和製切り裂きジャック

九十九光

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エピローグー2

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転移していた、を繰り返す、バラエティ番組の再現ドラマでよくあるタイプの癌だった。高宮さんが実家住まいだったのは、この父親の介護のためだったらしい。だが和製切り裂きジャックの一件でその娘さんが亡くなり、通院に必要なお金も二人の年金から工面しないといけなくなっていたという。そのお父さんは二〇二〇年の冬に亡くなっている。
 三人目の被害者、藤井和彦の両親は、今回唯一取材を拒否した遺族だった。この男子中学生の場合、ホモセックス援交娼年というイメージだけがネット上に残り続け、今でもホモセクシャルを表すネットスラングとして日本の若者文化の中に残り続けている(殺した犯人よりはるかに有名とはこれいかに)。彼の両親もそれをネックに思っているらしく、その辺は必要最低限しか取り上げないとか、実名は絶対出さないとか色々説明したがとうとうダメだった(まあ、その道に精通している人には偽名なんて意味ないと思うが)。
 四人目の被害者、田中義道の息子である宏文さんは、この事件の被害者遺族の会の代表だった。元々は北海道の有名な灯油機器メーカーに勤めるサラリーマンだったらしいが、事件を機に脱サラして実家のある愛知県に戻り、会を立ち上げたという。取材の話を持ち込んだ時に言ってくれた、「全力で協力させていただきます」の言葉通り、私と他の遺族の人たちの仲介から、企画に乗り気じゃなかった出版社の説得までしてくれた。間違いなくこの本の誕生における一番の功労者だろう。ちなみに義道さんの奥さんは、事件があった年の六月に亡くなったそうだ。最愛の夫を亡くした心労が祟ったのだろう。
 似たような展開で本文中ではダイジェストにしてしまったが、六件目から九件目の事件の被害者の遺族や知り合い、十件目で殺されかけた当時の女子高生、各事件の第一発見者、鈴木芳夫を捕まえた建設業の人にも取材をした。当時の塾生や同僚とコンタクトを取るために、北は青森、南は沖縄、果ては韓国の大邱にまでわざわざ出向いて話を聞いてきた。いずれの取材旅行も出版社からお金がほとんど出なかったせいで貧乏旅行になり、仕事と無関係の観光はまったくできなかった(どうせ私のことだから、そんなお金があっても観光なんかしなかったと思うが)。
 そして一人目の和製切り裂きジャック、鈴木芳夫は、逮捕から数か月ほど『ニートは放置すると人殺しをするぞ』という無根拠の話が民間レベルで広まる原因になった。そんな彼の裁判員裁判は、逮捕から二か月後、二年という長い時間をかけて行われた。殺人事件の裁判で二年という期間は珍しくはないが、この男の場合、判決が誰にでも予想でき、案の定その通りになったため、どうしても長いと感じてしまうところはあった。最終的な罪名は、殺人、殺人未遂、死体遺棄、死体損壊、強盗、詐欺、道路交通法第百十七条二の二(無免許運転。鈴木芳夫は家からほとんど出なかったため、自動車学校に行っていなかった)の計七つ。判決はもちろん死刑。これを書いている今現在まだ執行されていない。
 色々長々と説明したが、鈴木芳夫の和製切り裂きジャック事件は、間違いなく当事者たちの人生に大きな影響を与えている。傍から見ると内容の薄っぺらさが原因で記憶に残りにくい事件だが、仮にも赤ん坊含めて十人が殺され、これに便乗した怨恨殺人まで起きて
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