イレブン

九十九光

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♯14ー18

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く人の乗用車が行き交う、西知多産業道路である。西に向かって歩行者が進めるように横断歩道が整備されてはいるが信号はない。善意あるドライバーが歩行者を見て止まってくれる以外、この先の道を渡れるチャンスはなさそうだった。

 その善意あるドライバーが一時停止するのを見るや否や、私は産業道路上に作られた朝倉道橋上の横断歩道を渡っていった。その間、ガードレール等の仕切りが一切ない横の道を大型のトラックが次から次へと走っていく。そのたびに鉄筋コンクリートとアスファルトでできている橋はわずかに揺れ、体が上下する感覚を私に与えてくる。ただでさえ焦りからくる恐怖を抱えているのだから、この遊園地が客にスリルを与える最もオーソドックスなやり方でも、心臓が張り裂けそうになるのには充分な効果があった。

 そんなチープな恐怖の思うつぼになりながら、私は産業道路から入れる会社の方向を示す、簡単な金属製の看板の前に出た。T字路になっているその位置から、左右どちらに曲がればどの会社に行けるのかを示しただけの、地図すらない簡素な案内板だ。周囲を通っているのは、すべて四輪駆動の自動車ばかり。自転車なんて一台もなく、歩行者は私以外誰もいなかった。

 私は現在地からしばらく周囲を見渡して、下の道へと下りられる階段を見つけた。先ほどのような自転車用のスロープなど作られていない、コンクリートで形作っただけの簡素な階段だった。そもそも使う人間がいるかどうかも、今考えると分かったものじゃなかった。

 特に深く考えていなかった私は、迷うことなくその階段を下りた。内田は自転車で逃走しているのだから、普通に考えればこの階段でUターンしている可能性を真っ先の思い浮かべるはずだった。そんな当たり前の思考回路すら錆びつくほど、この時の私は焦っていた。

 そしてその焦りが、今回は偶然不幸中の幸いとして実を結んだ。比較的急な階段を下りた先、横に自転車を放り出して高架下の柱に背中を預ける形で、内田は地べたに尻をつけて座り込んでいた。

「内田、ここに」

「くんなよ!」

 内田は顔を下に下げたまま私に向かって叫んだ。

 そこからしばらくお互いに黙り続けたのは言うまでもない。真上と真横からは車のエンジン音だけがけたたましく鳴り続ける。西側が工場の景観維持で作った人口の林なせいで、こちらを照らすものは何もない。この薄暗くもうるさい場所で、内田は顔を見せずに泣いていた。
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