カゴの中のツバサ

九十九光

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#14ー3

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「そんなに慌てないで。」
 大橋はカナコを落ち着かせるようなセリフを、彼女の言葉を遮って口にした。
「別に今すぐあなたを逮捕するわけではありません。あくまで今は、今回の事件の重要参考人として、我々に協力してほしいだけです。」
「ですけども……!」
「もっとも、我々は今、あなたが犯人に最も近い人間だと考えているのは事実です。まずないとは思いますけど、虚偽の証言はそのまま罪になるということだけは、肝に銘じておいてください。」
 そう言いながら大橋は、ほかの警察官から三つ折りのA4用紙を一枚受け取り、カナコに向かって開いて見せた。
「捜査令状です。すでにご両親には見せてありますが、あなたも目を通してください。」
 そう言われて彼女は震える手でその紙を受け取り、中の文面をゆっくりと呼んでいく。テレビ画面の向こう側に作り物をチラッと見るだけの異世界の代物でしかなかった書類。まさかその現物を、しかも自分の名前が入ったものを読むことになるなんて、夢にも思っていなかった。
 父親は、不安そうにカナコを見つめながら、落ち着かない様子で貧乏ゆすりを繰り返す。母親は相変わらず顔を両手で覆いながら、ソファから立ち上がれないでいる。
「そろそろいいですか? これからまだ捜査していないあなたの部屋に人を入れ」
「大橋さん。」
 カナコは大橋の言葉を遮るように、紙から目を離して彼の顔に向き直った。言っておかなければいけないことがあるからだ。
「『駕籠加奈子』って、字が間違ってるんですけど……。」
 リビングにいた全員が、髪留め等を使わずにうっすら茶色に染めた長い髪をおろしたままの駕籠『可南子』に視線を向けた。
「字が違う?」
 突然の指摘に思わず声が裏返ってしまった刑事を不思議に思いながらも、彼女は間違いのない事実を説明する。捜査令状という書類にどこまでの効力があるかは知らないが、こんな大事そうな書類で二文字も誤字をするものなのかと疑問に感じていた。
「はい。あたしのカナコは、可能の可に南って書いて、可南子です。」
 彼女は財布にしまっていた大学の学生証を見せながら、令状の字の違いを説明した。プラ
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