2 / 87
体育委員
しおりを挟む
午後のHRで委員会決めをした。
なかなか決まらなかったのは体育委員だ。
体育祭や球技大会など行事が多すぎて、
部活をやりたい子やバイトをしてる子はやりたがらない。
私もできたら何もしたくないから、
窓の外を眺めて過ごした。
ツバサくんと行く駅前のパンケーキ屋さんの事を考えてワクワクしてた。
ツバサくんってスイーツを見つけるアンテナはかなり高感度なんだよな。
いつも流行りをキャッチして教えてくれる。
「おい、ね、おい、」
そう隣から呼ばれてるのに気が付いた。
陰気野郎だ!
「何?」
私もつっけんどんになる。
「早く挨拶しろよ。次は俺なんだよ」
は?
思わず大声を出してしまった。
黒板を見ると、
私と陰気野郎の名前が書いてある。
体育委員の欄だ。
「な、なんで、こうなったの?」
私の声に先生が言う。
「やだなぁ、木下さん。
誰もやりたがらないから今、
くじを回して引いてもらったじゃない」
え、うそ、私、引いたのか。
ボーっとしてた。
「じゃあ決定ね。体育委員は木下さんと工藤くんね。」
決定した途端、女子がこぞって
自分が体育委員をやると言い出した。
え?
なんで。
なら初めからやれよ!
「じゃあお願いしまーす」
と私が言うと先生が首を振った。
「不純な動機の人にはやらせません。
くじ通り木下さんと工藤くんね」
ちょっと待ってよ、
体育委員の不純な動機って何?
何か利点あるわけ?
やりたい人がいるならやってもらってよ。
納得いかない。
「やりたい人にやってもらえばいいのにね」
工藤くんにそう言ってみた。
初めて工藤くんは私を見た。
おっ、見た。
「そういうの、いいから。」
ただそれだけ言った。
どういう意味?
そういうのって何?
この人、本格的にコミュニケーションが難しい人なのかも。
ちょっと怖い。
なるべく近づかないようにしよう。
だけど、早速、放課後に体育委員の仕事ができた。
来週の体力測定の為の個人カード作りだ。
画用紙を厚紙に貼ったり切ったり、
表を書いたり、各競技の諸注意を
模造紙に書く仕事だった。
教室に残り作業をした。
まずは個人カードを40枚作りあげてから、
他の作業に入ろうと提案してみた。
バラバラで作業するより、
協力した方が早いと思ったから。
何しろ、私は今日、予定があるし。
だけど、この陰気野郎!
「は?効率的?
俺は木下さんと協力するつもりはない。
1人でやってくれ。」
なんで?
どうして?
「いや。だから、協力した方が早いでしょって話なの。
タラタラやりたいの?
早く帰りたいんじゃないの?」
イライラする。
「しつこいな。
そんな手に俺は乗らない。
いいか、たまたま隣の席で、
たまたま同じ委員だからって
俺に馴れ馴れしくするな。
うっとおしい」
馴れ馴れしい?
一緒に作業するのが?
どうしたんだろう、この人は。
そんな手とは、何?
だいたい、なんで偉そうな訳?
なんだっけ、こういうの。
俺様的な。
俺は他の人と違う的な。
「あー中2病か」
すごい目で私を睨む。
中2病の人、初めて見たな。
後でツバサくんに話そう。
「もう、俺に話しかけるな」
キィィー!
お前こそ話しかけんなよ。
陰気野郎!
心の中でけちょんけちょんにする。
結局バラバラで始めた作業は、
なかなか終わらず。
私はツバサくんとの約束を
大幅に遅れさせてもらった。
許さない、中2病野郎。
作業が終わり、片付けをし帰り仕度をした。
教室を出るときに、挨拶はした。
私もいちお、オトナ。
「じゃあね、お疲れ様。工藤くん」
まぁ想像通りだけどキレイにスルー。
人をこんなに見事に無視できるなんて本当、
見たことないくらい性格悪い。
ムカツク!
あーダメだ!
「ねぇ、どうしたらそんな性格悪くなるわけ?
挨拶されたら返す、これ常識でしょ。
っていうか、普通に話せないわけ?」
やっぱり我慢できずに工藤くんに言った。
人に面と向かって怒ったのって
初めてかもしれない。
彼は目だけ上げて私を見て、
クスっと笑った。
笑った?今。
何?
怖い。
「今度はそういう作戦か。
なるほどね。俺を怒らせる?
あんたさ、
今までの奴の中で1番面倒くせぇーよ。
興味ないフリならまだ分かる。
それでダメならケンカふっかける。
頭、おかしいんじゃねぇの」
何を言ってるの?
どうした?
何がどうなってるの?
理解不能で一瞬思考が停止したけど、
すぐに思い当たった。
やっぱり、中2病なんだ。
それか、ヤバイ人なのかも。
いきなりキレる人とか。
怖い人だったら逃げないとだし、
しばらく観察してみた。
でも陰気野郎は上を行ってた。
「どうした?今度は黙る作戦?
あ、それとも泣く作戦?
悪いけどそんなのにイチイチ俺は乗らない。」
そう言って教室のドアを
わざと大きな音を立てて開ける。
驚く私の横を通り出て行った。
でも、ハッキリした。
これは。
「中2病なんだな」
私のつぶやきが聞こえたのか、
振り返って睨んで行った。
工藤くんが出て行ってから、
しばらくは呆然とした。
中2病って、
相当ヤバイんだな。
あんまり関わるのはやめよう。
ふと時計を見て焦る。
ツバサくんに会いに行かないと!
私も慌てて教室を出て駅に向かった。
早くツバサくんに会いたい。
会って色々聞きたい。
中2病の陰気野郎についても話そう。
そう考えただけで陰気野郎さえも
使える奴に変わる。
私にとってツバサくんは神だ!
なかなか決まらなかったのは体育委員だ。
体育祭や球技大会など行事が多すぎて、
部活をやりたい子やバイトをしてる子はやりたがらない。
私もできたら何もしたくないから、
窓の外を眺めて過ごした。
ツバサくんと行く駅前のパンケーキ屋さんの事を考えてワクワクしてた。
ツバサくんってスイーツを見つけるアンテナはかなり高感度なんだよな。
いつも流行りをキャッチして教えてくれる。
「おい、ね、おい、」
そう隣から呼ばれてるのに気が付いた。
陰気野郎だ!
「何?」
私もつっけんどんになる。
「早く挨拶しろよ。次は俺なんだよ」
は?
思わず大声を出してしまった。
黒板を見ると、
私と陰気野郎の名前が書いてある。
体育委員の欄だ。
「な、なんで、こうなったの?」
私の声に先生が言う。
「やだなぁ、木下さん。
誰もやりたがらないから今、
くじを回して引いてもらったじゃない」
え、うそ、私、引いたのか。
ボーっとしてた。
「じゃあ決定ね。体育委員は木下さんと工藤くんね。」
決定した途端、女子がこぞって
自分が体育委員をやると言い出した。
え?
なんで。
なら初めからやれよ!
「じゃあお願いしまーす」
と私が言うと先生が首を振った。
「不純な動機の人にはやらせません。
くじ通り木下さんと工藤くんね」
ちょっと待ってよ、
体育委員の不純な動機って何?
何か利点あるわけ?
やりたい人がいるならやってもらってよ。
納得いかない。
「やりたい人にやってもらえばいいのにね」
工藤くんにそう言ってみた。
初めて工藤くんは私を見た。
おっ、見た。
「そういうの、いいから。」
ただそれだけ言った。
どういう意味?
そういうのって何?
この人、本格的にコミュニケーションが難しい人なのかも。
ちょっと怖い。
なるべく近づかないようにしよう。
だけど、早速、放課後に体育委員の仕事ができた。
来週の体力測定の為の個人カード作りだ。
画用紙を厚紙に貼ったり切ったり、
表を書いたり、各競技の諸注意を
模造紙に書く仕事だった。
教室に残り作業をした。
まずは個人カードを40枚作りあげてから、
他の作業に入ろうと提案してみた。
バラバラで作業するより、
協力した方が早いと思ったから。
何しろ、私は今日、予定があるし。
だけど、この陰気野郎!
「は?効率的?
俺は木下さんと協力するつもりはない。
1人でやってくれ。」
なんで?
どうして?
「いや。だから、協力した方が早いでしょって話なの。
タラタラやりたいの?
早く帰りたいんじゃないの?」
イライラする。
「しつこいな。
そんな手に俺は乗らない。
いいか、たまたま隣の席で、
たまたま同じ委員だからって
俺に馴れ馴れしくするな。
うっとおしい」
馴れ馴れしい?
一緒に作業するのが?
どうしたんだろう、この人は。
そんな手とは、何?
だいたい、なんで偉そうな訳?
なんだっけ、こういうの。
俺様的な。
俺は他の人と違う的な。
「あー中2病か」
すごい目で私を睨む。
中2病の人、初めて見たな。
後でツバサくんに話そう。
「もう、俺に話しかけるな」
キィィー!
お前こそ話しかけんなよ。
陰気野郎!
心の中でけちょんけちょんにする。
結局バラバラで始めた作業は、
なかなか終わらず。
私はツバサくんとの約束を
大幅に遅れさせてもらった。
許さない、中2病野郎。
作業が終わり、片付けをし帰り仕度をした。
教室を出るときに、挨拶はした。
私もいちお、オトナ。
「じゃあね、お疲れ様。工藤くん」
まぁ想像通りだけどキレイにスルー。
人をこんなに見事に無視できるなんて本当、
見たことないくらい性格悪い。
ムカツク!
あーダメだ!
「ねぇ、どうしたらそんな性格悪くなるわけ?
挨拶されたら返す、これ常識でしょ。
っていうか、普通に話せないわけ?」
やっぱり我慢できずに工藤くんに言った。
人に面と向かって怒ったのって
初めてかもしれない。
彼は目だけ上げて私を見て、
クスっと笑った。
笑った?今。
何?
怖い。
「今度はそういう作戦か。
なるほどね。俺を怒らせる?
あんたさ、
今までの奴の中で1番面倒くせぇーよ。
興味ないフリならまだ分かる。
それでダメならケンカふっかける。
頭、おかしいんじゃねぇの」
何を言ってるの?
どうした?
何がどうなってるの?
理解不能で一瞬思考が停止したけど、
すぐに思い当たった。
やっぱり、中2病なんだ。
それか、ヤバイ人なのかも。
いきなりキレる人とか。
怖い人だったら逃げないとだし、
しばらく観察してみた。
でも陰気野郎は上を行ってた。
「どうした?今度は黙る作戦?
あ、それとも泣く作戦?
悪いけどそんなのにイチイチ俺は乗らない。」
そう言って教室のドアを
わざと大きな音を立てて開ける。
驚く私の横を通り出て行った。
でも、ハッキリした。
これは。
「中2病なんだな」
私のつぶやきが聞こえたのか、
振り返って睨んで行った。
工藤くんが出て行ってから、
しばらくは呆然とした。
中2病って、
相当ヤバイんだな。
あんまり関わるのはやめよう。
ふと時計を見て焦る。
ツバサくんに会いに行かないと!
私も慌てて教室を出て駅に向かった。
早くツバサくんに会いたい。
会って色々聞きたい。
中2病の陰気野郎についても話そう。
そう考えただけで陰気野郎さえも
使える奴に変わる。
私にとってツバサくんは神だ!
0
あなたにおすすめの小説
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
Fly high 〜勘違いから始まる恋〜
吉野 那生
恋愛
平凡なOLとやさぐれ御曹司のオフィスラブ。
ゲレンデで助けてくれた人は取引先の社長 神崎・R・聡一郎だった。
奇跡的に再会を果たした直後、職を失い…彼の秘書となる本城 美月。
なんの資格も取り柄もない美月にとって、そこは居心地の良い場所ではなかったけれど…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる