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ふりだし
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悔しい。
あんなに頑張ったのに。
毎朝、本当に頑張ったのに。
涙が出て止められず慌てて走って階段を登った。
登って登って最上階のドア。
もちろん鍵はかかっていて外には出られない。
でも私は知ってた。
入学してすぐに見つけた。
横の窓は細工をすると開けられる。
1人になりたい時に、ここから外に出て屋上に避難していた。
今日も1人屋上に出る。
見上げると青空が高い。
キレイだなぁ。
少しずつ青空がにじんでボケてくる。
「あームカツク」
「あいつら、ムカツク!」
「卑怯者」
「シュートしたかった」
「あんなに頑張ったのに」
「悔しい」
本当、悔しい。
工藤くんにも申し訳ない。
なんて謝ったらいいんだろ。
無駄な時間を使わせてしまった。
空を見上げひたすら泣いた。
泣いて泣いてスッキリした。
スッキリしたのと同時にやっぱり怒りが湧いてくる。
あの子達、絶対に許さない。
何か仕返ししてやる。
しかも、
あいつら、私の事、
「ブスって言うなー」
叫んだ。
本当、スッキリした。
瞬間、後ろで笑い声が響いた。
驚いて振り返ると、工藤くんだった。
涙を拭って笑ってる。
なんで、いるの?
それにしても、感情の起伏、激しいな。
さっきはあんなに怒ってたのに。
「木下、お前、本当にヤバイ奴なんだな。
ブスって何?言われたの?」
まだ笑う。
ムッ。
「何しに来たの?
ここ、私の場所なんだけど」
ふくれる私の横に座った。
「木下って、すごいな。あのカギ開くんだな。
知らなかった。
で、悔しくて泣いてたの?」
うわ、見られた?
「いつからいたの?」
その質問に
「初めからだと思うよ。
窓、細工して開けるの見てたから」
なんも言い訳できない。
「ごめん、工藤くん。
せっかく教えてもらったのに。
上手く出来なかった。
私、やっぱり運動神経ないなぁ。
朝練が無駄に、」
そこでまた声が詰まった。
ダメだ、泣きそう。
泣いてるとこなんて見られたくない、
泣かない。
泣かない。
工藤くんは私に自分のタオルを被せ顔を隠してくれた。
そのまま私の頭に手を置いて
「泣け。我慢するな。
また泣いて暴言吐け」
ダメだ、涙が止まらない。
私、大人になって、人前でこんなに泣いたの初めてだ。
「ごめ、くど、うくん。
ちょっと、泣く。空気にな、ってて」
そのまま声を上げて泣いた。
「なんだよ、ばかー!
シュートしたかった!」
工藤くんは、ずっと頭をポンポンと撫でてくれた。
やっと落ち着いた頃には、工藤くんのタオルは私の涙でグショグショだった。
「感情の起伏激しいな。
やたら怒ってやたら笑ってやたら泣く。
見てて飽きない」
え、あなたに言われたくないんですけど。
「工藤くん、ありがとう。
そしてごめんなさい。
だけど、一緒に朝練して、工藤くんと友達になれて
本当に良かった。これからもよろしくね。」
私の言葉を真剣に聞いていた工藤くん。
長いまつげを伏せて少しの間、目を閉じた。
そして少し悲しい顔をして私を見た。
でも、次の瞬間には表情が消えた。
「は?勘違いするな。
俺は同じ体育委員が間抜けなシュートをして
自分も恥をかかされるくらいならと、仕方なく教えた。
友達になった覚えはないし、
これからは木下に関わる理由もない。
俺に構うな、話しかけるな。
いいな、それは忘れるな。
馴れ馴れしくするなよ。それを言いに来た」
驚いた。
え、え、何?
どうして?
また心が閉じた?
というか、親切だと思ったのは私の勘違いだったのか?
あんなに笑ってた工藤くんは何だったの?
何?なんで?
この人、分かんない。
「どうしたの?
今さっき、私を見てて飽きないって言ってたよね」
鼻で笑った。
また鼻で笑われた!
「それが何?勘違いした?
俺が木下を好きになったとか?
いいか、何度も言わせるな。
俺は木下が嫌いだ。
ちょっと朝練に付き合ったからっていい気になるな。
友達?あり得ない。」
そう言い残して教室に戻って行った。
後に残された私は、状況が理解できなくて混乱した。
どういう事?
私、勘違いしてた?
本気で言ってるの?
何だろうあの人は。
どうしたんだろう。
何でこんな言い方されないといけないの?
シュートできなかったから怒ってるの?
違う。
何だろう、モヤモヤする。
教室に戻り隣に座る工藤くんを見た。
感じ悪い陰気野郎な空気を出してる。
「ねぇ、ねぇ」
声をかけてみる。
思いっきりスルーされた。
懲りずに声をかけた。
私をキッと睨んで自分の机をバンッと音を立てて叩いた。
大きな音にみんなが注目する。
「うるせ。話しかけんな」
それだけ言ってこっちを見ない。
なんで。
もう訳が分からない。
なんか、もういいや。
こんな中2病の陰気野郎!
感情の起伏が激しいこじらせ男なんて、もうどうでもいいか。
もう疲れた。
帰って寝よう。
なんか振り回された。
早く席替えしてほしい。
あんなに頑張ったのに。
毎朝、本当に頑張ったのに。
涙が出て止められず慌てて走って階段を登った。
登って登って最上階のドア。
もちろん鍵はかかっていて外には出られない。
でも私は知ってた。
入学してすぐに見つけた。
横の窓は細工をすると開けられる。
1人になりたい時に、ここから外に出て屋上に避難していた。
今日も1人屋上に出る。
見上げると青空が高い。
キレイだなぁ。
少しずつ青空がにじんでボケてくる。
「あームカツク」
「あいつら、ムカツク!」
「卑怯者」
「シュートしたかった」
「あんなに頑張ったのに」
「悔しい」
本当、悔しい。
工藤くんにも申し訳ない。
なんて謝ったらいいんだろ。
無駄な時間を使わせてしまった。
空を見上げひたすら泣いた。
泣いて泣いてスッキリした。
スッキリしたのと同時にやっぱり怒りが湧いてくる。
あの子達、絶対に許さない。
何か仕返ししてやる。
しかも、
あいつら、私の事、
「ブスって言うなー」
叫んだ。
本当、スッキリした。
瞬間、後ろで笑い声が響いた。
驚いて振り返ると、工藤くんだった。
涙を拭って笑ってる。
なんで、いるの?
それにしても、感情の起伏、激しいな。
さっきはあんなに怒ってたのに。
「木下、お前、本当にヤバイ奴なんだな。
ブスって何?言われたの?」
まだ笑う。
ムッ。
「何しに来たの?
ここ、私の場所なんだけど」
ふくれる私の横に座った。
「木下って、すごいな。あのカギ開くんだな。
知らなかった。
で、悔しくて泣いてたの?」
うわ、見られた?
「いつからいたの?」
その質問に
「初めからだと思うよ。
窓、細工して開けるの見てたから」
なんも言い訳できない。
「ごめん、工藤くん。
せっかく教えてもらったのに。
上手く出来なかった。
私、やっぱり運動神経ないなぁ。
朝練が無駄に、」
そこでまた声が詰まった。
ダメだ、泣きそう。
泣いてるとこなんて見られたくない、
泣かない。
泣かない。
工藤くんは私に自分のタオルを被せ顔を隠してくれた。
そのまま私の頭に手を置いて
「泣け。我慢するな。
また泣いて暴言吐け」
ダメだ、涙が止まらない。
私、大人になって、人前でこんなに泣いたの初めてだ。
「ごめ、くど、うくん。
ちょっと、泣く。空気にな、ってて」
そのまま声を上げて泣いた。
「なんだよ、ばかー!
シュートしたかった!」
工藤くんは、ずっと頭をポンポンと撫でてくれた。
やっと落ち着いた頃には、工藤くんのタオルは私の涙でグショグショだった。
「感情の起伏激しいな。
やたら怒ってやたら笑ってやたら泣く。
見てて飽きない」
え、あなたに言われたくないんですけど。
「工藤くん、ありがとう。
そしてごめんなさい。
だけど、一緒に朝練して、工藤くんと友達になれて
本当に良かった。これからもよろしくね。」
私の言葉を真剣に聞いていた工藤くん。
長いまつげを伏せて少しの間、目を閉じた。
そして少し悲しい顔をして私を見た。
でも、次の瞬間には表情が消えた。
「は?勘違いするな。
俺は同じ体育委員が間抜けなシュートをして
自分も恥をかかされるくらいならと、仕方なく教えた。
友達になった覚えはないし、
これからは木下に関わる理由もない。
俺に構うな、話しかけるな。
いいな、それは忘れるな。
馴れ馴れしくするなよ。それを言いに来た」
驚いた。
え、え、何?
どうして?
また心が閉じた?
というか、親切だと思ったのは私の勘違いだったのか?
あんなに笑ってた工藤くんは何だったの?
何?なんで?
この人、分かんない。
「どうしたの?
今さっき、私を見てて飽きないって言ってたよね」
鼻で笑った。
また鼻で笑われた!
「それが何?勘違いした?
俺が木下を好きになったとか?
いいか、何度も言わせるな。
俺は木下が嫌いだ。
ちょっと朝練に付き合ったからっていい気になるな。
友達?あり得ない。」
そう言い残して教室に戻って行った。
後に残された私は、状況が理解できなくて混乱した。
どういう事?
私、勘違いしてた?
本気で言ってるの?
何だろうあの人は。
どうしたんだろう。
何でこんな言い方されないといけないの?
シュートできなかったから怒ってるの?
違う。
何だろう、モヤモヤする。
教室に戻り隣に座る工藤くんを見た。
感じ悪い陰気野郎な空気を出してる。
「ねぇ、ねぇ」
声をかけてみる。
思いっきりスルーされた。
懲りずに声をかけた。
私をキッと睨んで自分の机をバンッと音を立てて叩いた。
大きな音にみんなが注目する。
「うるせ。話しかけんな」
それだけ言ってこっちを見ない。
なんで。
もう訳が分からない。
なんか、もういいや。
こんな中2病の陰気野郎!
感情の起伏が激しいこじらせ男なんて、もうどうでもいいか。
もう疲れた。
帰って寝よう。
なんか振り回された。
早く席替えしてほしい。
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