和製切り裂きジャック

九十九光

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エピローグー10

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 私は最初、答え方に迷いを感じた。
 正直な話、橋本さんは周囲からまるでいいイメージを持たれていない人間だった。人間不信で基本自己中で、頭はいいが協調性がない。和製切り裂きジャック逮捕に大きく貢献したかと言われれば、結果的にはまったく役に立っていない。妹思いと知識がすごい以外、ほめる要素がない人なのだ。
 だからといってノーコメントを貫くわけにもいかない。私は悪いと思いながら、できるだけ事実に則したコメントをした。
「正直な話、あまりいいイメージを持たれてなかったですね……。職場では協調性がなくて、お金を稼ぐことと、警察っていうステータスで楓さんを安心させることしか考えてなかったみたいですし……。楓さんのことも、私の父も含めて誰にも言ってなかったみたいですし、それが原因で父といざこざを起こして暴力沙汰にまで発展してますし……」
「へ? へえ、そうなんですか……」
 やっぱり金田さんは動揺した。とんちで有名な一休さんのモデルが酒とお肉と夜遊びが大好きだったという事実を初めて知ったみたいな、そんな感じの反応だった。
「で、でも……。あの恐ろしい、シリアルキラーって言うんでしたっけ? その逮捕の時にすっごい活躍したんですよね……」
 金田さんは、「もっといいこと言ってくださいよ!」みたいな雰囲気を醸し出しながら、私に確認事項をしてきた。というか事前に事件に関する情報を確認していなかったのか。和製切り裂きジャックを知らない人間なんかいないという話はなんだったのか。
「いえ、全然。一人目の和製切り裂きジャックは金銭目的の強盗殺人犯だったんですけど、隆さんは当時これを、殺すこと自体が目的の快楽殺人だと考えてたみたいでして……。犯人が捕まったのも、偶然犯行現場に居合わせた一般人が取り押さえただけですし……」
 金田さんはそれ以上何も聞いてこなかった。名前のすごさだけを見て、和製切り裂きジャックという人間の恐ろしさ、それに立ち向かっていた橋本さんを美化していたのは間違いなさそうだ。
 それを感じ取ったにもかかわらず、私はなぜか追加の言葉を口にした。
「一人目の時も二人目の時も、和製切り裂きジャック事件の捜査があんなにも難航したのは、間違いなく警察組織に問題があったからだと思いますよ。途中から感情的になりすぎて、真相究明のカギになる部分を見落として、自分があの凶悪犯を捕まえるんだって思いだけが空回りして。最終的には、名もない一般人の力や一歩引いて客観的に事件を見た警察官のおかげで犯人は捕まった。あの事件は、悪のヒーローと言うには薄っぺらい人間しかいませんでしたけど、大活躍した正義のヒーローもいなかった。当事者とその知り合いには大きな出来事でしたけど、世間からは、忘れ去られるか、壮大な話として曲解されるだけの事件でしたよ、あの事件は」
 そこから三人とも数分ほど黙り続け、取材はそのままお開きになった。私たちは車に乗
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