幸福論

立華あみ

文字の大きさ
17 / 36

番外編(完結一年後秋頼Side②)

しおりを挟む
 ––––友達に秋頼さんを彼氏として紹介したい。
 いつか、こういう話が来るだろうとは予想していたが、案の定だった。
 絢聖の友達の彼氏が、すごく恋人を溺愛するタイプで、のろけを聞かされ、影響されたのだろう。つくづく、絢聖は流されやすい。表面上は穏やかに振る舞っていても、内心羨ましくて仕方ないのが透けて見える。
「悠じゃだめなのかい?」
「悠は…こういう場、苦手ですから」
 悠が苦手なのではなく、絢聖がドライな態度の悠を連れて行くのが嫌なのだろう。
「苦手…ね。私は構わないのかい?」
「もちろん!だって、絶対目の前でいちゃつかれます!秋頼さんは、僕が恥をかかないようにしてくれるでしょう?」
 恥…それはおそらく、溺愛されていないと判断されることなのだろう。
「恥…ね。何をして欲しいんだい?」
「そっ…それは、その…場合によります!でも、悠そういうのわからないし。人前でベタベタするとか、絶対嫌がるし…」
 真っ赤に顔を染めながら話す絢聖に、絆される自分のだらしなさが憎いが、これを断ったら彼の暴走がはじまりそうだ。
「なるほどね…。会うのは構わないよ。いつなんだい?」
「明後日。秋頼さんもお仕事お休みでしたよね?」
「あぁ…休みだ。時間が決まったら、教えてくれ」
 ずっと欲しかった物が手に入った子どものような顔をする絢聖が可愛くて仕方ない。こんな、素直な子を甘やかさない悠の気持ちがわからないが…まぁまぁ重くはあるのかもしれない。
 秋頼は彼の髪を撫でながら、スケジュールを携帯のカレンダーに打ち込んだ。
  
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

彼の理想に

いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。 人は違ってもそれだけは変わらなかった。 だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。 優しくする努力をした。 本当はそんな人間なんかじゃないのに。 俺はあの人の恋人になりたい。 だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。 心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

僕の恋人は、超イケメン!!

BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

今日も一緒に

藤吉めぐみ
BL
高校三年間、聡祐に片想いをしていた湊は、卒業式に告白したが、「知らない奴とは付き合えない」とふられてしまう。 叶わない恋には見切りをつけて、大学では新しい恋をすると決めて一人暮らしを始めた湊だったが、隣に引っ越していたのは聡祐だった。 隣に自分に好きだと言ったやつがいるのは気持ち悪いだろうと思い、気を遣い距離を取る湊だったが、聡祐は『友達』として接するようになり、毎日一緒に夕飯を食べる仲になる。近すぎる距離に一度は諦めたのに湊の気持ちは揺れ動いて…… 聡祐とは友達になると決めて幸せになれる恋を始めるべきか、傍に居れるうちは諦めずに好きなままでいればいいのか――ドキドキの新生活、お隣さんラブ。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

処理中です...