イレブン

九十九光

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♯12ー7

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かがされまくった挙句、小林先生のこの声が私の耳に飛び込んできた。

「お前たち! こっちを見なさい!」

 引き裂くような怒声として聞こえた彼女の言葉に、その場にいた全員が一斉に自分の口を閉じた。満員電車のように私の体と密着していた男たちは、適度な距離間を取って私を解放した。これでようやく、私も小林先生の方向を向くことができる。

 私が彼女の方向に視線を向けると、先生は想像もしていなかったポーズをとっていた。

 小林先生は土下座をしていた。階段の前に陣取っているのは変わらないが、彼女はそこで私に、というより老人と生徒たちに向かって、額を砂の地面にこすりつけていた。

「申し訳ない! 私たちの責任だ!」

 ピンマイクでもつけているのかと思うような声量で、先生はその姿勢のままセリフを続ける。敬語でない以上、対象が湯本たちなのは明白だ。

「お前たちがこうなった理由は全部分かってる! 内田平治のいじめの問題が一部の親のせいだと知りながら! なんの処理も解決策も講じず! これ以上トラブルを起きないようにと! あいつと仲良くしようとしたお前たちを内田から遠ざけた! そしてそういった私たち自身の失態を棚に上げて! あんたたちの思いも聞かないで校則違反だとただただ叱りつけた! そしてそれを頭の中で理解しておきながら! 私たちは絶対に事を荒立てるなという学校長の命令を優先してしまった! お前たちが学校に行きたくなくなるのも無理はない! すべて私たちの責任だ! 本当に申し訳ない!」

 誰も何も言い返さなかった。学校一怖い先生の土下座姿に、安っぽい謝罪だとか、どうせ上っ面だけなんだろとか、疑いをかけるような言葉をぶつける考えは起きない、という様子だった。

 小林先生は顔を上げることなく、さらに謝罪の言葉を述べた。

「だからお前たちに何かさせてほしい! 罪滅ぼしにもならないことは知ってるが! お前たちが残りの学校生活を楽しく過ごせるように! 何か私にさせてほしい! こちらでできることならなんだってする! なんでもいいから言ってくれ!」

 突然こんな頼みごとをされた六人は、すぐには何も言わなかった。リクエストを吟味するというわけではなく、教師の威厳を投げ打ってでも自分たちとの距離を詰めたい彼女の姿に、私と一緒にあっけにとられているという感じだった。

 そんな静寂な時間が何十秒か続いたのち、最初に口を開いたのは湯本だった。

「じゃあさ……。学校祭。あれめちゃくちゃにさせてよ。この年になって昔話の人形劇なん
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