光速のジャングラー ～ｅスポ部作ったからLoLやろうよ～

eスポーツ部誕生

48 勧誘作戦１

　速人は一人で真理亜のそばに行き、話しかけた。

「真理亜さん、ちょっと相談が」

「えっ！　何？　ｅスポーツ部なら入らないわよ」

『さすがに察しがいいな。それはこちらも想定済み。ド直球にはいかないよ』速人はそう考え、作戦を実行した。

「今日は勧誘じゃないよ。実はさ、ＬｏＬでキャラクターが使用する武器の最適な組み合わせをコンピューターで分析して欲しいんだ」

「どうして私がそんな事をしなきゃならないのよ」

「いや全然無理強いをしているわけじゃないんだ。もしやってくれたらなって思っただけ。僕も少しはパソコン使えるからExcelで何とかやろうと思ったんだけど、プログラムしないと無理そうで。でも、ゲーム自体がかなり複雑なルールだし、いくら真理亜さんでも無理かもしれないしね。ごめんね、邪魔しちゃって」

「ちょっと待って。私にも無理そうってどうゆう事？」

「えっと、ＬｏＬのルールはかなり複雑だから理解できないかもしれないって思って」

「あなた達がやっているゲームのルールが私に理解できないって言うの？」

「だって、真理亜さん普段ゲームやらないでしょ？　普段ゲームをやらない人にはルール自体が難しく感じるんじゃないかな。ルールを理解した上での分析だしさ」

「ちょっと光田、前から気になっていたんだけど、あなた私を舐めすぎじゃない？」

「そんな事はないよ。真理亜さんは凄いプログラマーだって知っているよ。ほら人狼ゲームのＡＩをディープ何とかで作ったとか。でも、ＬｏＬのルールは全く違う次元の話だしね。難しいと思うよ」

「そんなのやってみなきゃ分からないでしょ。最適な武器の組み合わせを調べればいいんでしょ？　土日で調べて月曜に報告してあげるわよ」

「えっ、本当に？　さすが真理亜さん。月曜日を楽しみにしてます。よろしくお願いします」

　速人はそう言うと一礼して、翔達がいる場所まで戻ると声をひそめて言った。

「おい、みんな。ターゲットはエサに食いついたぞ。ＬｏＬについて土日で調べてくるって」

「でも、それで上手くいくかな？」

　真紀が不安げに速人に聞いた。

「大丈夫、真理亜さんはゲームを馬鹿にしていてＬｏＬを知ろうともしなかったけど、ＬｏＬを知ればきっと興味を持つはず。何せ彼女は難しい事が大好きな『ド変態』でしょ？」

　速人はいたずらっぽく笑いながら真紀に答えた。

「ド変態は言い過ぎよ」

「とりあえず、月曜日を待とうよ」

　こうして速人の作戦は動き出した。