イレブン

九十九光

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♯14ー17

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 警察官の話を遮ったのは穣一さんだった。のほほんとした印象しかない彼は、今回は切羽詰まったような顔つきで訴え始める。

「孫が会館の外へ行ってしまったんです! 探しに行かせてください!」

 私はこの言葉を聞いて、罪悪感のようなものに襲われた。彼の提案は、この言葉を聞く前の私の中には存在していなかった。それまでの私の中では、嵐のように過ぎ去った不良と警察の戦いを前にして怖かったという感想だけが渦巻いていた。

 私は穣一さんの言葉に便乗した。

「私からもお願いします! その子はものすごく不安定な精神状態で飛び出したんです! 行かせてください!」

 私はその若い警察官の前に行き、頭を下げていた。無意識の行動だった。

 当然、事情聴取を後回しにしてくれなんて話は、彼らにとっては想定外のイレギュラーでしかないだろう。目の前の警察官は、「そう言われましても……」と小声で言いながら周囲を見渡していた。

 するとそこに、「どうした」と、年配の警察官が若い警察官に声をかけた。若い警察官はその男に私たちの要望を説明する。事情を知った年配の警察官は、開口一番こう言った。

「当然行かせるべきだろ。顔写真見せてもらって、手の空いてる連中にも手伝わせよう」

 こうして私たちは、最終的に延べ四十人体制で内田平治の捜索を開始した。

 私は地域課の人たちとの連携を内田夫妻に任せて、ろくすっぽ話し合いもしないで文化会館の西側、発電所や工場のある方向へと足を進ませた。

 あっという間だった。いちいち何かを考えてから行動に移す暇もないほど慌ただしい時間だった。頭の中では無根拠で理由もない漠然とした不安だけが、何年も放置した小屋の中の蜘蛛の巣のように広がっている。

 私は内田の名前を叫びながら、文化会館南の市役所近くの十字路まで駆け足でやってきた。普段暮らしている市の東側と違い、やたらと車の通りが激しい場所だった。すぐそばの産業道路から入ってきた大型トラックの往来もあり、それらの轟音が余計に恐怖心をあおってくる。

 私は朝倉駅前のコインパーキング横の歩道を西へ向かって進み、道路下を通る数メートルほどのトンネルを通ってさらに西へと進む。トンネルの先には、フェンスで侵入を防止し、コンクリートで脇を舗装された川があった。正確には、真水と海水が入り混じる汽水域というやつである。その証拠に、川の中に打ち捨てられて先端だけが見えている小舟には、フジツボかカキらしき貝が隙間なく張りついている。

 私はそのすぐそばにある、自転車が通過できるスロープが真ん中にある階段を駆け上がり、川を横断するように作られた朝倉橋を渡る。その向こう側は、大型トラックと工場で働
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