出来ない。
100万位~10万1位:参加賞
10万位~5万1位、5万位~1万1位、1万位~5001位、5000位~4001位、……
※依頼数や、その他の報酬(討伐した魔物や納入した依頼に対する正当な報酬など)はギルドが判断し、イベント依頼終了時に自動的に処理されます。
運営から、今の順位と報酬に関する通知が来た。
まぁ、まだ何もやってないから0ポイントなのは納得している。
0ポイントで、だいたい13万位なんだな。
確か、キメラスキルオンラインの第1陣の生産本数が100万だったはず。
ということは、この世界には100万人のプレイヤーが来ることになるということだな。
だいたい13万位から分かるのは、その100万人の内、もう既にこのゲームにログインして、ギルドランクとレベルを5まで上げた人が、13万以上もいると言うことだな。
すごいやる気だな。
まぁ、第1陣としてゲームを始めるぐらいやる気に溢れているのだからこんだけいても不思議じゃないか。
キメラスキルオンラインは、第1陣、第2陣と、ある程度の塊でログインを解禁していく感じらしい。
だから、第1陣を買うような人たちは、やる気に溢れているのだろう。
みんなやる気で溢れているとしたら、順位は下がる一方なんじゃないかな。
出遅れている人もこれから頑張るんだろうし。
まぁ、でも順位が低かったとしても、ポイント数での報酬もあるみたいだし、基本的にはそっちをメインで頑張ろうかな。
もちろん順位の方も頑張るけど、そっちに魂を燃やすと、メンタルが大変なことになりそうだから、なるべく、相対的な順位というものではなく、絶対的なものであるポイント数を目標にして頑張りたいな。
まぁまだ、どのぐらいのことが何ポイントなのかと言うことも全く分かっていないのだから、机上の空論でしかないんだけどな。
とにかく、運営の思惑通り、このイベントに対するやる気は上がってきたな。
今すぐにでもダンジョンに潜りたいぐらいだな。
でも今はせっかく町にいて、せっかく金があるのだから、装備更新とかいろいろして、効率を上げてから、ダンジョンに潜らないとだよな。
ダンジョンに潜りたいという気持ちを抑えて、装備更新をしたいという気持ちをあげていこうとしていると、ふとメニューの時刻が目に入った。
今は、ゲーム内時間で、18時なのか。
始めてからもう12時間も経ったのか。
そんな気がしないな。
そんなに経っていないような気もするし、1日以上が経っているような気もするな。
不思議な感覚だ。
それよりも18時と言うことは、夕飯時だな。
そう思うと、なんだか腹が減ってきている気がする。
空腹値の方も、63とかなりの値になっている。
これは、ダンジョンで休みなくいろいろ動いていたからかな。
俺は、肩にとまっているなーさんに声をかけた。
「なーさん、もう6時だし、夕飯食べるか?」
「なぁ!」
なーさんは待ってましたと言わんばかりに鳴いた。
なーさんもお腹がすいているのかな。
そういえば、なーさんって、生まれてきてからまだ何も食べてないんだよな。
そんな状態で活動してきたのか。
それはごめんだな。
なーさんの空腹値を確認すると俺よりも高い、72になっていた。
これは、なーさんが俺よりも空腹を感じやすい種族だと言うこともあるだろうけど、まだ何も食べていないのにひたすらに動いたと言うことも関係していそうだ。
俺は、心の中で、なーさんに謝罪しながら言った。
「じゃあ、食べたいものあるか?」
「なぁ、なぁ」
なーさんは特になさそうに鳴いた。
まぁ、何も食べたことがないのだから、食べたいものもくそもないのかもな。
それはそうだろうな。
そう思いながら言った。
「ないのか。俺もこれと言って食べたいものはないんだよな」
「なぁ?」
どうする? と言いたげな表情でなーさんは鳴いた。
ほんとどうしようかな。
とりあえず地図を開くか。
そう思ってとりあえず地図を開いた。
そして検索の欄を見ると、ふと目に付いた選択肢があった。
俺は良いことが思いついたというテンションで言った。
「どうしような。あぁ、なーさんが入れる店を探せばその分選択肢が絞れて良いんじゃないか?」
「なぁ!」
なーさんも、それだと言いたげな表情で鳴いた。
俺は、従魔入店可能という条件で飲食店を絞った。
するといくつもあった飲食店が、5つに絞られた。
5つしかないんだな。
絞ってもらえてうれしいという気持ちと、それしかないのかという気持ちを抱えながら言った。
「えっと、5件あるな。5件しかないのか。まぁ、何を対象にしているのかは、店主が決めることだから文句を言うことではないけど、もうちょっと従魔入店可能の店があってもいいんじゃないかな」
「なー」
なーさんもそれなと言いたいのだろう。
俺は、1つ1つの店を見ながら言った。
「えっと、カフェ系、レストラン系、軽食系、居酒屋系、従魔入店かを前面に押し出している系があるけどどれが良い? なーさんは行きたい場所はあったか?」
「なー」
なーさんは特にこだわりはないらしい。
そもそも、こだわるほどものを知らないのだろう。
生後数時間だもんな。
そういうものだよな。
そう思いながら言った。
「どこでも良いのか。じゃあ、俺が決めちゃうぞ」
「なぁ!」
なーさんはどうぞどうぞと言いたげに鳴いた。
俺は、直感的に、一番良さそうなところに決めた。
「じゃあ、カフェ系に行こうか。一番近いし、何よりピンときたから」
「なぁ!」
なーさんも賛成みたいだ。
俺はわくわくしながら言った。
「なーさんも、ここで良いんだな。ここでは何が食べられるんだろうな。楽しみだな」
「なー」
俺達は、ギルドから出て、地図を見ながら、目的のカフェへと向かった。
途中屋台があり、屋台の誘惑に負けそうになったが、なんとか耐えてカフェまで来た。
カフェの前まで来て言った。
「ここか。思ったよりも近かったな」
「な」
俺達はカフェのドアを開けて店内に入る。
カランコロンカラン
ドアベルの音が鳴る。
ドアが閉まると、店員が出てきて言った。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
何名と言われると難しいな。
人は1人だけど、2名というのもなんだな。
うん、素直に1人と1羽ですと言えばいいか。
俺は、良いのが思いつかなかったのですのまま言った。
「1人と1羽です」
「それでしたら、こちらの席へどうぞ」
店員さんに、席の方に案内された。
外の見える窓際の席。
良い席だな。
そう思いながら席に着いた。
店員さんが聞いてきた。
「そちらの鳥の方は、肩に乗ったままお食事するのですか?」
俺はそのままなーさんに聞いた。
「なーさんどうするの?」
「なぁ」
なーさんはそうなくと、肩から俺の膝の上に移動してきた。
なーさんが乗ってきたので、俺は椅子に深めに腰掛けるように座り直した。
座り直してから店員に向かって言った。
「膝の上にいるみたいです」
「そうですか。それでは、注文が決まりましたら、お呼びください」
「はい」
店員さんは、店の奥に去って行った。
メニューはどれかなと机の上を見ると、今井の紙が置いてあった。
そこにメニューがずらっと書かれていた。
写真や絵などはなく、メニューがただ箇条書きで書かれているメニュー。
雰囲気があって良いな。
そう思いながら、なーさんの前にメニューを持って行きながら聞いた。
「なーさん何食べる?」
「なぁ」
なーさんは、羽でメニューを指さした。
なーさんって、俺の声を理解していることは分かっていたけど、文字も読めるんだな。
50音票とかを渡したら、普通に会話できそうだな。
今のままでもなんとなく感情を読み取れているから、やる必要はないけど。
俺は、なーさんが指さしたメニューを読む。
「この従魔用軽食ね分かったよ。俺は何を食べようかな?」
「なぁ?」
なーさんもどうするのと言う目で俺を見る。
何がいいかな。
そう思いながら俺はメニューを眺めた。
メニューと格闘すること数分。
ようやく頼むメニューが決まった。
俺は、なーさんにメニューを指さしながら言った。
「じゃあ、コーヒーとパフェ、それと、この今日のケーキというやつにしようかな。栄養とかは気にしなくて良いみたいだし、好きなものを食べようかな」
「な!」
それは良いねと言いたげに鳴いたなーさん。
なーさんのお墨付きももらったし注文するか。
少しだけ声を張って店員さんを呼ぶ。
「あのすみません」
「どうしましたか?」
店員さんがスッときたので、店員さんに言った。
「注文お願いします」
「注文ですね。注文をお聞きします」
俺は、メニューを指さしながら注文していく。
俺が注文をしている間、なーさんは、うんうんと頷いていた。
「従魔用軽食を1つ、コーヒー、このパフェ、それと、この今日のケーキをお願いします」
「従魔用軽食、コーヒー、パフェ、今日のケーキですね。提供まで少々お待ちください」
店員さんは、注文を繰り返すと、スッと店の奥に去って行った。
注文を終えて、注文した者が来るまでの間、のんびりとなーさんと話しながら待った。
「どんなのが来るんだろうな。楽しみだな」
「なぁ」
しばらくして、店員さんが、頼んだものを持ってきた。
「お待たせしました。まず、コーヒーと今日のケーキのチーズケーキ、従魔用軽食になります。パフェの方はもう少々お待ちください」
そう言いながら店員さんは、従魔用の軽食をなーさんの前に、それ以外を俺の前に置いた。
まぁ、なーさんは俺の膝の上にいるから、ほぼ誤差みたい差しかないけどな。
そう思いながら言った。
「ありがとうございます」
店員さんは、さっと店の奥に去って行った。
なーさんが、膝の上にいると俺もなーさんも食べにくいので、机の上に移動してもらった。
移動して大丈夫かきちんと店員を呼んで確認したので大丈夫。
移動が完了し、俺は手を合わせて言った。
「じゃあ、いただきます」
「なぁ!」
俺となーさんはそれぞれ食事を始めた。
しばらく2人とも無言で食べ続けた。
言葉を失うぐらいにはおいしかった。
話すぐらいなら、今もう一口食べたいそう思えたので、静かに食べていた。
ある程度食べ進めたところで俺は言った。
「うん、おいしい。コーヒーの方も良いな。なーさん、そっちはどう? おいしい?」
「なぁ!」
なーさんはとてもうれしそうに鳴く。
それだけおいしいのだろう。
なーさんの軽食は、ドッグフードとかそういう類のものではなく、きちんと軽食の形をしている。
これのどこら辺が従魔用なのだろうか。
素人の俺には分からないな。
そう思いながら言った。
「そうか、おいしいか。こっちのもおいしいぞ」
「なぁ」
チーズケーキを食べ終え、コーヒーを飲みながら一服していると、店員差パフェを持ってきた。
「お待たせしました、パフェになります」
店員はパフェを置くとスッと店の奥に去って行った。
俺は店員がさってから食べ始めた。
これもまたうまい。
本当に良く出来ている。
粗方食べ終わったところで言った。
「こっちもうまいな」
「なぁ!」
なーさんは、俺がおいしくパフェを食べていることがうれしいのか、楽しそうに鳴いた。
なーさんの方を見ると、なーさんは既に軽食を食べ終えていた。
すごい食欲だな。
そう思いながら言った。
「なーさんはもう食べ終わったのか。早いな」
「なぁ」
誇らしげに鳴くなーさん。
俺はなーさんに申し訳なく思いながら言った。
「申し訳ないけど、パフェを食べ終えるまで休憩をしてくれ」
「なぁ」
俺は、残りのパフェを食べながら言った。
「いやぁ、やっぱり甘いは、正義だよな」
「なぁ?」
「こんだけ甘いものを食べて、栄養になるようなものを食べなくても、きちんと空腹値は回復するんだな。こんだけリアルな甘いものが食べれて、甘いもので腹を満たせて、どんだけ食べても栄養の偏りとかで体調不良にならないって最高だな」
「なぁ」
「なーさんもそう思うか」
俺もパフェを食べ終え、コーヒーも飲み終えて食事が終わった。
俺は手を合わせて言った。
「ごちそうさまでした」
「なぁ」
なーさんも俺を真似て、羽をあわせるような仕草をして鳴いた。
俺は腹を軽くさすりながら言った。
「良い感じで腹に溜まったな」
「なぁ」
俺は、店員さんに声をかけた。
「じゃあ、お会計をお願いします」
「お会計はこちらになります」
カウンター席の近くにあるレジに向かう。
伝票とかないけど、大丈夫なのだろうか。
さすがにゲームでぼったくりに会うなんてことはないだろうし、計算を間違えたり、レジを間違えたりすることもないだろう。
そう思いながらレジに向かった。
レジに行くと、店員さんが言った。
「お会計は、2900Gになります」
屋台に比べると結構行くな。
それでも、その分のおいしさがあったから良いんだけど。
まぁ、現実でこれだけ食べたらもう少し行くだろうし、こんなもんか。
俺はギルドカードを取り出して言った。
「ギルドカードで」
「カードですね。そしたら、ここにギルドカードをかざしてください」
端末にギルドカードをタッチさせる。
これで会計が終わるってすごい簡単だな。
マジで金を使っている感覚がない。
元々ゲームだからと言って、現実よりもゆるゆるの財布の紐が,さらに緩くなっている。
まぁ、ゲンずつじゃないから、いつでも稼げるし、これぐらい緩くても良いのかもな。
その分楽しいんだし。
「会計は以上になります。領収書は必要ですか?」
「いらないです」
「またのご来店お待ちしています」
俺達は扉を開けて店を出る。
カランコロンカラン
ドアベルの音とともに店を出た。
店を出てから2,3歩歩いたところで言った。
「良い店だったな」
「なぁ」
なーさんは俺の発言に同意するかのようにゆっくりと頷きながら鳴いた。
俺はなーさんに言った。
「またこような」
「なぁ!」
なーさんはそううれしそうに鳴いた。
通知が来たと言うことは、運営からまた何かが来たのだろう。
そう思いながら通知を開いた。
【重要】スタートダッシュイベントの追加情報
イベントへの参加ありがとうございます。
参加していただいた皆様に、スタートダッシュイベントを頑張ってもらうための追加情報を発信しました。
この情報を見て、是非ともやる気を出してください。
※なお、この通知は、順位データと連動しているため、常に変化しています。
《順位》
個人ポイント:0pt
個人ポイント順位:134,186位
個人ポイント順位(町):1236位
パーティー名:アロンとなーさん(編集可)
パーティーポイント:0pt
パーティーポイント順位:173,527位
パーティーポイント順位(町):1362位
《報酬》
ポイント報酬
特定のポイント数を達成すると獲得することができる報酬。
達成すれば、獲得できるので10ポイントなら、0ポイントの報酬、5ポイントの報酬、10ポイントの報酬の3つの報酬を獲得できる。
0pt:参加賞
5pt、10pt、20pt、50pt、100pt、300pt、500pt、1000pt、……
順位報酬
最終順位に応じて獲得できる報酬。
順位によって受け取れる報酬は異なる。
ポイント報酬とは違い1つしか受け取ることが出来ない。
100万位~10万1位:参加賞
10万位~5万1位、5万位~1万1位、1万位~5001位、5000位~4001位、……
※依頼数や、その他の報酬(討伐した魔物や納入した依頼に対する正当な報酬など)はギルドが判断し、イベント依頼終了時に自動的に処理されます。
運営から、今の順位と報酬に関する通知が来た。
まぁ、まだ何もやってないから0ポイントなのは納得している。
0ポイントで、だいたい13万位なんだな。
確か、キメラスキルオンラインの第1陣の生産本数が100万だったはず。
ということは、この世界には100万人のプレイヤーが来ることになるということだな。
だいたい13万位から分かるのは、その100万人の内、もう既にこのゲームにログインして、ギルドランクとレベルを5まで上げた人が、13万以上もいると言うことだな。
すごいやる気だな。
まぁ、第1陣としてゲームを始めるぐらいやる気に溢れているのだからこんだけいても不思議じゃないか。
キメラスキルオンラインは、第1陣、第2陣と、ある程度の塊でログインを解禁していく感じらしい。
だから、第1陣を買うような人たちは、やる気に溢れているのだろう。
みんなやる気で溢れているとしたら、順位は下がる一方なんじゃないかな。
出遅れている人もこれから頑張るんだろうし。
まぁ、でも順位が低かったとしても、ポイント数での報酬もあるみたいだし、基本的にはそっちをメインで頑張ろうかな。
もちろん順位の方も頑張るけど、そっちに魂を燃やすと、メンタルが大変なことになりそうだから、なるべく、相対的な順位というものではなく、絶対的なものであるポイント数を目標にして頑張りたいな。
まぁまだ、どのぐらいのことが何ポイントなのかと言うことも全く分かっていないのだから、机上の空論でしかないんだけどな。
とにかく、運営の思惑通り、このイベントに対するやる気は上がってきたな。
今すぐにでもダンジョンに潜りたいぐらいだな。
でも今はせっかく町にいて、せっかく金があるのだから、装備更新とかいろいろして、効率を上げてから、ダンジョンに潜らないとだよな。
ダンジョンに潜りたいという気持ちを抑えて、装備更新をしたいという気持ちをあげていこうとしていると、ふとメニューの時刻が目に入った。
今は、ゲーム内時間で、18時なのか。
始めてからもう12時間も経ったのか。
そんな気がしないな。
そんなに経っていないような気もするし、1日以上が経っているような気もするな。
不思議な感覚だ。
それよりも18時と言うことは、夕飯時だな。
そう思うと、なんだか腹が減ってきている気がする。
空腹値の方も、63とかなりの値になっている。
これは、ダンジョンで休みなくいろいろ動いていたからかな。
俺は、肩にとまっているなーさんに声をかけた。
「なーさん、もう6時だし、夕飯食べるか?」
「なぁ!」
なーさんは待ってましたと言わんばかりに鳴いた。
なーさんもお腹がすいているのかな。
そういえば、なーさんって、生まれてきてからまだ何も食べてないんだよな。
そんな状態で活動してきたのか。
それはごめんだな。
なーさんの空腹値を確認すると俺よりも高い、72になっていた。
これは、なーさんが俺よりも空腹を感じやすい種族だと言うこともあるだろうけど、まだ何も食べていないのにひたすらに動いたと言うことも関係していそうだ。
俺は、心の中で、なーさんに謝罪しながら言った。
「じゃあ、食べたいものあるか?」
「なぁ、なぁ」
なーさんは特になさそうに鳴いた。
まぁ、何も食べたことがないのだから、食べたいものもくそもないのかもな。
それはそうだろうな。
そう思いながら言った。
「ないのか。俺もこれと言って食べたいものはないんだよな」
「なぁ?」
どうする? と言いたげな表情でなーさんは鳴いた。
ほんとどうしようかな。
とりあえず地図を開くか。
そう思ってとりあえず地図を開いた。
そして検索の欄を見ると、ふと目に付いた選択肢があった。
俺は良いことが思いついたというテンションで言った。
「どうしような。あぁ、なーさんが入れる店を探せばその分選択肢が絞れて良いんじゃないか?」
「なぁ!」
なーさんも、それだと言いたげな表情で鳴いた。
俺は、従魔入店可能という条件で飲食店を絞った。
するといくつもあった飲食店が、5つに絞られた。
5つしかないんだな。
絞ってもらえてうれしいという気持ちと、それしかないのかという気持ちを抱えながら言った。
「えっと、5件あるな。5件しかないのか。まぁ、何を対象にしているのかは、店主が決めることだから文句を言うことではないけど、もうちょっと従魔入店可能の店があってもいいんじゃないかな」
「なー」
なーさんもそれなと言いたいのだろう。
俺は、1つ1つの店を見ながら言った。
「えっと、カフェ系、レストラン系、軽食系、居酒屋系、従魔入店かを前面に押し出している系があるけどどれが良い? なーさんは行きたい場所はあったか?」
「なー」
なーさんは特にこだわりはないらしい。
そもそも、こだわるほどものを知らないのだろう。
生後数時間だもんな。
そういうものだよな。
そう思いながら言った。
「どこでも良いのか。じゃあ、俺が決めちゃうぞ」
「なぁ!」
なーさんはどうぞどうぞと言いたげに鳴いた。
俺は、直感的に、一番良さそうなところに決めた。
「じゃあ、カフェ系に行こうか。一番近いし、何よりピンときたから」
「なぁ!」
なーさんも賛成みたいだ。
俺はわくわくしながら言った。
「なーさんも、ここで良いんだな。ここでは何が食べられるんだろうな。楽しみだな」
「なー」
俺達は、ギルドから出て、地図を見ながら、目的のカフェへと向かった。
途中屋台があり、屋台の誘惑に負けそうになったが、なんとか耐えてカフェまで来た。
カフェの前まで来て言った。
「ここか。思ったよりも近かったな」
「な」
俺達はカフェのドアを開けて店内に入る。
カランコロンカラン
ドアベルの音が鳴る。
ドアが閉まると、店員が出てきて言った。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
何名と言われると難しいな。
人は1人だけど、2名というのもなんだな。
うん、素直に1人と1羽ですと言えばいいか。
俺は、良いのが思いつかなかったのですのまま言った。
「1人と1羽です」
「それでしたら、こちらの席へどうぞ」
店員さんに、席の方に案内された。
外の見える窓際の席。
良い席だな。
そう思いながら席に着いた。
店員さんが聞いてきた。
「そちらの鳥の方は、肩に乗ったままお食事するのですか?」
俺はそのままなーさんに聞いた。
「なーさんどうするの?」
「なぁ」
なーさんはそうなくと、肩から俺の膝の上に移動してきた。
なーさんが乗ってきたので、俺は椅子に深めに腰掛けるように座り直した。
座り直してから店員に向かって言った。
「膝の上にいるみたいです」
「そうですか。それでは、注文が決まりましたら、お呼びください」
「はい」
店員さんは、店の奥に去って行った。
メニューはどれかなと机の上を見ると、今井の紙が置いてあった。
そこにメニューがずらっと書かれていた。
写真や絵などはなく、メニューがただ箇条書きで書かれているメニュー。
雰囲気があって良いな。
そう思いながら、なーさんの前にメニューを持って行きながら聞いた。
「なーさん何食べる?」
「なぁ」
なーさんは、羽でメニューを指さした。
なーさんって、俺の声を理解していることは分かっていたけど、文字も読めるんだな。
50音票とかを渡したら、普通に会話できそうだな。
今のままでもなんとなく感情を読み取れているから、やる必要はないけど。
俺は、なーさんが指さしたメニューを読む。
「この従魔用軽食ね分かったよ。俺は何を食べようかな?」
「なぁ?」
なーさんもどうするのと言う目で俺を見る。
何がいいかな。
そう思いながら俺はメニューを眺めた。
メニューと格闘すること数分。
ようやく頼むメニューが決まった。
俺は、なーさんにメニューを指さしながら言った。
「じゃあ、コーヒーとパフェ、それと、この今日のケーキというやつにしようかな。栄養とかは気にしなくて良いみたいだし、好きなものを食べようかな」
「な!」
それは良いねと言いたげに鳴いたなーさん。
なーさんのお墨付きももらったし注文するか。
少しだけ声を張って店員さんを呼ぶ。
「あのすみません」
「どうしましたか?」
店員さんがスッときたので、店員さんに言った。
「注文お願いします」
「注文ですね。注文をお聞きします」
俺は、メニューを指さしながら注文していく。
俺が注文をしている間、なーさんは、うんうんと頷いていた。
「従魔用軽食を1つ、コーヒー、このパフェ、それと、この今日のケーキをお願いします」
「従魔用軽食、コーヒー、パフェ、今日のケーキですね。提供まで少々お待ちください」
店員さんは、注文を繰り返すと、スッと店の奥に去って行った。
注文を終えて、注文した者が来るまでの間、のんびりとなーさんと話しながら待った。
「どんなのが来るんだろうな。楽しみだな」
「なぁ」
しばらくして、店員さんが、頼んだものを持ってきた。
「お待たせしました。まず、コーヒーと今日のケーキのチーズケーキ、従魔用軽食になります。パフェの方はもう少々お待ちください」
そう言いながら店員さんは、従魔用の軽食をなーさんの前に、それ以外を俺の前に置いた。
まぁ、なーさんは俺の膝の上にいるから、ほぼ誤差みたい差しかないけどな。
そう思いながら言った。
「ありがとうございます」
店員さんは、さっと店の奥に去って行った。
なーさんが、膝の上にいると俺もなーさんも食べにくいので、机の上に移動してもらった。
移動して大丈夫かきちんと店員を呼んで確認したので大丈夫。
移動が完了し、俺は手を合わせて言った。
「じゃあ、いただきます」
「なぁ!」
俺となーさんはそれぞれ食事を始めた。
しばらく2人とも無言で食べ続けた。
言葉を失うぐらいにはおいしかった。
話すぐらいなら、今もう一口食べたいそう思えたので、静かに食べていた。
ある程度食べ進めたところで俺は言った。
「うん、おいしい。コーヒーの方も良いな。なーさん、そっちはどう? おいしい?」
「なぁ!」
なーさんはとてもうれしそうに鳴く。
それだけおいしいのだろう。
なーさんの軽食は、ドッグフードとかそういう類のものではなく、きちんと軽食の形をしている。
これのどこら辺が従魔用なのだろうか。
素人の俺には分からないな。
そう思いながら言った。
「そうか、おいしいか。こっちのもおいしいぞ」
「なぁ」
チーズケーキを食べ終え、コーヒーを飲みながら一服していると、店員差パフェを持ってきた。
「お待たせしました、パフェになります」
店員はパフェを置くとスッと店の奥に去って行った。
俺は店員がさってから食べ始めた。
これもまたうまい。
本当に良く出来ている。
粗方食べ終わったところで言った。
「こっちもうまいな」
「なぁ!」
なーさんは、俺がおいしくパフェを食べていることがうれしいのか、楽しそうに鳴いた。
なーさんの方を見ると、なーさんは既に軽食を食べ終えていた。
すごい食欲だな。
そう思いながら言った。
「なーさんはもう食べ終わったのか。早いな」
「なぁ」
誇らしげに鳴くなーさん。
俺はなーさんに申し訳なく思いながら言った。
「申し訳ないけど、パフェを食べ終えるまで休憩をしてくれ」
「なぁ」
俺は、残りのパフェを食べながら言った。
「いやぁ、やっぱり甘いは、正義だよな」
「なぁ?」
「こんだけ甘いものを食べて、栄養になるようなものを食べなくても、きちんと空腹値は回復するんだな。こんだけリアルな甘いものが食べれて、甘いもので腹を満たせて、どんだけ食べても栄養の偏りとかで体調不良にならないって最高だな」
「なぁ」
「なーさんもそう思うか」
俺もパフェを食べ終え、コーヒーも飲み終えて食事が終わった。
俺は手を合わせて言った。
「ごちそうさまでした」
「なぁ」
なーさんも俺を真似て、羽をあわせるような仕草をして鳴いた。
俺は腹を軽くさすりながら言った。
「良い感じで腹に溜まったな」
「なぁ」
俺は、店員さんに声をかけた。
「じゃあ、お会計をお願いします」
「お会計はこちらになります」
カウンター席の近くにあるレジに向かう。
伝票とかないけど、大丈夫なのだろうか。
さすがにゲームでぼったくりに会うなんてことはないだろうし、計算を間違えたり、レジを間違えたりすることもないだろう。
そう思いながらレジに向かった。
レジに行くと、店員さんが言った。
「お会計は、2900Gになります」
屋台に比べると結構行くな。
それでも、その分のおいしさがあったから良いんだけど。
まぁ、現実でこれだけ食べたらもう少し行くだろうし、こんなもんか。
俺はギルドカードを取り出して言った。
「ギルドカードで」
「カードですね。そしたら、ここにギルドカードをかざしてください」
端末にギルドカードをタッチさせる。
これで会計が終わるってすごい簡単だな。
マジで金を使っている感覚がない。
元々ゲームだからと言って、現実よりもゆるゆるの財布の紐が,さらに緩くなっている。
まぁ、ゲンずつじゃないから、いつでも稼げるし、これぐらい緩くても良いのかもな。
その分楽しいんだし。
「会計は以上になります。領収書は必要ですか?」
「いらないです」
「またのご来店お待ちしています」
俺達は扉を開けて店を出る。
カランコロンカラン
ドアベルの音とともに店を出た。
店を出てから2,3歩歩いたところで言った。
「良い店だったな」
「なぁ」
なーさんは俺の発言に同意するかのようにゆっくりと頷きながら鳴いた。
俺はなーさんに言った。
「またこような」
「なぁ!」
なーさんはそううれしそうに鳴いた。
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~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
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ファンタジー
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2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
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※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
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自筆です。
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至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
10秒あれば充分だった
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小説家になろう、アルファポリス(敬称略)にも掲載。
筆者は体調不良のため、コメントなどを受けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
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