義兄がアホエロで困ってます

てぃな

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プレゼント?

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「ただいま。」










俺には義理の兄がいる。


半年前、ずっと男手ひとつで育ててくれた父さんが再婚し、義理の母と兄ができた。

義母のマリエさんはとても優しく、本当の母であるかのように接してくれる。

それに、月一で出る手作りライスコロッケが絶品なのだ。

父さんには悪いが、食事の質が以前より格段に上がった気がする。


義兄であるダイキさんも、マリエさんと同じように、元々人見知りな俺に気を使って、何度も話しかけてくれた。

ダイキさんは、自分より3つも歳上とは思えないほど幼い顔立ちをしている。

初めて会った時は、本当は義弟なんじゃないかと思った程だ。


だけど、何日か一緒に過ごしていくうちに、内面まで子どもであることが分かった。


夕飯でサラダが出た時には、「ヒカル、これ好きやんな?」とか言って自分が嫌いなトマトだけ器用に寄越してくるし、

「もう~入ってるなら言ってやぁ」とかおちゃらけた顔して、勝手に鍵を開けてトイレに入ってきたりする。

このくだりなんて何度やられたことか...


少々、いや、かなり面倒くさいところがあるが、ずっと父と2人だけの生活を送っていた俺は、ちょっかいをかけられたり、くだらない会話をしたりして笑い合う毎日が大好きだった。

それに、10年程前に大阪から越してきたという2人の関西弁での会話は、何だか新鮮で面白かった。








靴を揃え、指にくい込んだビニール袋を見て、思わず顔が綻ぶ。



今日は12月24日。世間ではクリスマスイブを満喫すべく、イルミネーションやらプレゼント交換やらでお祭り騒ぎの日だ。


人生で初めてのクリスマスパーティー··········なんて思っていたが、どうやら父さんとマリエさんは夫婦水入らずで高級イタリアンを食べに行ってしまったらしい。


あんな幸せそうな表情の父さん、何年ぶりだろうか。



(何気にダイキさんと二人で過ごすの、初めてなんだよなぁ。)



いつもは家に帰るとマリエさんがいるため、ダイキさんと二人きりになる機会がなかった。



(ダイキさん、甘いもの好きだっけ......)



せっかくのクリスマスイブ、男2人だけでも楽しみたいと思い、立ち寄ったケーキ屋。


高校生には少し値が張ったが、ダイキさんが無邪気に喜びながらケーキを頬張る姿を想像していたら、いつの間にか購入していたのだ。



「ダイキさーん?」



リビングに入りダイキさんを呼ぶが返事がない。

いつもなら家のドアを開けた瞬間、ドタドタいいながら迎えてくれるのに。


「...ってそれもう犬やないかい。」



はっ、ダイキさんのツッコミがうつってしまった·····


(、、もしかして友達と出掛けた...?)


いくら俺のことが大好きだといっても、さすがに今日はサークルの飲み会に行ってしまったのだろうか...。



「でも部屋の電気はついてるし.........ん?」



なにやらリビングの中央にとんでもない大きさの箱があるのだが...?



テーブルで隠れて見えなかったが、赤いリボンの巻かれた白いプレゼントボックスのようなものが異様な存在感を出していた。


(まさか父さんとマリエさんが?  いや、さすがにこんな大きなものプレゼントしないよな。)


開けるか開けないか、数十秒葛藤した末、勇気を出して開けてみることに。


よしっ、.......せーのっ、



「メリークリスマース!!」


「うわぁ!?」



リボンを解き、大きな蓋を開けてみると、箱の中には大きなおもちゃ........ではなく、大きな子ども───ダイキさんが入っていた。しかもサンタコスまでしている。



「プレゼントはオ・レ♡   なんちゃってw」


はぁ、、これが大学生のやることか...。

まあ、ダイキさんらしいし、とりあえず見捨ててなくて良かった。


「もう、何やってるんですか...。もしかしてずっとその中で待ってたんですか?」

「ドアが開く音がしたから、急いで入ったんやで。 あ!  ケーキあるやん! ヒカルも可愛ええことしてくれるなぁ!」


(あぁ、なるほど、俺がダイキさんと出会った頃のことを思い出している間に入ったんだな。)



「可愛いってなんですか。そんなこと言うなら全部俺が食べちゃいますよ。」

「あぁっ、あかんあかん! ケーキだけは譲れへん!」

「じゃあ早く出てきてください。それとその箱、わざわざ買ったんですか?  サンタの服も。」

「せやで。この服はコレ買った時におまけでついてきてん。あと、もう1つサービスでオモチャが届く言うてたな。」



(普通こんな箱一つ買っただけでそんな色々ついてくるか?  でもまあ、俺のためにいろいろ考えてくれたんだろうな。)


夕飯のチキンやらを並べながら、良い兄をもったなと少し嬉しくなった。

こんなふざけた人だが、やっぱり最高の家族なのだ。



「ダイキさん、ちょっとは準備手伝ってくださいよ。」


「いやぁなんかな、体がすっぽりハマって出れなくなってもうた」


「、、、、、は?」


前言撤回。ただのアホな5歳児だったわ。


「へへ、どないしよ~」

「よくそんな呑気なこと言えますね....。もしかしたら、もう一生出れないかも......なぁんt」

「えっ、それは嫌やぁ、ヒカルと遊べなくなるやんかぁっ、」

「あ、いや、、じょうだんっ、冗談ですよ!」


(俺と遊べなくなるのが嫌とか、どんだけ俺のこと好きなんだこの人。。)


「にしても、どうしましょうか。手でちぎれるような柔らかさではないし、カッターやハサミを使おうにもダイキさんが危なすぎる。」

「俺イタイのは嫌やからな!」

「じゃあ自分でも考えてくださいよ!」



──ピンポーン


「あ、オモチャ届いたんかな?」

「はぁ、もう、俺がとってくるんで、その間に考えといてくださいよ。」

「はーい」

 

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