療育で救われた母親の話

桜花

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第五章 療育生活の幕開け

ニコニコキッズ

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翌年1月、そーすけ2歳2ヶ月、ポニョ7ヶ月で発達相談の会『ニコニコキッズ』に参加することになりました。

会場は、近隣保育園の一室で、普段は支援センターとして利用されている教室でした。

場所見知りの激しいそーすけのため、12月のうちから会場となる保育園内の支援センターへ通うことにしました。


案の定、教室に入れず号泣するそーすけ。
入って気になるおもちゃが見つかればすぐ泣き止むことは分かっていたので、職員さんとなんとかおもちゃで釣りながら入室させました。

落ち着いた頃、利用同意書を書きます。

「どこでここを知ったの?」

と聞かれ、

「来月からこちらのニコニコキッズに通うので、場所に慣れる為に来ました」

と答えると、職員さんにめちゃくちゃ褒められました。

まぁ、母親を褒めるのも仕事なんでしょう(笑)

私自身、絶対泣くことが分かっていたのでそのための練習をすることは当たり前だ、と考えていたので、

「お母さん、偉いね!」

と言われて、驚きました。
え、みんな予防線張らないの?
石橋叩かないの?


でもきっと、『普通の子』には必要のないことなのかもしれませんね…。


ここでも決まった時間になると、おもちゃを片付けてふれあい遊びの時間がありました。

以前通っていた支援センターよりは、そーすけも参加していたように思います。
といっても、フラフラとどこかへ行き、好きな曲がかかったり、絵本の時間になると戻ってくる、といった感じでした。

それでも、常に参加人数の少なく、いつも決まったメンバーだった分、保護者同士の距離も近く、そーすけがフラフラしても罪悪感をあまり感じずに済んだことが、とても助かりました。


1ヶ月間ほぼ毎日通い続け、そーすけもすっかり教室に慣れました。
これでニコニコキッズも安心です。
計画通りです。


―――


年が明けて1月。
ニコニコキッズ初日。

ポニョはおんぶして参加してくれと言われていたのですが、手の空いている職員さんが抱っこしていてくれるとの事でした。

ラッキー!
ありがたい限りですね。


初日は担当保健師さんから普段の生活の聞き取り調査。

就寝時間や食事時間、そして

「週に何日くらい遊びに出かけてますか?」

という質問に、

「週5か6」

って即答したら


「えぇっ!?!?」


ってめっちゃ驚かれたんだよね。

逆にびっくりしたわ。

「え、え…行き過ぎ…?」

って不安げに聞き返したら、

「皆さん大体週3くらいですよ!お母さんすごく頑張ってますね!!」

って、本当に驚いた反応をされたんですね。

でもなんでこんなに、当時は秋~冬です、出かけてるかっていったら、家にいるだけじゃそーすけに申し訳なく思ってたんだよな、すっごく。

平日は、私が職員さんと話したくて支援センターに行ってました。

でもポニョがずっと咳と鼻水が続くようになってからは、行くのが気まずくて、毎日公園に2時間行ってました。

これはただの散歩だったからマジきつかった!

だけど、家でテレビつけっぱなしが申し訳なくて、毎日出かけてた。

確かに、頑張ってはいたと思う。
でも、そこまで驚かれる程とは思ってなかった。


…そろそろお気付きかと思いますが、父親が出てきませんよね?

そうです、空気ですから。

平日は仕方ないよ?
でも土曜は当然のように昼まで寝てるから、その間にそーすけとポニョと公園に行ってました。

クリスマスイブ、キラキラにデコられたゴーカートに、サンタさんと一緒に乗れるイベントをやっていて。

それを少し離れたところからそーすけとただただ眺めてたこともありました。
もちろんポニョは抱っこ紐、背中にはどデカいリュックを背負って。

…こんな生活をずっと続けていましたので、私も少しずつおかしくなっていく訳です。

その話はまた後ほど。


さて。


ニコニコキッズの内容としては…

まずは自由遊びをして、時間になったらみんなでお片付け。

それから親子でふれあい遊びをいくつかして、
体を使った遊びをして、
絵本を読んでもらっておしまい。

大体1時間。

自由遊びの間は相談や質問も出来ました。


当時のメンバーには、1ヶ月通い続ける中で知り合ったSくんもいたので少しホッとしたのを覚えています。

月に2回、全12回のニコニコキッズ。
終了後の進路は様々です。

まず、完全に終了して日常生活に戻る。

2つ目は、ニコニコキッズ2という、少しレベルアップしたクラスに進む。

3つ目は、療育施設へ進む。

私が把握しているのはこの3つでした。

そして、そーすけは3つ目の、療育施設へ通うことを勧められることになるのです。


―――


そーすけは、泣くことも無く、毎回楽しみに通っていました。

車遊び以外に絵本の読み聞かせが好きなこともここで初めて知りました。

中には走り回って活動に参加出来ない子もいましたが、特に強く押さえつけられることもなく、のびのびとした会でした。

そーすけは元々穏やかな性格のため、走り回ったり、暴れたりすることも無く、大人しく参加していました。


大体8回目辺りから、今後の進路について話し合いが始まります。

その時、「療育に行ってはどうか」と勧められたのです。

正直、なんで?と、ショックな気持ちでいっぱいでした。
大人しく、妨害もせず、楽しく参加してたじゃないですか、って。

でも専門家の着眼点は違いました。


「そーすけくんは、ドアが開いたり閉まったりすることにとても執着していて、その事がとても気になりました」


と。

確かに、誰かが出入りする度ドアを触っていたし、少しでも開いていたら完全に閉めようと触っていました。

立て付けが悪く上手く閉まらないので、余計に長く触っていたかもしれませんが、思い返すとドアが動く度にそーすけはそこにいました。

正直、ドアの開け閉めの何がいけないのか分かりませんでしたが、発達の遅れを指摘されてニコニコキッズへ参加した以上、更に指摘されればその先に進む他ないじゃないですか。

不本意ではありましたが、療育に通うことを決めました。

先にニコニコキッズを終了していたSくんも、療育に通うと聞いていたので、それもまた安心材料ではありました。

しかし、Sくんとそーすけのタイプは全く真逆なんです。
Sくんはどちらかというと走り回って落ち着きがなくて騒がしくて…といったお子さんでした。

当時の私は、療育とはそういった『落ち着きのない子』が行く場所だと認識していたからです。

こんなにおっとりぼんやりしているそーすけと、あのSくんが同じ所に通うことが、理解できませんでした。


無知って恐ろしいですよね。
この後療育へ通って、自分がいかに無知で差別的な考えをしていたかを突きつけられます。

そーすけがいなければ、知らない世界がそこにはありました。


―――


後日談。

Sくんは1年間の療育終了後は何のケアも必要なくなり普通に幼稚園へと進んでいき、

方やそーすけは軽度知的障害を伴う自閉症と診断され、受け入れてくれる幼稚園を何とか探して、幼稚園へ通いながらも療育を続けています。


―――


多少の不満を抱きつつ、5月にニコニコキッズを無事卒業しました。


ニコニコキッズにも待ちがあったように、療育にも待ちがあり、7月から通うことになりました。

まず、かかりつけ医からの紹介状が必要になります。
「この子に療育必要かねぇ?」
と塩対応されたこと、忘れません。
必要なら出すけどね~なスタンスだったので、紹介状自体はすぐにもらえたので良かったのですが。

仮にも、小児科医が、必要ないのでは?と感じた子供、そーすけは、結果として軽度知的障害を伴う自閉症スペクトラムだった訳です。

紹介状の段階で突っぱねられていたら?と考えると、とても恐ろしく思います。


さて、紹介状が手に入ったら、受給者証の発行手続き、職員さんとの面談がありました。

この受給者証が無いと、療育が受けられなかったり、利用料金の助成が受けられなかったりするのです。

そーすけの場合は、月10回の利用で4600円でした。

プラス、親子で給食が1食500円食べられたので、ひと月の利用料金は約10000円でした。

給食付きは正直嬉しかったです(笑)


※2020年7月現在
保育料の無償化に伴い、療育も無償化の対象となりました。
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