和製切り裂きジャック

九十九光

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エピローグー6

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捨てない 一人にしない』の理念の元、私たちかえでの木は、障がいを持つ妹さんのために人生を捧げたこの隆さんを目標に、障がい者への支援、ヘルパーの育成、技術と知識の発信を行っているんですー」
 金田さんがしてくれたこの説明は法人のホームページにも載っている。それを事前に見てきた私たちには周知のことだった。
 このニュー小海タウンの礎となった限界集落の一つは、当時中学二年生になる直前だった楓さんが、母親に捨てられる形で越してきた集落だった。その後、彼女が名古屋に戻ってから数年後に当時の地主が、耕し手がいなくなった畑や荒れすぎて虫くらいしか住めない雑木林などの土地とその開拓費用の一部を、当時まだ違う名前だったこの法人に寄付し、二〇一九年にこの研修センターが誕生したという。それを皮切りに障がい者関連の施設がいくつも建つようになり、『未来のためのまちづくりプロジェクト』なるものを計画していた長野県が、この周辺の過疎地に障がい者のための街であるニュー小海タウンを作り上げたというのだ。
 そしてこの独特なしゃべり方をする金田さんこそ、土地を法人にあげた当時の地主の孫なのである。愛知県にある福祉系の大学で学んでいた彼女は、この第二の故郷とも言える村の進化系で働きたいと考えてかえでの木に就職。現在このセンターで、知的障がい者向けのヘルパー講師職員として働いているのだ。
 私たちは事務室の奥にある応接室に通され、冷たい麦茶が出されたテーブル前のソファに腰かけた。そしてすぐに携帯端末の録音機能をオンにし、メモ帳とペンを手元に出す。インタビュー開始である。
「楓さんのお話でしたね。祖父が生きてた頃に聞いた話で、あいまいな部分もあるんですけど……」
 録音を気にしてか、金田さんは私たちの向かいに座ると、公用語に近いしゃべり方で、中学二年生からの楓さんの話をし始めた。
 ここで一度、金田さんの話を元に構築された、増田レン君のカッコいい三人称の文章にバトンタッチする。


 二〇〇三年の三月中旬。楓は中学二年生になる直前に、実の母親に捨てられる形で、長野県小海町の片田舎にある祖母の家に引っ越した。
 当時のこの限界集落は、車なしではコンビニにも行けないような場所であり、彼女が行けるようなろう学校も、ネットを用いた教育システムもない、社会の変化にまったく追いつけていない集落だった。
 また祖母を含めた近隣の住人は、全員揃って楓のような障害のある人間への接し方の心得がなかった。彼女が何を思い、何を言いたがっているのか。それらすべてを勘で探るし
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