和製切り裂きジャック

九十九光

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#4-7

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うにかして逃げ出すか。早く決めないとかえってまずいことになる。
「本当ですか。それじゃあ、湯浅さんは……」
 そうこうしているうちに私に話が振られた。早く自然な受け答えをしないとまずい。
 数秒の間に分単位で悩んだ感覚に襲われ、私は一つの結論に行きついた。これ以上嘘をつき続けるのは無理だ。
「わ……! 私は遠慮しときます! 大学の課題片づけなきゃならないですし!」
「そ、そうですか」
 高宮さんのお母さんが、少し残念そうに首をかしげる。
「あ……! 短い間でしたが皆さんとお話できて嬉しかったです! それじゃこれで!」
 相手方の言葉もろくに待たずに、私は駆け足でその場から逃げ出した。
 そして七時四十分頃。私はいつの間にか一社駅の北側の改札前にやってきていた。
 この辺は、すぐそばに昔からある住宅地と東西にのびる片側三車線の比較的新しい県道が隣り合う場所になっている。県道沿いに建つファストフードの大型店舗のすぐ裏側が、巨大地震が起きれば真っ先に潰れそうな古い木製の一軒家ということもざらだ。すぐ近くに上社(これで『かみやしろ』と読む)のジャンクションがあるため、市バスや乗用車に混じって県外から来たトラックや観光バスが走っている。完全に日も昇った時間であるため、駅前の道では程よい人数のサラリーマンや学生が歩いていた。
 こんな地理的な説明をしておいてなんだが、私はこの辺に長居するつもりは一切ない。早く家に帰って布団の中に潜り込みたいので、私はショルダーバッグから学生定期を取り出して駅の改札を通る準備をした。
 その時だった。
 私の後ろから「湯浅さん?」という声が聞こえてきた。私は定期券をICカードの読み取り機にかざすのをやめ、声のほうに振り返った。今までこの名字をしている他人と出会った試しがないせいで、私は湯浅という言葉を聞くと思わずその方向に振り返ってしまうというくせが染みついていた(調べてみると、湯浅は徳島県に多い名字らしい)。
 そして今回も、同じ名字の人違いだったというオチではなかった。住宅地方面の細い道を挟んで駅の西隣にあるドラッグストアのビニール袋を持った、黒い防寒用のジャンパーを着た大輔君が立っていた。
「買い物? この時間に?」
 私は改札の前から歩道にいる大輔君のところまで行って質問した。それに対して大輔君は、「車の運転の練習のついでに」と答え、駅の東側にある、六台分くらいの駐車場があるコンビニを指差した。そこにはきれいな塗装の、荷台に何も載っていない真っ白な軽トラックが一台停まっていた。よく見ると、閉めきられた助手席の窓から一匹のチワワが顔を覗かせている。
「ほら、あの薬局、駐車場ないからさ」
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