87 / 87
特別編 プロローグ(七海sideー現在)4
しおりを挟む
「いやいや、待てって」
あとはお若い2人で、とその場を後にしようとした私の腕を勇磨が掴んだ。
「泣いてないのは分かった。でもこれは誰かに掴まれたんだよね、誰にやられた?」
勇磨が私のおでこに触れた。
外野1だよ、でも言ったらまたキレる。
キレたら試合にもならないし、暴力沙汰なんてしばらく休部になっちゃう、てか、停学にもなるんじゃ‥。
何も言えずにオロオロする私じゃ埒があかず、勇磨が尊くんに聞いた。
「尊、これ、誰がやった?」
勇磨の背中から顔を出して尊くんにジェスチャーで言うなと伝えた。
尊くんが優しく勇磨の肩に手を置いた。
「勇磨、彼女がお前に言うなって。
お前がキレて試合に出られなくなったり停学になるかもしれないって心配してるんだ。俺もお前がそうなるのは望まない」
そしてまた頭を深く下げた。
「俺が責任持って反省させて彼女にもう一度しっかりと謝らせる、それで収めてくれないか。頼む。俺を信じてくれ」
勇磨の苛立ちオーラが全身から出ている。
葛藤している。
でも私と尊くんの顔を交互に見つめて、やっと納得してくれた。
「分かった、お前を信じる。ナナにちゃんと謝ったらキレないと約束する、俺は」
ほっとして胸を撫で下ろした。
でも、
ほんと、良かったね、勇磨、親友が戻ってきたね。
「勇磨、良かったね。ほんと、大事な友達、大切にしなね、こんな面倒くさくて、性格悪い勇磨と友達になってくれるなんて貴重だよ」
途端に勇磨が反論する。
「性格の悪さでナナには言われたくない」
え?
私、性格悪くなんてないんだけど。
いや、あるか。
「尊くん、小学生の勇磨も、こじらせ、勘違い男だった?あと中2病も患ってた?」
その言葉に、にやにや笑いながら勇磨が私をヘッドロックする。
「離してよ、バカ、勇磨、アホ」
「お、口、悪りぃなー」
私達を見ながら尊くんがケラケラと笑った。
「勇磨、良かったな、お前の性格の悪さや面倒くさいとこ、あとこじらせまくってる所に気がついてくれる子がいて。そんな彼女ができて、俺はホッとしたよ」
いや、ちょっと待って。
「彼女じゃないから」
さっきから、というか、この前から勘違いしてるけど、彼女じゃないし。
私は勇磨の友達だよ。
ふーん、と勇磨を見ながらにやにやする尊くん。
「そこは黙ってればいいじゃん、そのうち、俺の彼女になるんだから」
勇磨の言い分に大爆笑する尊くん。
「いるんだなぁ、勇磨を振り回す女の子って。これは見てて気分いいなぁ。振られたらいいのになぁ」
私から腕をほどいて、今度はケラケラ笑う尊くんに襲いかかる。
じゃれ合う2人に、大事な事を忘れていたと気が付いた。
「ねぇ、試合、何時から?」
私の言葉に2人が時計を見た。
ほぼ同時に
「ヤバイ」
「ヤベェ」
ほんと、仲良いなぁ。
2人で体育館に向かって走り出した。
これまたほぼ同時に
「試合、来いよ」
「試合、来てね」
ふー、仕方ないか。
見に行くか。
外野1にも仕返ししないとだしね。
勇磨も言っていた、「キレないと約束する、
俺はね」
そう、「俺は」
さすが勇磨!
私がやり返そうとしているの、お見通しだ。
いざ、オーパーツリズムの体育館へ。
おしまい
あとはお若い2人で、とその場を後にしようとした私の腕を勇磨が掴んだ。
「泣いてないのは分かった。でもこれは誰かに掴まれたんだよね、誰にやられた?」
勇磨が私のおでこに触れた。
外野1だよ、でも言ったらまたキレる。
キレたら試合にもならないし、暴力沙汰なんてしばらく休部になっちゃう、てか、停学にもなるんじゃ‥。
何も言えずにオロオロする私じゃ埒があかず、勇磨が尊くんに聞いた。
「尊、これ、誰がやった?」
勇磨の背中から顔を出して尊くんにジェスチャーで言うなと伝えた。
尊くんが優しく勇磨の肩に手を置いた。
「勇磨、彼女がお前に言うなって。
お前がキレて試合に出られなくなったり停学になるかもしれないって心配してるんだ。俺もお前がそうなるのは望まない」
そしてまた頭を深く下げた。
「俺が責任持って反省させて彼女にもう一度しっかりと謝らせる、それで収めてくれないか。頼む。俺を信じてくれ」
勇磨の苛立ちオーラが全身から出ている。
葛藤している。
でも私と尊くんの顔を交互に見つめて、やっと納得してくれた。
「分かった、お前を信じる。ナナにちゃんと謝ったらキレないと約束する、俺は」
ほっとして胸を撫で下ろした。
でも、
ほんと、良かったね、勇磨、親友が戻ってきたね。
「勇磨、良かったね。ほんと、大事な友達、大切にしなね、こんな面倒くさくて、性格悪い勇磨と友達になってくれるなんて貴重だよ」
途端に勇磨が反論する。
「性格の悪さでナナには言われたくない」
え?
私、性格悪くなんてないんだけど。
いや、あるか。
「尊くん、小学生の勇磨も、こじらせ、勘違い男だった?あと中2病も患ってた?」
その言葉に、にやにや笑いながら勇磨が私をヘッドロックする。
「離してよ、バカ、勇磨、アホ」
「お、口、悪りぃなー」
私達を見ながら尊くんがケラケラと笑った。
「勇磨、良かったな、お前の性格の悪さや面倒くさいとこ、あとこじらせまくってる所に気がついてくれる子がいて。そんな彼女ができて、俺はホッとしたよ」
いや、ちょっと待って。
「彼女じゃないから」
さっきから、というか、この前から勘違いしてるけど、彼女じゃないし。
私は勇磨の友達だよ。
ふーん、と勇磨を見ながらにやにやする尊くん。
「そこは黙ってればいいじゃん、そのうち、俺の彼女になるんだから」
勇磨の言い分に大爆笑する尊くん。
「いるんだなぁ、勇磨を振り回す女の子って。これは見てて気分いいなぁ。振られたらいいのになぁ」
私から腕をほどいて、今度はケラケラ笑う尊くんに襲いかかる。
じゃれ合う2人に、大事な事を忘れていたと気が付いた。
「ねぇ、試合、何時から?」
私の言葉に2人が時計を見た。
ほぼ同時に
「ヤバイ」
「ヤベェ」
ほんと、仲良いなぁ。
2人で体育館に向かって走り出した。
これまたほぼ同時に
「試合、来いよ」
「試合、来てね」
ふー、仕方ないか。
見に行くか。
外野1にも仕返ししないとだしね。
勇磨も言っていた、「キレないと約束する、
俺はね」
そう、「俺は」
さすが勇磨!
私がやり返そうとしているの、お見通しだ。
いざ、オーパーツリズムの体育館へ。
おしまい
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
五年越しの再会と、揺れる恋心
柴田はつみ
恋愛
春山千尋24歳は五年前に広瀬洋介27歳に振られたと思い込み洋介から離れた。
千尋は今大手の商事会社に副社長の秘書として働いている。
ある日振られたと思い込んでいる千尋の前に洋介が社長として現れた。
だが千尋には今中田和也26歳と付き合っている。
千尋の気持ちは?
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あらすじから読んでみてすごい面白いと思いました!続きが物凄く気になります…!更新頑張ってください!!待ってます!
読んでくれて、ありがとうございます。
嬉しいです。頑張ります。