Night Sky

九十九光

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you're never coming backー6

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「お互いとんでもない年下のお守りを任されたな、再火」

 リッチャルデットが姿勢を低くしながら穂花に語る。穂花は鼻血を拭いながらリッチャルデットの振った話題を断ち切る。

「……。なぜ兵士を辞めた、福家」

 穂花がリッチャルデットの本名を言うと、彼は急速に穂花に迫り、蹴りを入れる。

「その名は棄てた。それよりこの先どうする。炎の使えないお前は非ユニゾン持ちも同然。夜空のガキのほうも耐久勝負はおそらく不可能。増援の到達前にお前ら2人とも死ぬぞ」

 正論を叩きつけるリッチャルデット。しかし穂花はにやけた顔を作り、ラッキーストライクを1本咥えてこう言った。

「人が立てないレベルの竜巻がドーム内で発生することを考えて設計する業者がいると思うか?」

 その言葉にリッチャルデットがハッとさせられた時には遅かった。

 ドームの屋根が吹き飛び、閉じ込められた竜巻は霧散する。低下していた酸素のほうも、屋根がなくなったお陰で入り込んでくる。穂花は片手に2つ、計4つのライターを手に取り、炎を出してリッチャルデットを遠ざける。

「夜空、飛べ! コイツらが追えない場所まで!」

 穂花は右手を自身の正面に、左手を上空に向けて炎を吹き上げた。右のライターから放たれた炎は人工芝やベースなどを焼いて地上の十二勇士を足止めし、左のライターから放たれた炎はドーム状に上空を覆い、ローランの動きを止める。

 しかしそれでも穂花の炎操作は器用だった。遊大の真上だけ人一人が通れそうな穴が空いており、彼が脱出できる状況を作っていた。

「でも再火隊長は」

「早く行け! ライターの油が尽きる前に!」

「……! このあとどうするつもりなんで」

「上官命令を無視する気か!」

 遊大に選択肢はなかった。遊大は穴からドームの外に出て、南に向かって飛んでいく。それとほぼ同時にライターの油が尽き、ドーム状の炎は消えた。

「……! 追いますか!? 総督!」

「いや、いい。まだライターの予備はあるだろうしね」

 ローランをオリヴィエの水のドームで他の十二勇士とともに守られているシャルルが制止する。
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