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1章 スタートダッシュ
にゃーさん従魔登録
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じゃあ、いろいろ確認とかも出来たし、商号も変更できたし、後は、ダンジョンに行って、実際ににゃーさんを交えて戦う段階かな。
いや、あれをやってなかったわ。
危ない危ない忘れるところだった。
そう思いながら、少し慌てて言った。
「じゃあ、ギルドに、にゃーさんの従魔登録に行こう」
「にゃ!」
「なぁ!」
にゃーさんの従魔登録が済んでなかったな。
普通に忘れていた。
まぁ、ゲームとかで、そういう登録とか、役所みたいなことをするのって珍しいからな。
忘れちゃっても仕方ないよな。結局は思い出せた訳だし。
俺は、辺りをキョロキョロと見回しながら言った。
「そもそもここってどの辺りなんだ?」
「にゃ」
「なぁ」
「地図を見ながらゆっくり行くか」
「なぁー」
「にゃあ」
俺達は、地図を見ながら、ゆっくりと、ギルドに向かった。
俺となーさんはある程度の速度を出せるけど、にゃーさんは、あまりAGIが高くないので、俺達は、にゃーさんのスピードに合わせて歩いた。
なーさんといたときは、なーさんが俺の頭とか肩にとまるから、普通に歩けば良かったけど、にゃーさんは普通に地面を歩くから、何というか、不思議な感覚だな。
俺は、にゃーさんに会わせて歩幅や、歩くスピードを調整しながら歩きつつ言った。
「今は金欠だけど、ある程度お金を稼いだら、にゃーさんの装備も買いたいな」
「にゃ!」
にゃーさんは、アクセサリーの枠がなーさんよりも多めだよな。
それは何でなんだろう。
これは、なーさんが少ないのかな。それとも、にゃーさんが多いのかな。
にゃーさんの特長はそこになってくるのか。
猫系の装備って何があるんだろうな。
支援に対して補正のある装備類を買いたいな。
防御力とかはそこまで高くなくても良いかもな。
純粋な後衛だし。
後は、AGI関連の補正もほしいかな。
やっぱり、のっしり歩くよりも早く駆け回る方がイメージに合うからな。
それとこのままだと、少し効率が悪いからな。
ギルドに着くまでにどのぐらいの時間がかかったのかによっては、肩に乗せて移動することも視野に入れておきたいな。
俺は思いつきで言った。
「そういえば、なーさんがつけている幸運の鈴って、にゃーさんがつけた方が良くないか?」
「なぁ?」
「にゃ?」
幸運の鈴って、確かランダムでバフをばらまく代わりに、奇襲が成功しなくなるという効果だったよな。
にゃーさんが装備すれば、ばらまかれるバフは強力になって、奇襲もしないのでデメリットもない。
相性が良いんじゃないかな。
俺は、段々ふわっと思いつきで言ったものの輪郭が出来てきて、うれしくなりながら言った。
「にゃーさんの指揮下に入ると、バフの効果が上昇したり、にゃーさんの特性によって、みんながいっぱいいっぱいのときに、バフの効果が上昇したりするんだろ? それなら、バフを発生させる、幸運の鈴は、にゃーさんがつけた方が良くないか?」
「なぁあ」
「にゃあ」
2匹とも納得しいる。
じゃあ、付け替えてみるか。
そう思いながら言った。
「にゃーさんに装備してみるか」
「にゃ!」
俺は、ステータスメニューから、なーさんの幸運の鈴を装備解除した。
すると、なーさんに着いていた幸運の鈴が消えた。
ストレージの方に、幸運の鈴が移ったようだ。
ストレージに入った、幸運の鈴を、今度は、にゃーさんに装備する。
あれ?
装備できないぞ?
何でだ?
何度か試しながら言った。
「あれ? うまく装備できないな。何でだろう?」
「にゃ?」
「なぁ?」
一度冷静になろう。
冷静になればすぐにでも分かるはずだ。
そう思い、俺は、一度、幸運の鈴から視線を外して、深呼吸をし出した。
吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸ってぇ、吐いてぇ、吸ってぇえ、吐いてぇえ。
よし落ち着いてきたな。
じゃあ、一度、幸運の鈴の詳細を見てみよう。
そう思い、幸運の鈴の詳細を表示した。
幸運の鈴
ランダムバフ付与確率:小
潜伏能力減少:中
装備枠:アクセサリー
耐久値:93/100
装備条件1:鳥系モンスターであること
装備条件2:従魔であること
鳥系のモンスターが使用するアクセサリー。
鈴の音が幸運を呼ぶと言われている。
鈴の音を聞いた見方に、ランダムでバフを付与することがある。
鈴の音は相手にも届くため、この装備を持つ者は姿を隠し潜伏するのが困難になる。
従魔を助けるために研究され尽くしたアクセサリー。
あ、装備条件が、鳥系のモンスターであることになってる。
だから、なーさんは装備できるけど、にゃーさんは装備できなかったんだな。
この装備条件のことを完全に忘れていたな。
バグとかそういう類のものではないんだな。
これは完全に俺のミスだな。
反省反省。
俺は反省しながら言った。
「あ、この装備って、鳥系のモンスターじゃないと装備できないのか」
「な」
「にゃ」
なーさんは、そういえばそうだったという顔をした。
にゃーさんは、そうなんだ知らなかったという顔をした。
まぁ、にゃーさんが知らないのは当然だな。
だって、なーさんの装備を買ったときにいなかったのだから。
なーさんは、俺と同じで、装備条件を忘れていたんだな。
そうだよな。
忘れちゃうよな。
なんとなくで覚えているからこういう細かいところって忘れちゃうんだよな。
俺は共感するように何度か頷いた後に言った。
「だから、装備できないのか。割と良い考えだと思っていたんだけどな」
「なぁ……」
「にゃ……」
「まさか、装備条件があったとは。完全に忘れていたな」
「なぁ」
「にゃ」
にゃーさんが装備できないのなら、なーさんに装備しておいてもらうしかないな。
なーさんには今まで通り、幸運の鈴で頑張ってもらうことにしよう。
俺は、幸運の鈴を、そっとなーさんの装備に戻してから言った。
「じゃあ、この幸運の鈴は、なーさんに任せるな」
「なぁ!」
「良いバフをたまに出してくれよ」
「なぁ!」
そういえば、幸運の鈴から良いバフを受け取ったことってあったかな?
だいたい、MPアップとか、魔法ダメージアップとか、そういうバフしかこないんだよな。
強いて言うなら、VITアップとか、HPアップのバフは、少し安心感があって良かったかもな。
活躍はしてないけど。
活躍したのは、多分1、2回だよな。
しかも、そういうときに限って、ダンジョンボア2匹とか、ダンジョンラビット2匹とか、敵が弱いときなんだよな。
俺は、俺はしみじみと言った。
「幸運の鈴からベストなバフがベストなタイミングで出たのって、1度か2度ぐらいだよな」
「なぁ……」
俺の言葉でなーさんが落ち込んでしまったので、今度は励ますように言った。
「まぁ、そういう、運要素があるものだと分かっているから、落ち込まないでくれ」
「なぁ」
俺達は、地図を見ながら進んでいった。
そしてなんとか、ギルドまでたどり着いた。
正直町中の地図がなかったから、たどり着ける気がしなかったな。
にゃーさんに任せれば、たどり着けたのかもしれないけど、にゃーさんってどちらかというと住宅エリアが縄張りみたいだし、ギルドへの行き方は知らないのかもしれないな。
そんなことを考えながら、ギルドに入っていく。
俺達はそのままとまることなくいつもの端の受付に向かった。
今日もあの受付のお姉さんはいるんだな。
いや、素材買取りできたときも見かけたな。
そんなことを考えていると、声をかけられた。
「ご用件は何でしょうか?」
俺は、平常心で言った。
「従魔登録をお願いします」
「従魔登録ですね。登録するのはどなたですか?」
受付のお姉さんは、誰を登録するのか分かっていないのか。
なーさんは普通に足に従魔登録証をつけていて、にゃーさんは、何もつけていないから分かりそうなものだけどな。
一応聞いているのか?
俺は、にゃーさんを抱きかかえて、言った。
「この、にゃーさんをお願いします」
「タウンキャットですか。珍しいですね」
受付のお姉さんは珍しいものを見る顔をした。
タウンキャットって珍しいのだろうか?
確かに、この町に来て1日だけど、クエストで出会ったときに始めてみたな。
珍しい猫たちと行動を共に出来たのかな。
それは名誉なことだな。
俺はうれしさを押し殺しながら聞いた。
「珍しいんですか?」
「冒険者の方でタウンキャットを従魔にする方は珍しいですね。タウンキャットはどちらかというと、店とか民家とかで飼われていることが多いですね。タウンキャットは、ネズミなどの害獣を食べくれるということと、不審者が入ってくると鳴くので留守番を任せられるという利点があるので、店とか民家で飼われることが多いです」
そういう意味で珍しいのか。
もっとこう、タウンキャット自体が珍しいのかと思っていた。
そういうことね。
そういうことなら納得だわ。
タウンキャットを従魔登録すると思っていないから、どなたを従魔登録するんですか? と聞いてきたんだな。
珍しいだけのモンスターなら、こいつが従魔登録をするんだなと言うのがすぐにわかるもんな。
そういうことだったのか。
俺は少しだけ気を落としながら言った。
「そうなんですね」
「従魔登録をしますね」
俺は、非常心に戻って言った。
「お願いします」
「それではまず、ギルドカードをお預けください」
俺は、バックからギルドカードを取り出し、受付のお姉さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「こちらの指示に従うように、指示してもらっても良いでしょうか?」
あぁ、前回の従魔登録のときもこういうことを言われた気がするわ。
昨日のことなのに、全然覚えていないな。
濃い1日を送ってきたからかな。
1日も経っていないか。
俺は、にゃーさんと目を合わせて言った。
「分かりました。にゃーさん、この人の指示を聞いてね」
「にゃあ」
今度は、受付のお姉さんの方を向いて言った。
「これで大丈夫だと思います」
「ありがとうございます。それでは、従魔登録をしてきますね」
「よろしくお願いします」
受付のお姉さんは、にゃーさんを連れて奥の部屋へと行ってしまった。
手持ち無沙汰だな。
この間何をしていれば良いんだろうな。
そう思いながら、適当になーさんとじゃれ合っていた。
すると、受付のお姉さんが、にゃーさんを連れて戻ってきた。
従魔登録は終わったのかな。
そう思っていると、受付のお姉さんが言った。
「従魔登録が完了しました。こちらの従魔登録証をつけるようにしてください。猫の従魔の場合は、首輪代わりにしていることが多いですね」
猫は首輪なんだな。
そこが普通なら、そこにつけるか。
そこは別に個性を出すところじゃないもんな。
視認性が大切なところだもんな。
そう思いながら言った。
「そうなんですね、分かりました」
「それにしても珍しいですね」
受付のお姉さんが改めて言った。
さっき言ってた、タウンキャットを冒険者が従魔にするのは珍しいという話かな?
そう思いながら聞いた。
「タウンキャットを従魔にすることがですか?」
「いや、このタウンキャットのなーさんは、特性が『猫の手』だったんですよ」
また予想を外されたな。
もしこれが何かの勝負事での読み合いなら、これだけ外されていたらボコボコになっているんだろうな。
変な妄想を挟んでしまったけど、何だっけ?
『猫の手』が珍しいんだっけ?
そうなのかな。
俺は、にゃーさん以外のタウンキャットを知らないから、そこのところよく分からないな。
俺は、受付のお姉さんに聞いてみた。
「『猫の手』って珍しいんですか?」
「通常のタウンキャットは、90%以上が『猫の目』という特性を持っています。『猫の手』は5,6%程度のタウンキャットしか所持していないと言われています」
へぇ、そんなに珍しいんだ。
定番の方の『猫の目』ってどんな特性なんだろうな。
特性って、『鳥の目』とか、『猫の目』とか『猫の手』とか、なんとなくそんな感じでそろえているのかな。
何というか、種族名ぐらい安直だよな。
もしかしたら、進化したら、もっとかっこよくて、安直じゃない感じの名前に変わるのかな。
余計なことを考えながら言った。
「にゃーさんは、そんなに珍しかったんですね」
「それと、軍団幹部の称号をもつタウンキャットを良く従魔に出来ましたね」
こっちも珍しいようだ。
受付のお姉さんが興奮気味に言った。
受付のお姉さんって、動物好きなのかな。
何というか、いつも以上に、テンションが高い気がする。
俺の気のせいでなければ、いつもより饒舌なような気がする。
俺は、そんなことを考えながら聞いた。
「それも珍しいんですか?」
「軍団幹部のタウンキャトがそもそも少ないというのもありますが、軍団幹部のタウンキャットは警戒心が強く、あまり人前に出てこない猫が多いので、とても珍しいですよ」
「珍しいと珍しいが掛け合わされて、すごい珍しい個体ってことですね」
「そうですね。同じ、特性が『猫の手』で軍団幹部のタウンキャットは、1%もいないと思います」
へぇ、2つ合わせると、そんなに珍しい感じになるんだな。
何というか、最初から個体厳選の最良を引いたという感じなのかな。
すごく運が良いな。
何というか、この後すごく悪いことでもおきそうだな。
いや、既に悪いことが起きているから、これだけ良いことが起こるのかも知れないな。
俺は急にスンと冷静になって言った。
「そんなに珍しいんですね」
「2層で初発見のスカイバードと『猫の手』で軍団幹部のタウンキャットの2匹を従わせているんですね。まるで珍獣ハンターですね」
「たまたまですよ」
「そうなんですかね。珍しい生物が引き寄せられているのかもしれませんね」
そうなのかな。
そうだとしたら、今後もいろいろと珍しい生物が仲間になっていくのかな。
それはそれで楽しそうだな。
まぁ、珍しいとか関係なく、楽しく冒険ができるメンバーをそろえたいな。
「そうだといいんですけど」
「すみません。興奮して少し熱く語りすぎてしまいましたね」
受付のお姉さんが、ハッとなった後、恥ずかしそうに言った。
やっぱり、興奮していたんだな。
生物好きなのかな。
俺は気になったので聞いてみた。
「従魔が好きなんですか?」
「珍しいモンスターや、珍しい従魔が好きでこの職に就いたので、つい興奮してしまって」
へぇ、そういう理由で、受付をやっているんだな。
というか、そこまでの個性を受け付け1人1人につけているってすごいな。
NPCだということを忘れて会話をしていたな。
何というか、運営とか開発の執念を感じるな。
そう思いながら言った。
「そうなんですね」
「えぇ、これで従魔登録は終了になります。イベント依頼頑張ってください」
応対が終了しそうになったので、俺は慌てて言った。
「あの、もう1つ良いですか?」
いや、あれをやってなかったわ。
危ない危ない忘れるところだった。
そう思いながら、少し慌てて言った。
「じゃあ、ギルドに、にゃーさんの従魔登録に行こう」
「にゃ!」
「なぁ!」
にゃーさんの従魔登録が済んでなかったな。
普通に忘れていた。
まぁ、ゲームとかで、そういう登録とか、役所みたいなことをするのって珍しいからな。
忘れちゃっても仕方ないよな。結局は思い出せた訳だし。
俺は、辺りをキョロキョロと見回しながら言った。
「そもそもここってどの辺りなんだ?」
「にゃ」
「なぁ」
「地図を見ながらゆっくり行くか」
「なぁー」
「にゃあ」
俺達は、地図を見ながら、ゆっくりと、ギルドに向かった。
俺となーさんはある程度の速度を出せるけど、にゃーさんは、あまりAGIが高くないので、俺達は、にゃーさんのスピードに合わせて歩いた。
なーさんといたときは、なーさんが俺の頭とか肩にとまるから、普通に歩けば良かったけど、にゃーさんは普通に地面を歩くから、何というか、不思議な感覚だな。
俺は、にゃーさんに会わせて歩幅や、歩くスピードを調整しながら歩きつつ言った。
「今は金欠だけど、ある程度お金を稼いだら、にゃーさんの装備も買いたいな」
「にゃ!」
にゃーさんは、アクセサリーの枠がなーさんよりも多めだよな。
それは何でなんだろう。
これは、なーさんが少ないのかな。それとも、にゃーさんが多いのかな。
にゃーさんの特長はそこになってくるのか。
猫系の装備って何があるんだろうな。
支援に対して補正のある装備類を買いたいな。
防御力とかはそこまで高くなくても良いかもな。
純粋な後衛だし。
後は、AGI関連の補正もほしいかな。
やっぱり、のっしり歩くよりも早く駆け回る方がイメージに合うからな。
それとこのままだと、少し効率が悪いからな。
ギルドに着くまでにどのぐらいの時間がかかったのかによっては、肩に乗せて移動することも視野に入れておきたいな。
俺は思いつきで言った。
「そういえば、なーさんがつけている幸運の鈴って、にゃーさんがつけた方が良くないか?」
「なぁ?」
「にゃ?」
幸運の鈴って、確かランダムでバフをばらまく代わりに、奇襲が成功しなくなるという効果だったよな。
にゃーさんが装備すれば、ばらまかれるバフは強力になって、奇襲もしないのでデメリットもない。
相性が良いんじゃないかな。
俺は、段々ふわっと思いつきで言ったものの輪郭が出来てきて、うれしくなりながら言った。
「にゃーさんの指揮下に入ると、バフの効果が上昇したり、にゃーさんの特性によって、みんながいっぱいいっぱいのときに、バフの効果が上昇したりするんだろ? それなら、バフを発生させる、幸運の鈴は、にゃーさんがつけた方が良くないか?」
「なぁあ」
「にゃあ」
2匹とも納得しいる。
じゃあ、付け替えてみるか。
そう思いながら言った。
「にゃーさんに装備してみるか」
「にゃ!」
俺は、ステータスメニューから、なーさんの幸運の鈴を装備解除した。
すると、なーさんに着いていた幸運の鈴が消えた。
ストレージの方に、幸運の鈴が移ったようだ。
ストレージに入った、幸運の鈴を、今度は、にゃーさんに装備する。
あれ?
装備できないぞ?
何でだ?
何度か試しながら言った。
「あれ? うまく装備できないな。何でだろう?」
「にゃ?」
「なぁ?」
一度冷静になろう。
冷静になればすぐにでも分かるはずだ。
そう思い、俺は、一度、幸運の鈴から視線を外して、深呼吸をし出した。
吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸ってぇ、吐いてぇ、吸ってぇえ、吐いてぇえ。
よし落ち着いてきたな。
じゃあ、一度、幸運の鈴の詳細を見てみよう。
そう思い、幸運の鈴の詳細を表示した。
幸運の鈴
ランダムバフ付与確率:小
潜伏能力減少:中
装備枠:アクセサリー
耐久値:93/100
装備条件1:鳥系モンスターであること
装備条件2:従魔であること
鳥系のモンスターが使用するアクセサリー。
鈴の音が幸運を呼ぶと言われている。
鈴の音を聞いた見方に、ランダムでバフを付与することがある。
鈴の音は相手にも届くため、この装備を持つ者は姿を隠し潜伏するのが困難になる。
従魔を助けるために研究され尽くしたアクセサリー。
あ、装備条件が、鳥系のモンスターであることになってる。
だから、なーさんは装備できるけど、にゃーさんは装備できなかったんだな。
この装備条件のことを完全に忘れていたな。
バグとかそういう類のものではないんだな。
これは完全に俺のミスだな。
反省反省。
俺は反省しながら言った。
「あ、この装備って、鳥系のモンスターじゃないと装備できないのか」
「な」
「にゃ」
なーさんは、そういえばそうだったという顔をした。
にゃーさんは、そうなんだ知らなかったという顔をした。
まぁ、にゃーさんが知らないのは当然だな。
だって、なーさんの装備を買ったときにいなかったのだから。
なーさんは、俺と同じで、装備条件を忘れていたんだな。
そうだよな。
忘れちゃうよな。
なんとなくで覚えているからこういう細かいところって忘れちゃうんだよな。
俺は共感するように何度か頷いた後に言った。
「だから、装備できないのか。割と良い考えだと思っていたんだけどな」
「なぁ……」
「にゃ……」
「まさか、装備条件があったとは。完全に忘れていたな」
「なぁ」
「にゃ」
にゃーさんが装備できないのなら、なーさんに装備しておいてもらうしかないな。
なーさんには今まで通り、幸運の鈴で頑張ってもらうことにしよう。
俺は、幸運の鈴を、そっとなーさんの装備に戻してから言った。
「じゃあ、この幸運の鈴は、なーさんに任せるな」
「なぁ!」
「良いバフをたまに出してくれよ」
「なぁ!」
そういえば、幸運の鈴から良いバフを受け取ったことってあったかな?
だいたい、MPアップとか、魔法ダメージアップとか、そういうバフしかこないんだよな。
強いて言うなら、VITアップとか、HPアップのバフは、少し安心感があって良かったかもな。
活躍はしてないけど。
活躍したのは、多分1、2回だよな。
しかも、そういうときに限って、ダンジョンボア2匹とか、ダンジョンラビット2匹とか、敵が弱いときなんだよな。
俺は、俺はしみじみと言った。
「幸運の鈴からベストなバフがベストなタイミングで出たのって、1度か2度ぐらいだよな」
「なぁ……」
俺の言葉でなーさんが落ち込んでしまったので、今度は励ますように言った。
「まぁ、そういう、運要素があるものだと分かっているから、落ち込まないでくれ」
「なぁ」
俺達は、地図を見ながら進んでいった。
そしてなんとか、ギルドまでたどり着いた。
正直町中の地図がなかったから、たどり着ける気がしなかったな。
にゃーさんに任せれば、たどり着けたのかもしれないけど、にゃーさんってどちらかというと住宅エリアが縄張りみたいだし、ギルドへの行き方は知らないのかもしれないな。
そんなことを考えながら、ギルドに入っていく。
俺達はそのままとまることなくいつもの端の受付に向かった。
今日もあの受付のお姉さんはいるんだな。
いや、素材買取りできたときも見かけたな。
そんなことを考えていると、声をかけられた。
「ご用件は何でしょうか?」
俺は、平常心で言った。
「従魔登録をお願いします」
「従魔登録ですね。登録するのはどなたですか?」
受付のお姉さんは、誰を登録するのか分かっていないのか。
なーさんは普通に足に従魔登録証をつけていて、にゃーさんは、何もつけていないから分かりそうなものだけどな。
一応聞いているのか?
俺は、にゃーさんを抱きかかえて、言った。
「この、にゃーさんをお願いします」
「タウンキャットですか。珍しいですね」
受付のお姉さんは珍しいものを見る顔をした。
タウンキャットって珍しいのだろうか?
確かに、この町に来て1日だけど、クエストで出会ったときに始めてみたな。
珍しい猫たちと行動を共に出来たのかな。
それは名誉なことだな。
俺はうれしさを押し殺しながら聞いた。
「珍しいんですか?」
「冒険者の方でタウンキャットを従魔にする方は珍しいですね。タウンキャットはどちらかというと、店とか民家とかで飼われていることが多いですね。タウンキャットは、ネズミなどの害獣を食べくれるということと、不審者が入ってくると鳴くので留守番を任せられるという利点があるので、店とか民家で飼われることが多いです」
そういう意味で珍しいのか。
もっとこう、タウンキャット自体が珍しいのかと思っていた。
そういうことね。
そういうことなら納得だわ。
タウンキャットを従魔登録すると思っていないから、どなたを従魔登録するんですか? と聞いてきたんだな。
珍しいだけのモンスターなら、こいつが従魔登録をするんだなと言うのがすぐにわかるもんな。
そういうことだったのか。
俺は少しだけ気を落としながら言った。
「そうなんですね」
「従魔登録をしますね」
俺は、非常心に戻って言った。
「お願いします」
「それではまず、ギルドカードをお預けください」
俺は、バックからギルドカードを取り出し、受付のお姉さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「こちらの指示に従うように、指示してもらっても良いでしょうか?」
あぁ、前回の従魔登録のときもこういうことを言われた気がするわ。
昨日のことなのに、全然覚えていないな。
濃い1日を送ってきたからかな。
1日も経っていないか。
俺は、にゃーさんと目を合わせて言った。
「分かりました。にゃーさん、この人の指示を聞いてね」
「にゃあ」
今度は、受付のお姉さんの方を向いて言った。
「これで大丈夫だと思います」
「ありがとうございます。それでは、従魔登録をしてきますね」
「よろしくお願いします」
受付のお姉さんは、にゃーさんを連れて奥の部屋へと行ってしまった。
手持ち無沙汰だな。
この間何をしていれば良いんだろうな。
そう思いながら、適当になーさんとじゃれ合っていた。
すると、受付のお姉さんが、にゃーさんを連れて戻ってきた。
従魔登録は終わったのかな。
そう思っていると、受付のお姉さんが言った。
「従魔登録が完了しました。こちらの従魔登録証をつけるようにしてください。猫の従魔の場合は、首輪代わりにしていることが多いですね」
猫は首輪なんだな。
そこが普通なら、そこにつけるか。
そこは別に個性を出すところじゃないもんな。
視認性が大切なところだもんな。
そう思いながら言った。
「そうなんですね、分かりました」
「それにしても珍しいですね」
受付のお姉さんが改めて言った。
さっき言ってた、タウンキャットを冒険者が従魔にするのは珍しいという話かな?
そう思いながら聞いた。
「タウンキャットを従魔にすることがですか?」
「いや、このタウンキャットのなーさんは、特性が『猫の手』だったんですよ」
また予想を外されたな。
もしこれが何かの勝負事での読み合いなら、これだけ外されていたらボコボコになっているんだろうな。
変な妄想を挟んでしまったけど、何だっけ?
『猫の手』が珍しいんだっけ?
そうなのかな。
俺は、にゃーさん以外のタウンキャットを知らないから、そこのところよく分からないな。
俺は、受付のお姉さんに聞いてみた。
「『猫の手』って珍しいんですか?」
「通常のタウンキャットは、90%以上が『猫の目』という特性を持っています。『猫の手』は5,6%程度のタウンキャットしか所持していないと言われています」
へぇ、そんなに珍しいんだ。
定番の方の『猫の目』ってどんな特性なんだろうな。
特性って、『鳥の目』とか、『猫の目』とか『猫の手』とか、なんとなくそんな感じでそろえているのかな。
何というか、種族名ぐらい安直だよな。
もしかしたら、進化したら、もっとかっこよくて、安直じゃない感じの名前に変わるのかな。
余計なことを考えながら言った。
「にゃーさんは、そんなに珍しかったんですね」
「それと、軍団幹部の称号をもつタウンキャットを良く従魔に出来ましたね」
こっちも珍しいようだ。
受付のお姉さんが興奮気味に言った。
受付のお姉さんって、動物好きなのかな。
何というか、いつも以上に、テンションが高い気がする。
俺の気のせいでなければ、いつもより饒舌なような気がする。
俺は、そんなことを考えながら聞いた。
「それも珍しいんですか?」
「軍団幹部のタウンキャトがそもそも少ないというのもありますが、軍団幹部のタウンキャットは警戒心が強く、あまり人前に出てこない猫が多いので、とても珍しいですよ」
「珍しいと珍しいが掛け合わされて、すごい珍しい個体ってことですね」
「そうですね。同じ、特性が『猫の手』で軍団幹部のタウンキャットは、1%もいないと思います」
へぇ、2つ合わせると、そんなに珍しい感じになるんだな。
何というか、最初から個体厳選の最良を引いたという感じなのかな。
すごく運が良いな。
何というか、この後すごく悪いことでもおきそうだな。
いや、既に悪いことが起きているから、これだけ良いことが起こるのかも知れないな。
俺は急にスンと冷静になって言った。
「そんなに珍しいんですね」
「2層で初発見のスカイバードと『猫の手』で軍団幹部のタウンキャットの2匹を従わせているんですね。まるで珍獣ハンターですね」
「たまたまですよ」
「そうなんですかね。珍しい生物が引き寄せられているのかもしれませんね」
そうなのかな。
そうだとしたら、今後もいろいろと珍しい生物が仲間になっていくのかな。
それはそれで楽しそうだな。
まぁ、珍しいとか関係なく、楽しく冒険ができるメンバーをそろえたいな。
「そうだといいんですけど」
「すみません。興奮して少し熱く語りすぎてしまいましたね」
受付のお姉さんが、ハッとなった後、恥ずかしそうに言った。
やっぱり、興奮していたんだな。
生物好きなのかな。
俺は気になったので聞いてみた。
「従魔が好きなんですか?」
「珍しいモンスターや、珍しい従魔が好きでこの職に就いたので、つい興奮してしまって」
へぇ、そういう理由で、受付をやっているんだな。
というか、そこまでの個性を受け付け1人1人につけているってすごいな。
NPCだということを忘れて会話をしていたな。
何というか、運営とか開発の執念を感じるな。
そう思いながら言った。
「そうなんですね」
「えぇ、これで従魔登録は終了になります。イベント依頼頑張ってください」
応対が終了しそうになったので、俺は慌てて言った。
「あの、もう1つ良いですか?」
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SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
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自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件
夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。
周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。
結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
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ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
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