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『いつもどおり』

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エリ「……………痛っ…いたい、っ………!」


今日も朝起きると、頭痛がする。
ここ一週間、朝起きると必ずと言って良いほどズキズキと不快な頭痛がするのだ。

エリ「はあ……なんか頭も回んないし、今日は学校休もう…。」

自分の部屋から出て、階段を下る。
ザ・朝ごはんと言う感じの面々が並んだ食卓に、いつものようにいつもの席に座る。

「いただきまーす……」
ふーっ、ふーっ………ズッ。
味噌汁を一口。


はあ………うん。いつもの味。



エリ「……あ、お母さん。今日ちょっと頭痛いから、学校休んでいい?…」

母「んー?頭痛?…熱とかは無いの?」

エリ「うん…熱はないんだけど……。…ダメかな」

母「…………いや、良いわよ。今日はゆっくり休んで、安静にしてなさい」

エリ「…え?…いいの?」


…実を言うと私はちょくちょくズル休みをしていて、その時は決まって腹痛か頭痛なのだ。

なぜかって?熱と違って腹痛と頭痛は数値にして測れないから。

…けどまあ決まって見破られて、泣く泣く学校に行くハメになることがほとんどなんだけど。

…だからてっきり、そう思われるかと…。

母「…あのねえ。私アンタの母親十七年間やってきてんのよ。娘の体調くらい分かるわよ」

弟「それに姉ちゃんめっちゃ顔に出るから分かりやすいし。それに昨日なんか変だったし、今日はしっかり休みなよ」

エリ「ん…ありがと……」


うちは四人家族。
お母さんとお父さんと弟、そして私の四人で暮らしている。

わりとケンカもしょっちゅうだけど、わりかし仲は良いと思う。

…わりと私が知らないだけで、皆私のこと分かってるんだな…。



母「……はい。はい。頭痛がするみたいで………はい。はい、すみません、よろしくお願いします。失礼します…。」

エリ「学校に電話?」

母「うん。特に連絡事項等は無いみたいよ。だから朝一緒に行ってる…カホちゃんよね?その子に休むこと伝えておいたら?」

エリ「あ……そっか。メールで大丈夫かな」

母「えーと今七時前……そうね。いいんじゃないかしら。多分見ると思うけど」

エリ「じゃ、ちょっと先伝えておくわ…」

母「え、大丈夫?部屋から携帯取ってこようか?」

エリ「大丈夫だよ、それくらい」


…今日の私そんな具合悪そうなのかな。確かになんか頭ボ~っとするし頭痛もするけど、インフルに比べれば全然楽だし…。

廊下でペタペタと足音を鳴らしながら、もう一度自分の部屋へ入る。

机の上に放っておいたガラケーを開く。


(…そういえば、カホとかリョータとかはもうスマホだよなぁ。…いいな。なんかガラケーってダサいし……)

そう思いながらカコカコと下のキーを鳴らし、「カホ」の連絡先を探す。

エリ「……あ、みっけ。…えーと、『おはよう☀朝早くゴメン。今日具合悪くて学校休む…先行ってて~(;;)』…送信っと。」

「送信完了」の文字を見送ってから携帯を閉じ、再び机の上に置く。


エリ「…うちって、そんな貧乏なのかな。うちのクラス多分皆スマホだし、私一人だけ……。………」

…やめよう。
具合悪くて、なにもかもネガティブに考えちゃいそう。

早く朝ごはん食べて、ふとん入ろ……


階段を下りようとした……―――その時。


「……あ、れっ…………?」

体から力が、抜けていく。


視界、が……歪む――――――





母『――エリッ!!』



――――次目覚めたとき、私は病院のベッドに横たわっていた。
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