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1章 スタートダッシュ
にゃーさん初戦闘
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俺達は町から出て、南のダンジョンゲートまでやってきた。
列が出来ているなぁ。
昨日の夜は、列はなかったのに。
今や現実の時間で、20時半ぐらいか。
仕事終わりの人たちがログインしてきているのかな。
日中に予定のあった人たちが、その予定を終えてようやくログイン、みたいな感じだから、これだけ賑わっているのかな。
もしくは、昼時は、現地の人たちのダンジョンに入るから、その影響で列が出来ているとかかな。
まぁ、考えた結果、結論が出たからといってなんだという事なんだけどな。
俺は気合いを入れて言った。
「今回は、4層にチャレンジするぞ」
「なぁ!」
「にゃ!」
2人もやる気をみなぎらせているみたいだな。
これは、新しい層にワクワクしているのかな?
それとも、にゃーさんは初めての戦闘だから、なーさんは久しぶりの戦闘だから気合が入っているのかな?
気合が入っているのはいいことだけど、その気合が空回りしないように気をつけないとだな。
なーさんは、まぁ大丈夫だろうだろうけど、にゃーさんは少し心配だな。
にゃーさんは、初の町の外、初のダンジョン、初のモンスターとの戦闘だろうから少し心配だな。
どうにか、にゃーさんの緊張というか、気合の入った態度をほぐしてあげたいな。
リラックスして戦闘したほうが良い成果を上げるだろうし。
いかにして、にゃーさんをリラックスさせるか考えながら言った。
「その前に、1層から、どのぐらい、にゃーさんが戦えるのかというか、どのぐらいの戦力になるのかを見ていくぞ」
「にゃ!」
「な」
間違えちゃったかな。
にゃーさんが逆に、より気合を入れているな。
まぁ、でもにゃーさんって、後衛の支援係だから、気合が入って空回りしても、大した被害は出ないだろう。
それに、1層、2層と空回りをしてもどうにかできる階層で、経験を積んでいけば、だんだん戦闘にも慣れていって、少しずつ緊張もほぐれて来るだろう。
よし、じゃあ、予定よりも1層2層の戦闘量を増やして、ゆっくり潜っていくことにしよう。
にゃーさんの気持ち的にも、俺達がパーティー戦闘に慣れるためにも、そっちのほうが良さそうだな。
そう考えた末に言った。
「だから、戦闘を交えつつ、潜っていくから、前回よりは、3層にたどり着くまで、時間がかかるかもな」
「なぁ」
「にゃ?」
どのぐらい戦えばこのパーティーの戦い方が掴めてくるかな?
1戦でどうにかなるかな。
にゃーさんが慣れるには何戦かかるかな。
1戦じゃどうにもならないだろうな。
まぁ、なんとかなるだろう。
なんとかしないといけないのか。
そう思っていると、ゲートの前までたどり着いてしまった。
どうやら次は俺達の番みたいだ。
俺は、早口で言った。
「俺達の番になったし、じゃあ、とりあえず、ダンジョンに入っちゃうか」
「にゃ」
「なぁ」
俺達はそのままの勢いで、ゲートをくぐった。
ゲートから出るといつもの草原が広がっている。
ここで立ち止まると次に来る人たちの邪魔になってしまうので、2層へのゲートに向かってある程度歩いた。
ある程度歩いた末に立ち止まった。
ダンジョンの中でにゃーさんに聞いた。
「まずは1層だな。にゃーさんは、ダンジョンは初めてか?」
「にゃ!」
にゃーさんは、予想通り、ダンジョン初挑戦らしい。
まぁ、タウンキャットなのだから当たり前か。
どうなるんだろうな。
大丈夫だろうか。
やっぱり不安は不安だな。
そう思いながら言った。
「なら、まずは、1層での戦闘から始めていこう」
「にゃ!」
にゃーさんはやる気満タンだな。
じゃあ、にゃーさんの初戦闘にふさわしい敵を探すか。
そう思い、「索敵」とつぶやこうとしたところで、思い出した。
「猫軍団の称号を有効活用していきたいから、にゃーさん、集合をかけてくれないか?」
「にゃ!」
「なぁ」
せっかく、にゃーさんにあわせて、猫軍団の称号をつけたのに、にゃーさんの指揮下に入っていなかった。
にゃーさんが、招集して、にゃーさんの指揮下に入ることで、にゃーさんに俺達軍団員の一部の経験値が行ったり、にゃーさんから付与されるバフの効果が増大したりする。
その特典を受け取り忘れるところだった。
招集って、どんな感じなのかな。
初体験だから、どんなものか分からないな。
どういう処理をされるのかな。
そう思っていると、にゃーさんが、元気良く鳴いた。
「にゃ! にゃにゃにゃ!」
にゃーさんが鳴くのに合わせて、ウィンドウが出現した。
個体名にゃーさんが、猫軍団の軍団員に対して、招集をかけました。
招集に応じますか? はい/いいえ
※招集に応じる場合は、にゃーさんの指揮下に入ることになります。
こうやって、招集にこたえるんだな。
へぇ、面白いな。
パーティーと買って、こういうウィンドウとかはなく、自然と組まれるものだけど、招集の場合は、こういうウィンドウが出るんだな。
面白い。
そう思いながら俺は、”はい”を押した。
すると、このウィンドウは、消え、新しいウィンドウが出現した。
招集に応じたため、にゃーさんの指揮下に入りました。
指揮下に入ったことで、獲得した経験値の一部が、にゃーさんにも入るようになります。
指揮下に入ったことで、にゃーさんから付与されるバフの効果量が増加しました。
指揮下で、草原フィールドにいるため、AGIが14上昇し、STRが7上昇します。
指揮下で、草原フィールドにいるため、地図に書き込まれる情報量が増えます。
一気に称号の効果が出てきた。
すごい量だな。
まぁ、個々が草原だから、これだけ上乗せされているだけで、2層の森とかに行ったら、プラスの補正はないんだけどな。
それでも、使える程度には、良い称号だよな。
俺は、心の中で称号を褒めながら言った。
「指揮下ってこういう感じなんだな」
「にゃ!」
「なぁ」
指揮下に入った判定なんだろうけど、何かに縛られているという感じはしないな。
にゃーさんの指示を必ず遂行しなければいけないとかそんな風でもないな。
ただ、にゃーさんのバフが強力になる範囲と言うことなのかな。
特殊な処理を経ることで、仲間へのバフが強くなるだけと言うことなのかな。
それならありがたいな。
何か縛られるみたいなことがあったら、称号の付け替えまで視野に入れていたからな。
縛られないというのは大変ありがたいことだな。
体の感覚を確かめながら言った。
「特に何かを縛られている訳ではないんだな」
「にゃ」
「なぁ」
よし、じゃあ次は戦闘だな。
他に戦闘前にやらないといけないことはないよな。
俺は、やることがないことを確認しつつ、辺りをキョロキョロした。
うーん、ちょっとプレイヤーが多いか。
ここだと少し俺達は悪目立ちしそうだな。
少し移動してからで良いかな。
結局、2層に行くために移動するんだし。
先に移動するか後に移動するかの差だしな。
そう思いながら言った。
「よし、じゃあこの状態で移動していくか。ここだとまだ他のプレイヤーも多いみたいだし」
「なぁ」
「にゃ!」
俺達は、人の少ない場所を求めて移動していった。
もちろん、2層への移動も兼ねているため、いつもと同じルートを通って進んでいく。
1層から2層まで行くルートの3分の2程度まで進んだところで、人気が少なくなってきたので、足を止めた。
この辺りで良いかな。
俺達が利用しているゲートも少し行ったあたりだし、人気も少ないし、なんとなく良い感じにモンスターもいそうだし。
俺はつぶやいた。
「索敵」
数十メートル先に、3羽のダンジョンラビットがいた。
ちょうど良い敵だな。
残りは、後方の遠くの方に、2羽かな。
これは、ルートを逆戻りすることになってもったいないからスルーだな。
今回は、プレイヤーが多く、ダンジョンラビットとの遭遇がなかったため、今回が初戦闘だ。
まぁ、にゃーさんの初戦闘で最適な場所を探して歩いていたのに、その前に初戦闘をしていたら、今は何をしているんだと言うことになっちゃうからな。
俺は適当なことを考えながら言った。
「じゃあ、少し先にいる、ダンジョンラビット3羽の群れから戦闘を始めるか」
「にゃ」
「なぁー」
にゃーさん、気合い入っているな。
それ以上に、なーさんが気合い入っているみたいだ。
こっちは何でなんだろう。
先輩として後輩に良い背中を見せたいとかなのかな。
まぁ、張り切るのは良いけど、空回りしないようにな。
俺はなーさんを見ながらそう思った。
俺は淡々と、布陣を伝えていった。
「布陣は、なーさんが、前衛、俺とにゃーさんは、後衛だな。なーさんは、ヘイト取りと、前衛での戦闘、俺が後衛から弓を放つ、にゃーさんは、俺達2人の支援という、役割で良いか?」
「なぁ!」
「にゃ!」
盛り上がっているなぁ。
なんか、俺だけ冷静なのが申し訳なくなってきたな。
俺ももう少しテンションを上げようかな。
そう思いながら言った。
「じゃあ、なーさんが、接敵したら、戦闘開始だな」
「なぁ」
「にゃ!」
なーさんが、ダンジョンラビットに向かって飛んで行く。
俺とにゃーさんはその背中を見送った。
俺はなーさんの背中を見ながら弓を構える。
にゃーさんは、元気良く鳴いた。
「にゃ! にゃ!」
にゃーさんが、鳴くと同時に、バフが入った。
にゃーさんが、アロンに、支援魔法STRアップを発動しました。
アロンのSTRが7上昇しました。
にゃーさんが、なーさんに、支援魔法VITアップを発動しました。
なーさんのVITが7上昇しました。
結構なバフだな。
7も上昇するのか。
猫軍団で、バフ量が増加しているとは言え、かなりのバフだな。
追加されて7と言うことは、元は5とかそれぐらいなのかな。
そうだとしたら、猫軍団ってすごい称号なのかもしれないな。
今は、2とかしか変わらないけど、これが、7から、70になったら、2じゃなくて20も上がることになるのか。
20なら、レベル4つ分のステータスになる。
これは、にゃーさんのバフの成長が楽しみだな。
それと、にゃーさんに、ちゃんとした装備と、ちゃんとしたスキルを与えないとダメだな。
ちゃんとした装備やスキル一式を与えたら、簡単にバフの量が10とかに届くんじゃないかな。
俺はその未来を想像してわくわくしながら言った。
「7も上昇するんだな」
「にゃ」
ちょうど、なーさんが、ダンジョンラビットと接敵して、戦闘が始まった。
俺は弓を構えながら言った。
「じゃあ、この状態で攻撃してみようかな」
俺は、息をふぅと吐くと、集中して、矢を放った。
372ダメージ
1発で倒した。
さすがにもう、1層のダンジョンラビットぐらいなら、1発だよな。
俺がゆっくり1羽倒している間に、なーさんが他の2羽を倒していた。
戦闘終了のウィンドウが出現する。
ダンジョンラビット×3を討伐しました。
素材は、直接ストレージに入れられました。
獲得素材:兎革×3
経験値を得ました。
何というか、バフによる変化は感じられなかったな。
まぁ、元々圧倒しているからしょうがないよな。
もっとギリギリの戦闘になると、すごい効果を発揮してくれるんだろうな。
そのときが楽しみだな。
俺はその未来を想像してわくわくしながら言った。
「とりあえず、ダンジョンでの初戦を終えたけど、にゃーさん、どうだった?」
「にゃー、にゃ!」
にゃーさんは、戦闘前の興奮とは打って変わって冷静に戦闘に臨んでいたな。
これは直接戦闘をする職じゃないことも関係しているのかな。
それとも、モンスターとして生まれたからには、それぐらい出来て当たり前なのかな。
なーさんも、生まれてすぐの戦闘から活躍していたよな。
もしかして、モンスター的には当たり前だったのかな?
そう思いながらにゃーさんに確認した。
「恐怖心とか、ストレスとかはなかったか?」
「にゃ!」
恐怖心とかストレスもないんだな。
俺は、これがゲームだと分かっていても、リアルすぎて初戦闘は少しだけ怖かった気がする。
モンスターは心の作りも違うのかもしれないな。
まぁ、どうであれ、活躍してくれるのは単純にうれしいな。
頑張ってほしいな。
そう思いながら言った。
「ないなら良いんだ。そんだけ動揺しないんなら、にゃーさんは、案外、戦闘向きのタウンキャットなのかもな」
「にゃ!」
にゃーさんが戦闘になれるのは、思っていたよりもあっさり達成しそうだな。
もう慣れているようにも見えるけど、一応2層3層でも丁寧に戦闘の機会を設けて、戦闘をしないとだな。
その戦闘はどちらかというと、にゃーさんが戦闘になれると言うより、俺達が3人パーティーでの戦いになれることがメインになりそうだな。
まだ、にゃーさんの支援魔法の効果的な使い方が分かっていないんだよな。
どうしたら良いんだろうな。
俺は心の中で首をかしげながら言った。
「元から1発を倒せるやつを1発で倒しただけだから、ここではあまり、にゃーさんのバフのありがたみを感じなかったけど、2層の戦闘とか3層の戦闘、チャレンジする、4層の戦闘では、重宝しそうな気がするな」
「にゃ!」
「なぁ」
俺は2人のテンションにあわせて元気よく言った。
「にゃーさんが、戦闘に参加できることが分かったし、さっさと、次の層に向かって移動しよう。さすがに1層に用はないからな」
「にゃ」
「なぁー」
俺達は、勢いそのまま2層へと移動していった。
列が出来ているなぁ。
昨日の夜は、列はなかったのに。
今や現実の時間で、20時半ぐらいか。
仕事終わりの人たちがログインしてきているのかな。
日中に予定のあった人たちが、その予定を終えてようやくログイン、みたいな感じだから、これだけ賑わっているのかな。
もしくは、昼時は、現地の人たちのダンジョンに入るから、その影響で列が出来ているとかかな。
まぁ、考えた結果、結論が出たからといってなんだという事なんだけどな。
俺は気合いを入れて言った。
「今回は、4層にチャレンジするぞ」
「なぁ!」
「にゃ!」
2人もやる気をみなぎらせているみたいだな。
これは、新しい層にワクワクしているのかな?
それとも、にゃーさんは初めての戦闘だから、なーさんは久しぶりの戦闘だから気合が入っているのかな?
気合が入っているのはいいことだけど、その気合が空回りしないように気をつけないとだな。
なーさんは、まぁ大丈夫だろうだろうけど、にゃーさんは少し心配だな。
にゃーさんは、初の町の外、初のダンジョン、初のモンスターとの戦闘だろうから少し心配だな。
どうにか、にゃーさんの緊張というか、気合の入った態度をほぐしてあげたいな。
リラックスして戦闘したほうが良い成果を上げるだろうし。
いかにして、にゃーさんをリラックスさせるか考えながら言った。
「その前に、1層から、どのぐらい、にゃーさんが戦えるのかというか、どのぐらいの戦力になるのかを見ていくぞ」
「にゃ!」
「な」
間違えちゃったかな。
にゃーさんが逆に、より気合を入れているな。
まぁ、でもにゃーさんって、後衛の支援係だから、気合が入って空回りしても、大した被害は出ないだろう。
それに、1層、2層と空回りをしてもどうにかできる階層で、経験を積んでいけば、だんだん戦闘にも慣れていって、少しずつ緊張もほぐれて来るだろう。
よし、じゃあ、予定よりも1層2層の戦闘量を増やして、ゆっくり潜っていくことにしよう。
にゃーさんの気持ち的にも、俺達がパーティー戦闘に慣れるためにも、そっちのほうが良さそうだな。
そう考えた末に言った。
「だから、戦闘を交えつつ、潜っていくから、前回よりは、3層にたどり着くまで、時間がかかるかもな」
「なぁ」
「にゃ?」
どのぐらい戦えばこのパーティーの戦い方が掴めてくるかな?
1戦でどうにかなるかな。
にゃーさんが慣れるには何戦かかるかな。
1戦じゃどうにもならないだろうな。
まぁ、なんとかなるだろう。
なんとかしないといけないのか。
そう思っていると、ゲートの前までたどり着いてしまった。
どうやら次は俺達の番みたいだ。
俺は、早口で言った。
「俺達の番になったし、じゃあ、とりあえず、ダンジョンに入っちゃうか」
「にゃ」
「なぁ」
俺達はそのままの勢いで、ゲートをくぐった。
ゲートから出るといつもの草原が広がっている。
ここで立ち止まると次に来る人たちの邪魔になってしまうので、2層へのゲートに向かってある程度歩いた。
ある程度歩いた末に立ち止まった。
ダンジョンの中でにゃーさんに聞いた。
「まずは1層だな。にゃーさんは、ダンジョンは初めてか?」
「にゃ!」
にゃーさんは、予想通り、ダンジョン初挑戦らしい。
まぁ、タウンキャットなのだから当たり前か。
どうなるんだろうな。
大丈夫だろうか。
やっぱり不安は不安だな。
そう思いながら言った。
「なら、まずは、1層での戦闘から始めていこう」
「にゃ!」
にゃーさんはやる気満タンだな。
じゃあ、にゃーさんの初戦闘にふさわしい敵を探すか。
そう思い、「索敵」とつぶやこうとしたところで、思い出した。
「猫軍団の称号を有効活用していきたいから、にゃーさん、集合をかけてくれないか?」
「にゃ!」
「なぁ」
せっかく、にゃーさんにあわせて、猫軍団の称号をつけたのに、にゃーさんの指揮下に入っていなかった。
にゃーさんが、招集して、にゃーさんの指揮下に入ることで、にゃーさんに俺達軍団員の一部の経験値が行ったり、にゃーさんから付与されるバフの効果が増大したりする。
その特典を受け取り忘れるところだった。
招集って、どんな感じなのかな。
初体験だから、どんなものか分からないな。
どういう処理をされるのかな。
そう思っていると、にゃーさんが、元気良く鳴いた。
「にゃ! にゃにゃにゃ!」
にゃーさんが鳴くのに合わせて、ウィンドウが出現した。
個体名にゃーさんが、猫軍団の軍団員に対して、招集をかけました。
招集に応じますか? はい/いいえ
※招集に応じる場合は、にゃーさんの指揮下に入ることになります。
こうやって、招集にこたえるんだな。
へぇ、面白いな。
パーティーと買って、こういうウィンドウとかはなく、自然と組まれるものだけど、招集の場合は、こういうウィンドウが出るんだな。
面白い。
そう思いながら俺は、”はい”を押した。
すると、このウィンドウは、消え、新しいウィンドウが出現した。
招集に応じたため、にゃーさんの指揮下に入りました。
指揮下に入ったことで、獲得した経験値の一部が、にゃーさんにも入るようになります。
指揮下に入ったことで、にゃーさんから付与されるバフの効果量が増加しました。
指揮下で、草原フィールドにいるため、AGIが14上昇し、STRが7上昇します。
指揮下で、草原フィールドにいるため、地図に書き込まれる情報量が増えます。
一気に称号の効果が出てきた。
すごい量だな。
まぁ、個々が草原だから、これだけ上乗せされているだけで、2層の森とかに行ったら、プラスの補正はないんだけどな。
それでも、使える程度には、良い称号だよな。
俺は、心の中で称号を褒めながら言った。
「指揮下ってこういう感じなんだな」
「にゃ!」
「なぁ」
指揮下に入った判定なんだろうけど、何かに縛られているという感じはしないな。
にゃーさんの指示を必ず遂行しなければいけないとかそんな風でもないな。
ただ、にゃーさんのバフが強力になる範囲と言うことなのかな。
特殊な処理を経ることで、仲間へのバフが強くなるだけと言うことなのかな。
それならありがたいな。
何か縛られるみたいなことがあったら、称号の付け替えまで視野に入れていたからな。
縛られないというのは大変ありがたいことだな。
体の感覚を確かめながら言った。
「特に何かを縛られている訳ではないんだな」
「にゃ」
「なぁ」
よし、じゃあ次は戦闘だな。
他に戦闘前にやらないといけないことはないよな。
俺は、やることがないことを確認しつつ、辺りをキョロキョロした。
うーん、ちょっとプレイヤーが多いか。
ここだと少し俺達は悪目立ちしそうだな。
少し移動してからで良いかな。
結局、2層に行くために移動するんだし。
先に移動するか後に移動するかの差だしな。
そう思いながら言った。
「よし、じゃあこの状態で移動していくか。ここだとまだ他のプレイヤーも多いみたいだし」
「なぁ」
「にゃ!」
俺達は、人の少ない場所を求めて移動していった。
もちろん、2層への移動も兼ねているため、いつもと同じルートを通って進んでいく。
1層から2層まで行くルートの3分の2程度まで進んだところで、人気が少なくなってきたので、足を止めた。
この辺りで良いかな。
俺達が利用しているゲートも少し行ったあたりだし、人気も少ないし、なんとなく良い感じにモンスターもいそうだし。
俺はつぶやいた。
「索敵」
数十メートル先に、3羽のダンジョンラビットがいた。
ちょうど良い敵だな。
残りは、後方の遠くの方に、2羽かな。
これは、ルートを逆戻りすることになってもったいないからスルーだな。
今回は、プレイヤーが多く、ダンジョンラビットとの遭遇がなかったため、今回が初戦闘だ。
まぁ、にゃーさんの初戦闘で最適な場所を探して歩いていたのに、その前に初戦闘をしていたら、今は何をしているんだと言うことになっちゃうからな。
俺は適当なことを考えながら言った。
「じゃあ、少し先にいる、ダンジョンラビット3羽の群れから戦闘を始めるか」
「にゃ」
「なぁー」
にゃーさん、気合い入っているな。
それ以上に、なーさんが気合い入っているみたいだ。
こっちは何でなんだろう。
先輩として後輩に良い背中を見せたいとかなのかな。
まぁ、張り切るのは良いけど、空回りしないようにな。
俺はなーさんを見ながらそう思った。
俺は淡々と、布陣を伝えていった。
「布陣は、なーさんが、前衛、俺とにゃーさんは、後衛だな。なーさんは、ヘイト取りと、前衛での戦闘、俺が後衛から弓を放つ、にゃーさんは、俺達2人の支援という、役割で良いか?」
「なぁ!」
「にゃ!」
盛り上がっているなぁ。
なんか、俺だけ冷静なのが申し訳なくなってきたな。
俺ももう少しテンションを上げようかな。
そう思いながら言った。
「じゃあ、なーさんが、接敵したら、戦闘開始だな」
「なぁ」
「にゃ!」
なーさんが、ダンジョンラビットに向かって飛んで行く。
俺とにゃーさんはその背中を見送った。
俺はなーさんの背中を見ながら弓を構える。
にゃーさんは、元気良く鳴いた。
「にゃ! にゃ!」
にゃーさんが、鳴くと同時に、バフが入った。
にゃーさんが、アロンに、支援魔法STRアップを発動しました。
アロンのSTRが7上昇しました。
にゃーさんが、なーさんに、支援魔法VITアップを発動しました。
なーさんのVITが7上昇しました。
結構なバフだな。
7も上昇するのか。
猫軍団で、バフ量が増加しているとは言え、かなりのバフだな。
追加されて7と言うことは、元は5とかそれぐらいなのかな。
そうだとしたら、猫軍団ってすごい称号なのかもしれないな。
今は、2とかしか変わらないけど、これが、7から、70になったら、2じゃなくて20も上がることになるのか。
20なら、レベル4つ分のステータスになる。
これは、にゃーさんのバフの成長が楽しみだな。
それと、にゃーさんに、ちゃんとした装備と、ちゃんとしたスキルを与えないとダメだな。
ちゃんとした装備やスキル一式を与えたら、簡単にバフの量が10とかに届くんじゃないかな。
俺はその未来を想像してわくわくしながら言った。
「7も上昇するんだな」
「にゃ」
ちょうど、なーさんが、ダンジョンラビットと接敵して、戦闘が始まった。
俺は弓を構えながら言った。
「じゃあ、この状態で攻撃してみようかな」
俺は、息をふぅと吐くと、集中して、矢を放った。
372ダメージ
1発で倒した。
さすがにもう、1層のダンジョンラビットぐらいなら、1発だよな。
俺がゆっくり1羽倒している間に、なーさんが他の2羽を倒していた。
戦闘終了のウィンドウが出現する。
ダンジョンラビット×3を討伐しました。
素材は、直接ストレージに入れられました。
獲得素材:兎革×3
経験値を得ました。
何というか、バフによる変化は感じられなかったな。
まぁ、元々圧倒しているからしょうがないよな。
もっとギリギリの戦闘になると、すごい効果を発揮してくれるんだろうな。
そのときが楽しみだな。
俺はその未来を想像してわくわくしながら言った。
「とりあえず、ダンジョンでの初戦を終えたけど、にゃーさん、どうだった?」
「にゃー、にゃ!」
にゃーさんは、戦闘前の興奮とは打って変わって冷静に戦闘に臨んでいたな。
これは直接戦闘をする職じゃないことも関係しているのかな。
それとも、モンスターとして生まれたからには、それぐらい出来て当たり前なのかな。
なーさんも、生まれてすぐの戦闘から活躍していたよな。
もしかして、モンスター的には当たり前だったのかな?
そう思いながらにゃーさんに確認した。
「恐怖心とか、ストレスとかはなかったか?」
「にゃ!」
恐怖心とかストレスもないんだな。
俺は、これがゲームだと分かっていても、リアルすぎて初戦闘は少しだけ怖かった気がする。
モンスターは心の作りも違うのかもしれないな。
まぁ、どうであれ、活躍してくれるのは単純にうれしいな。
頑張ってほしいな。
そう思いながら言った。
「ないなら良いんだ。そんだけ動揺しないんなら、にゃーさんは、案外、戦闘向きのタウンキャットなのかもな」
「にゃ!」
にゃーさんが戦闘になれるのは、思っていたよりもあっさり達成しそうだな。
もう慣れているようにも見えるけど、一応2層3層でも丁寧に戦闘の機会を設けて、戦闘をしないとだな。
その戦闘はどちらかというと、にゃーさんが戦闘になれると言うより、俺達が3人パーティーでの戦いになれることがメインになりそうだな。
まだ、にゃーさんの支援魔法の効果的な使い方が分かっていないんだよな。
どうしたら良いんだろうな。
俺は心の中で首をかしげながら言った。
「元から1発を倒せるやつを1発で倒しただけだから、ここではあまり、にゃーさんのバフのありがたみを感じなかったけど、2層の戦闘とか3層の戦闘、チャレンジする、4層の戦闘では、重宝しそうな気がするな」
「にゃ!」
「なぁ」
俺は2人のテンションにあわせて元気よく言った。
「にゃーさんが、戦闘に参加できることが分かったし、さっさと、次の層に向かって移動しよう。さすがに1層に用はないからな」
「にゃ」
「なぁー」
俺達は、勢いそのまま2層へと移動していった。
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ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
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