イレブン

九十九光

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♯14ー8

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全体は清潔感のある白を基調とした造りになっており、音楽室によくある防音用の白い有孔ボードが印象的な空間だった。

 相変わらず眉一つ動かさない内田に対して、ADからは「はい、平治君、もっとにこやかにー」といったような指示は飛んでこなかった。私は最初、自然体意識の取材のコンセプトによるものだろうかと考えた。だがすぐに、「あの子の表情。なかなか味があっていいですね」「津波で家族を亡くした悲嘆の顔って感じでいいよな」というカメラマンとADの小声の会話が耳に入ってきた。内田がそれに合わせてくれれば問題ないのだが。

 こうして私たちが定位置についてから数分後、「真栄田さん入室三十秒前!」というADの言葉が室内にこだました。すぐに同じADが、「皆さん、よろしくお願いしますねー」と小声で言い、私たちの中に緊張が走った。と言っても、楽観的な性格の穣一さんと感情の起伏が見えにくい内田は、この指示の前後で何か変わった様子は見受けられなかった。肝の据わった男たちである。

 そしてADの言葉通り約三十秒後、真栄田さんが部屋のドアを押して開け、会議室の中に入ってきた。

「こんにちはー。初めまして、真栄田真子ですー」

 さっき会ったばかりの彼女は、いかにも初対面だという雰囲気の挨拶をして、私たちと向かい合う形で窓側の椅子に座った。椅子に座っている誰もそのことに触れることはしなかった。

 まずは私の隣に座る石井母が話を始める。

「私には、三つ上の兄がいたんです……。福島の喜多方という場所で、養豚場を経営していました。だいぶ内陸でしたので、地震の被害は少なかったんですが……」

 彼女がうつむきながらこんな話をしているのを横目で見ていると、いつかの家庭訪問を思い出す。風評被害が原因でお兄さんが自殺したというあれだ。

 その後石井母は、前に私にした話を涙ながらに語り続けた。今回は話を止める人間がいないせいで、「兄の部屋には、『原発なんか作ったせいだ』っていう遺書があって……!」などの、以前私が中断させた話まで延々と語り続けた。真栄田さんはそれを聞いて目頭をハンカチで押さえている。

 だがふとカメラの方向を見てみると、番組スタッフたちは浮かない顔をしていた。録音中につき声を出さずに手元のメモ帳に文字を書いて何やら筆談をしている。

 やがてADの一人がスケッチブックと黒いサインペンを手に取り、何やら文字を書き始
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