和製切り裂きジャック

九十九光

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#21ー8

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もので殴られたことによる撲殺。また現場からは部屋の鍵がなくなっており、犯人は橋本隆を殺害した後、この鍵を持ち出して施錠をしたものと思われます。
今回の事件ですが、先日逮捕された鈴木芳夫による連続強盗殺人のように、犯人が現場に残した声明文にて和製切り裂きジャックと名乗っていますが、二つ相違点が見られます。
一つ、死因が絞殺ではなく撲殺であること。橋本隆の首には絞められた跡がないことから、鈴木芳夫のように絞殺した後で遺体の損壊を行ったわけではないことが予想されます。
二つ、現場となった室内に現金がそのまま残っていたこと。現場に残されていた橋本隆の鞄の中には現金約六万円が入った財布が残っており、室内に残された茶封筒にも現金七万円が入ったままでした。今回の殺人が鈴木芳夫と違い、本当にシリアルキラーによる犯行である何よりの証拠です」
 それを聞く捜査メンバーたちは、一瞬隣の仲間の顔を見合わせた。後半部分の湯浅の見解に難色を示しているのだ。
 本当に無差別に連続殺人が起きていない以上、怨恨による殺人の可能性は捨てきれないはずだった。橋本と比較的近い仲だった県警本部の捜査一課のメンバーも、大抵はそういう意見を持っていた。
 湯浅は言葉を続ける。
「それを裏づけるのが、橋本と近しい仲だった人物たちのアリバイです。元々あまり人と交友関係を持たない彼は、我々警察組織の人間か、あのアパートの住人か管理人くらいしか面識がありません。いずれも推定犯行時刻時のアリバイを確認すると、間違いなくその時刻に彼の部屋に入ることはできませんでした。ここからも今回の事件が、行きずりの人間が無作為に選んだ結果の犯行だと推定できます」
 誰一人として、この湯浅の言葉に苦言を呈することはしなかった。だがその場にいる全員が、それだけでは犯人像をシリアルキラーに固定するには材料不足だと考えていた。
 それを実際に口にできる人間はいなかった。
 チームの一割は別の署から引き抜かれたばかりの人材で、本部での捜査に慣れていない者ばかり。本部の一課のメンバーも湯浅の心境が分かっている分、下手に彼を傷つけるような真似ができなかった。
 最後に湯浅は、不安に思いながら自分を見つめる同僚たちを一瞥してこう述べた。
「このまま放置すれば、高い確率で第二、第三の事件は発生します。そうなる前に必ず犯人を見つけ出さなくてはなりません。現場周辺の聞き込みをさらに重ね、不審な車両や人物がいなかったか、さらなる情報収集から取り組みましょう」
 この言葉の後すぐに、捜査チームは事前に決められた班に別れて行動を開始し始めることになる。だがその足取りは、明らかに重いものがあった。
 湯浅は意地でもこの事件の捜査本部に入りたがっていた。だが彼の頭の中には、明らかに凝り固まった偏見から生まれた犯人像が見られていた。そして誰も、それに的確な修正
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