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エピローグー11
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り込むと、観光をするでもなく東京に向かって帰っていった。
その帰りの道中、大輔君がこう質問した。
「どうして最後にあんなこと言ったの?」
「……。あんなことって?」
「壮大に曲解とか。まるであの街の人たち全員に言ったみたいに聞こえたけど……」
「ああ。結果的にはそうかもね……」
この文章を書いている私は、この時の私がどこを見ていたかをよく覚えていなかった。車のラジオが午前中の特集の続きで、『Last Continue』というボカロ曲の女性アイドルカバー版を流していたことくらいしか覚えていない。
私は眠気と闘いながら、大輔君にこんなことを言った。
「あの事件の後で幸せになったのは、あの街に住む人たちだけだよ。それ以外の人は、単に大切な人を失っただけ。さっきも同じようなこと言ったけど、この事件には善にも悪にもヒーロー扱いされた人はいなかった。犯人を捕まえた建設業の人や、山下さんだってそうだった。あの後一度もヒーローインタビューを受けてないし、それが理由で出世したとか有名になったとかもないし。うちのパパなんか、あの後パワハラが原因で懲戒免職くらって依願退職したんだよ。すぐに警備会社の仕事見つかったからよかったけど」
「ああ。そんなこと昔言ってたね」
「……。思うんだよ。現実は小説のようにはいかない。どんなことにも主役とわき役が事前に決まってて、それぞれがそれぞれの役割を演じきって、壮大なエンディングに向かっていくわけじゃない。感情豊かで壮絶な過去を持つ人間が主役になれるとは限らず、大した特技も特徴もない人間が主役になることもある。主役ってのは、出来事が起きる前から決まってるわけじゃないし、なるべくしてなるものじゃない。ましてや自分から志願してなれるものでもない。出来事が一通り終わって、主役を名乗るのにふさわしい人間がいたら、その人が主役に抜擢される。こうして主役になれる人がいた実話だけが後世に残る」
「……。この事件には、主役を名乗れる人間はいなかったと」
「……。そういうこと」
「湯浅さんは? 本の企画の言い出しっぺでしょ?」
「無理無理。死体一つも見てないし」
その帰りの道中、大輔君がこう質問した。
「どうして最後にあんなこと言ったの?」
「……。あんなことって?」
「壮大に曲解とか。まるであの街の人たち全員に言ったみたいに聞こえたけど……」
「ああ。結果的にはそうかもね……」
この文章を書いている私は、この時の私がどこを見ていたかをよく覚えていなかった。車のラジオが午前中の特集の続きで、『Last Continue』というボカロ曲の女性アイドルカバー版を流していたことくらいしか覚えていない。
私は眠気と闘いながら、大輔君にこんなことを言った。
「あの事件の後で幸せになったのは、あの街に住む人たちだけだよ。それ以外の人は、単に大切な人を失っただけ。さっきも同じようなこと言ったけど、この事件には善にも悪にもヒーロー扱いされた人はいなかった。犯人を捕まえた建設業の人や、山下さんだってそうだった。あの後一度もヒーローインタビューを受けてないし、それが理由で出世したとか有名になったとかもないし。うちのパパなんか、あの後パワハラが原因で懲戒免職くらって依願退職したんだよ。すぐに警備会社の仕事見つかったからよかったけど」
「ああ。そんなこと昔言ってたね」
「……。思うんだよ。現実は小説のようにはいかない。どんなことにも主役とわき役が事前に決まってて、それぞれがそれぞれの役割を演じきって、壮大なエンディングに向かっていくわけじゃない。感情豊かで壮絶な過去を持つ人間が主役になれるとは限らず、大した特技も特徴もない人間が主役になることもある。主役ってのは、出来事が起きる前から決まってるわけじゃないし、なるべくしてなるものじゃない。ましてや自分から志願してなれるものでもない。出来事が一通り終わって、主役を名乗るのにふさわしい人間がいたら、その人が主役に抜擢される。こうして主役になれる人がいた実話だけが後世に残る」
「……。この事件には、主役を名乗れる人間はいなかったと」
「……。そういうこと」
「湯浅さんは? 本の企画の言い出しっぺでしょ?」
「無理無理。死体一つも見てないし」
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