イレブン

九十九光

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♯10ー10

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 問題の道に出て、学校南側の十字路で信号待ちをしている時に、私はやけに話に合わせようとしない小林先生に声をかけた。彼女は一拍間を置いてから、「ごめんなさいね。ちょっと疲れちゃって」と、やはり力ない様子で答えた。こんなに痛々しい小林先生は初めて見た気がした。

「まあ、無理もないですよ。今回は内田がどうのこうのって話じゃ解決しないでしょうし」

 私は視線を正面に戻してから、できるだけ言葉を選ぶようにして答えた。

 いくらこの人が経験豊富だからといっても、一つのクラスが一致団結して学校をサボるなんてことは、今まで経験にないだろう。

 あとで調べてみれば、反抗期という概念自体、 非常にあいまいなものだということが分かった。二歳から四歳頃の幼児期にある出来事だと称するサイトもあれば、今回の問題と合致する中学生の思春期にある出来事だと説明するサイトもある。そもそも私自身、大学で子供の反抗期について学んだ記憶が微塵もない。私の世代でさえ明確な答えが用意されていないものについて、この人が充分に理解しているわけがないのだ。それどころかもしかしたら、子供は大人の言うことをなんでもかんでも聞くものだという思い込みをしたまま教師になった可能性さえある。現に私のように、親の望み通りの進路を選んだ人間がいるわけだし。

 やはり家庭訪問は無意味だったかもしれない。

 私はハンドルを握る手に不快な汗を感じながら、フロントガラスの向こうの景色を覗いていた。南から北に向かって信号待ちをしている私の車の前を、一台の銀色のボックスカーが横切った。西から東へと、目測時速三十キロの、住宅地内での法定速度で走っていくのを確認できた。

「ちょっと、樋口先生! 何ハンドル切ってるの!」

 次の瞬間、助手席の小林先生が私の行動に対して声を上げた。もちろん、私がやったのは明確な理由の存在するカーブである。

「今目の前を横切った車に内田庵が見えた! 後部座席に松田も!」

「内田って……」

「あの内田の従兄です!」

 その後私たちは、名古屋ナンバーのボックスカーを追跡しながら、車内で何かしらの会話を大声でしていた。興奮して気持ちが高ぶっていたせいで、具体的な会話の内容は覚えていない。

 そんなバレバレの尾行を二分と続けていると、ボックスカーの後ろの窓から一人の女子
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