キメラスキルオンライン

百々 五十六

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1章 スタートダッシュ

振り返って、食べて、猫さん

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 自分たちのステータスを眺めていた。
 レベルも上がったし、数値も上がった、装備も増えてスキルのレベルも上がった。
 何というか、成長したなと感じる。
 心からそう感じる。
 まぁ、まだまだなんだろうけど、最初の最初、初期ステータスに比べたら、すごく成長しているな。
 能力値・消費値は2倍近く上がっているし、スキルも、予備スキルが出来るぐらいにそろっている。
 何というか、成長を実感したな。
 何というか、達成感があるな。
 ちょっとだけ誇らしくもあるな。
 そう思いながら言った。

「俺達も大分強くなったな」

「なぁ!」

 クエストで言うと、チョートリアルもやったし、森の歩き方、草原の歩き方もやった、ケルンを作ろうとか、水切りをしようとかそういう小さなクエストもやった。
 1日で、いろいろやり過ぎなんじゃないだろうかと思うほどいろいろやったな。
 それだけじゃなくて、なーさんと出会ったし、狩りで修行もした。
 本当に1日でいろいろとあったな。
 改めて振り返ると、達成感がある。
 なんとなく、達成感が積み重なっていく感覚がある。
 そんなことを考えながら言った。

「装備とかもそろってきたし、スキルも埋まってきた、レベルも上がって、能力値・消費値も良い感じになってきた」

「なぁ」

 何というか、やっと1人前になったような気がするな。
 装備もきちんと埋めて、ギルドランクもレベルも上がって、武器も更新して、お供となるなーさんも居て、なーさんの装備も埋めて、なーさんのスキルと、アクセサリーはまだまだ埋まっていないけど、何というか、駆け出しになったというか、やっと冒険者になったような感覚がある。
 今までが、冒険者じゃなかったとかそういうことではなくて、何というか、装備を調えるところで1区切りあったような感覚。
 序章が終わったような感覚があるな。
 人に伝わるとは思わないけど。
 俺は、心の中でそう、しみじみと思いながら言った。

「何というか、ゲームっぽくなってきたな。ここまで、駆け出しというか、チュートリアルの延長みたいだったよな」

「なぁ!」

 改めてスタートを切った感覚がある。
 ということは、個々のスタートダッシュが大切だと言うことなんじゃないかな。
 大切なスタートダッシュで何をしようかな。
 終わり良ければ、全てよしという言葉があるが、始まりでこけると、終わりまで持って行けないことが多い。
 だから、終わりと同じぐらい、始まりというのも大切だと思う。
 この大切なスタートダッシュに何をしようかな。
 やっぱり、本分に戻ってダンジョン攻略かな。
 俺は、何をしようか悩みながら言った。

「ここから始まるみたいな感じがあるな!」

「なぁー!」

 やっぱりダンジョンだな。
 というか、ダンジョン以外でやることが思いつかないな。
 買い物をして、消耗品も補充しちゃったし、いろいろ装備をかったから、何か高価なものを買おうことも出来ないよな。
 イベント依頼を受けているから、ギルドに行っても、何か新たしい依頼を受けることは出来ない。
 そうなると出来ることと言ったら、ダンジョンに行くか、だらだらとなーさんと戯れるか、プレイヤーと交流を持つかぐらいしかない。
 今のところ、積極的にプレイヤーと関わる必要性は感じていないし、関わろうとも思っていない。だから、まず、プレイヤーとの交流は消える。
 そして、スタートダッシュから、だらだらとしていたら、締まらないから、なーさんと戯れるのも無しかな。
 そうなると、俺の思いつく限りだと、ダンジョンに行くしか選択肢がないんだよな。
 だから、ダンジョンになるかな。
 悩んだ末に、俺は言った。

「じゃあ、早速、ダンジョンに向かうか」

「なぁー! な」

 ん?
 いや待てよ。
 確か、さっきステータスを確認していたときに、空腹値も、疲労値も、そこそこの値までいっていたよな。
 となると、今から、ダンジョンに行っても、すぐに、何かを食べたり、休憩を取ったりする必要が出てくる。
 そうなると、テントとか料理の用意をしないといけない。
 ダンジョンでそれらを用意するのは、かなり時間がかかる。
 そして、なんとなくだけど、テントで寝るよりも、仮眠室で寝た方が、効率がいい気がしている。
 なら、わざわざダンジョンまで言って、休憩を取るのではなくて、今のうちに休憩を取って、腹もある程度満たしておくことで、ダンジョンでの休憩時間を減らすことが出来るんじゃないかな。
 そう思い、俺は、一歩踏み出していた足を引っ込めた。
 そして、冷静にもう一度考える。
 考えた末に俺は言った。

「いや、その前に、空腹値と、疲労値をどうにかした方が良いのかもな。このままダンジョンに行っても、あっちでキャンプすることになりそうだし」

「なぁ!」

 そういえば、今って何時ぐらい何だろう。
 俺が時間を確認したのは、ダンジョンから出たときに6時過ぎだと言うことを確認したのが最後だったよな。
 それから、どのぐらいの時間が経ったんだろうか。
 1時間とかかな。
 そう思いながら言った。

「そもそも、今って何時ぐらい何だろう?」

「なぁ?」

 俺は、メニューウィンドウから時刻を確認した。
 すると、現在時刻は、ゲーム内時間で、9時12分、現実の時間で、19時3分となっていた。
 え?!
 9時?!
 9時過ぎているの?
 驚き。
 驚きしかない。
 そんなに経っているの。
 確かに、買い物とか、いろいろやって時間が経ったとは思っていたけど、2時間強も経っているとは思わなかった。
 そんなに買い物等に時間をかけていたのか。
 現実世界並に買い物に時間をかけちゃったな。
 まぁ、楽しかったから良いんだけど、衝撃がすごいな。
 俺の驚きが口からこぼれた。

「えっ?! もう9時なの?」

「な?!」

 2時間強か。
 まぁ、多分、防具総合商店で、時間を使ったんだろうな。
 他の場所でそこまで時間を費やした気がしないもんな。
 まぁ、あんだけ広くて、そこをじっくりまわったのだから、まぁ、それぐらい経っているか。
 何というか、未だに衝撃がすごいな。
 驚きが全然引いていかない。
 俺はつぶやくように言った。

「ダンジョンから出てきたのが、6時過ぎ7時前ぐらいだったよな。それからもう2時間以上経っていると言うことか」

「なぁーな」

 驚きの良いんで、さらにつぶやいた。

「俺達買い物とかに2時間もかけていたのか」

「なぁ」

 まぁ、買い物に、2時間強かけた意味はあっただろう。
 毒矢とか、消耗品とか、装備とか、スキルとか、良い買い物が出来たんだし。
 これは、いい時間の使い方だったんだろう。
 そう強く思いながら言った。

「2時間分の収穫があったと思わないとやってられないな」

「なぁ、なー」

「まぁ、実際それぐらいの収穫はあったと思う」

「なぁー」

 外は、もう19時か。
 19時かぁ。
 夕飯を食べてからもう2時間強も経ったのか。
 これは、長いのか短いのか分からないな。
 再ログインしてきてから、現実世界では2時間強、ゲーム内時間では、7時間強ぐらい経っているのか。
 何というか、キメラスキルオンラインはすごいゲームだな。
 この時間が、長いようにも短いようにも感じてしまう。
 不思議な感覚を抱えながら言った。

「外は、19時になったのか。外の時間だと、1時間近く、買い物等をしていたと言うことか」

「なぁー」

「完全に時間を忘れていたな」

「なぁ!」

 驚きの余韻はこれぐらいにしよう。
 2時間強も買い物に使ったのに、さらに、個々で雑談でいたずらに時間を消費するのは良くないからな。
 雑談なんて、移動中とかいつでも出来るんだし。
 そう思い、気持ちを切り替えながら言った。

「まぁ、過ぎた時間のことを考えていても仕方がないよな。よし、次の行動の話に戻ろう」

「なぁな!」

 とりあえず、疲労値と空腹値をどうにかしよう。
 どちらが簡単にどうにかできるかと行ったら、空腹値だな。
 疲労値は、長時間かかるが、疲労値は、食べ物さえ食べればすぐに、回復する。
 だから、まずは、空腹値からだな。
 そう思いながら言った。

「とりあえず、空腹値もある程度来ているから、屋台で何か食べ物でも買うか」

「なぁ! なー」

「じゃあ、屋台のいっぱいある広場まで行くか」

「なぁ!」

 俺達は、スキルオーブ屋から、町の中央にある広場へ向かって歩いた。
 もちろん地図とにらめっこをしながら。
 スキルオーブ屋は、大通りに面していたので、すぐに、道が分かったので、あまり地図に頼ることなく、進むことが出来た。
 広場には、たくさんの屋台が並んでいた。
 お祭りみたいだな。
 前も同じようなことを思ったような気がするけど、気にしない。
 俺は、おいしそうな匂いのしている屋台に吸い寄せられていった。
 屋台の前に行くと、店主の兄ちゃんが話しかけてきた。

「いらっしゃい。注文は?」

「肉串を、5本ください」

「塩とタレがあるけどどうする?」

「塩が2本でタレが3本で」

「塩2、タレ3ね。750Gだよ。熱々に温め直すからちょとまちな」

「はい」

「その間に、会計しておくか。会計は、ギルドカード?」

「はい、ギルドカードです」

「じゃあ、ここにかざして」

「分かりました」

「肉串は、袋は必要?」

「お願いします」

「はい、じゃあこれ、熱々の塩が2、タレが3ね。タレと塩が接しないように、中にしきりが入っているから、安心しな」

「ありがとうございます」

「おいしいと思ったらまた来てくれ」

「はい」

 俺は、熱々のに久々子の入った紙袋を持って、屋台から離れた。
 後ろに人が並んでいたので、その人達の邪魔にならないように素早く移動した。
 少し移動して、人の邪魔にならないところで立ち止まって言った。

「じゃあ、あっちの方で食べるか。静かそうだし」

「なぁー」

「良い感じのベンチもあるみたいだし」

「なぁ!」

「じゃあ、ちょっと移動するか」

「な」

 俺達は、すいている方、静かな方のベンチまで移動した。
 何でここだけすいているのだろう?
 もしかして、事故物件か何かなのかな。
 そう思いながらも、すいていると言うこと、静かであるという魅力にあらがえず、ベンチに腰掛けた。
 そして、太ももの上に、紙袋を置いて言った。

「いただきます」

「なぁ!」

「なーさんは、塩とタレ、どっちから食べる?」

「なぁーなぁ」

「タレか。じゃあ、1本どうぞ」

「なぁ!」

「じゃあ、俺もタレから食べようかな」

「なぁ!」

 俺達は、肉串を食べ出した。
 なーさんは、器用に爪で肉串の串を挟んで食べている。
 DEXが高いから出来る芸当なのかな。
 そう思いながら、なーさんが食べている姿を眺める。
 その姿を眺めながら俺も、肉串を食べた。
 これはうまいな。
 前に食べた屋台飯もおいしかったけど、これもそれに並ぶぐらいおいしいな。
 俺は、心から思った言葉を言った。

「うまいな」

「なぁーなぁ!」

「これは、うまいな。あの店主とあの店のことちゃんと覚えておこう」

「なぁ」

「なーさんはもう、1本食べきったのか」

「なぁ! な」

「じゃあ、次はどっち食べる?」

「なぁー」

「もう1本タレを食べるのか。そうか、じゃあ、どうぞ」

 俺は、なーさんに、もう1本タレを渡した。
 なーさんはうれしそうにその肉串を受け取る。

「なぁー」

「じゃあ、俺は、塩を食べようかな」

「なぁ!」

「こっちはこっちでうまいな」

「なー」

「塩もタレも両方良いと、どっちを買って良いのか迷うな」

「なぁ」

「それで結局両方買っちゃうんだろうな」

「なーなぁー」

「にゃ」

 いつの間にか、俺の隣に猫が居た。
 ベンチの上に座って、鳴いている。
 俺は、困惑しながら言った。

「あれ? 猫? いつの間に?」

「なぁ?」

「にゃ」

「猫か。キメラスキルオンラインで初めて見た気がする」

「なぁー」

「にゃ?」

「町中に動物がいるんだな。町中で動物を見るのも初めてだな」

「なぁー」

「にゃ?」

 猫は、じっと紙袋を見つめている。
 もしかして、肉串の匂いに釣られてやってきたのかな。
 肉串が食べたいのかな?
 そう思いながら、猫に聞いた。

「もしかして、この肉串がほしいのか?」

「にゃ!」

 どうやら、この猫は肉串が食べたいらしい。
 食べたいのか。
 これはあげていいものなのかな。

「なぁ?」

 俺は迷った末に、最後の1本を猫に渡した。

「じゃあ、1本塩の肉串をあげよう」

「なー」

「にゃ!」

 猫に、なーさんみたいな上手な食べ方を期待するのは良くないと思い、俺は、肉串を入れてあった袋を下敷きに、その上に肉串を置いた。
 猫はとてもうまそうに肉串を食べる。
 串を抜いた方が良かったかなと思っていたけれど、猫は串を避けながら器用に食べている。
 俺は、おいしそうに肉串を食べている猫を見ながら言った。

「おいしそうに食べるなぁ。お腹すいていたのか?」

「にゃ!」

「なぁ?」

「首輪とかそういうのもしていないし、飼い主が近くにいる感じでもないし、野良猫なのかな? それならお腹がすいているのも納得だな」

「にゃ!」

「なー」

 猫は、肉串を食べ終えると、串を加えて、椅子から飛び降りた。
 そして、その勢いのまま、ステステと歩いて行ってしまった。

「あっ、行っちゃった」

「なー」

「にゃー」

「串を加えて行っちゃったな」

「にゃ」

「なぁ?」

 猫は、ある程度歩くと、狭い路地の入り口でとまった。
 そこで立ち止まると、こちらを振り向き、じっと俺達を見つめている。
 何がしたいのだろう。
 そう思いながら言った。

「ん? こっちを見ているのか? なんで?」

 そう言うと、ウィンドウが現れた。


 《町中クエスト》《猫を追いかけて》を開始しますか?
 はい/いいえ


 あぁ、クエストだったのか。
 てっきりバグか何かなのかと思っていた。
 もしくは、テイムのチャンスか何かかと思っていた。
 俺は、驚きながら言った。

「クエストだったのか?! まぁ、とりあえずやってみるか」

「なぁ」

「もうしばらく町にいることになるけど、大丈夫か?」

「なぁ!」

「じゃあ、追いかけてみよう」

 なーさんも、クエストをやりたいと思っているみたいだし、やっちゃおう。
 新しい俺達のスタートダッシュにちょうど良さそうだし。
 俺はそう思いながら”はい”を押した。






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