和製切り裂きジャック

九十九光

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#23ー4

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「次の殺しって……! 絶対起きるとは限らないだろ! 縁起でもない!」
 山下は今、とても不思議な気分を感じていた。人に怒鳴るように話したこともなければ、仕事のことで湯浅とここまで口論になったことも、この日の出来事を除けば一度もなかった。今まで水を流さなかったダムの巨大な鉄の仕切りを開放して中の水を出すように、溜まったものを一気に吐き出すような気分だけがしていた。別に湯浅本人に、何か気に入らないところがあったわけではなかったのに。
 そうして熱くなった二人は、周囲がいつ止めようか困り果てているのをよそに、二人目の和製切り裂きジャックに関する話をそのままの勢いで開始した。
「例の聴取結果はどうなった! 湯浅君に任せたけど報告がまだなんだけど!」
「しただろ! あの男のアリバイはちゃんとしてるって! あんなヒョロヒョロした奴に人殺しなんて無理だ!」
「それじゃ曖昧すぎるからもう一度まとめ直してくれって言ったでしょ! そのアリバイまだちょっと怪しいって!」
「時間の無駄だ! いつ次の事件が起きるか分からん時に無実で間違いない奴の聴取のし直しなんてやってる暇はない!」
「だったらなおさらだ! 本当に次の事件が起きるか分からないからこそ、怪しい部分は一つ一つつぶしていくんだ! 少し感情的になりすぎ」
「感情的になって何が悪い!」
 湯浅が山下のデスクの上を平手で叩き、山下の言葉をまたも遮った。
「仮にも仲間が一人殺されたんだぞ! それをいつまでもあらかたやりつくした現場周辺の聞き込みばかりで進展させないで! しかも事件と関係ない事務作業の片手間に! こんなやる気の感じられない捜査方針で本当に解決すると思ってるのかよ!」
「……! それが警察の仕事だろ! 何を今さら」
「今さら⁉ 俺は前々からこの仕事の流れに呆れてるって言ってただろ! どれだけ凶悪な事件が起きようとほかの仕事との並行で! それも機能してない町内会の自警団との連携話だの有罪確定の犯罪者のためにやる裁判の書類作成だの! わざわざ一課の人間でなくともできそうな仕事ばかり!」
「湯浅君! だからそれも」
「お前だって知ってるはずだろ! 犯罪者を放置すればそれだけ死人が増えるってことくらい! 毎年それで何人死んでるか分かってんのか! そういう人間を一人でも減らすための警察だろ! それがどうだ! 早急に解決しなきゃならん事件がある人間にしょうもない事務作業を押しつけて! 一番大事な一つの事件に集中できない状況だ! どこも部署もこんな調子だから日本の警察はこんないい加減な連中しか集まらないんだろ!」
「だから湯浅君」
「俺たちが犯人を憎んでそれを絶対に捕まえるって気持ちにならないで! どうやってこ
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