ボーダーラインまで、あと何点?

【八年の密かな片想いをこじらせたコーラス部のアイドルと、生真面目な駅伝ランナーのお話です】

「先輩には好きな人がいる? そんなこと知ってる。知ってるけど、どうしても諦められないんだ!」

 恋心というものは、ひどく厄介な代物だ。
「高城くん、好きです。付き合ってくださいっ」
 顔も名前も知らなかった女子から頻繁に告白される。誰かに好かれるのは悪い気はしない。好きになってもらえて、その気持ちを告げてくれる勇気を出してもらったという事実は嬉しいし、ありがたいと思う。
 けれど、それは僕の恋心を計算に入れてない場合の話。僕だって、ずっと片想いしてる人がいるんだ。片想いのつらさを痛いほど知っている僕が、真剣な告白を断り続けなければいけない矛盾。
「はあぁ……恋心って、本当に厄介だなぁ」
 厄介も厄介。何しろ、僕が好きなあの人にも、好きな人がいる。だから、この想いは届かない。そんなこと、ちゃんと知ってる。
 でもさー。好きなんだから、どうしようもないよなぁ。
 好き。好きだ。君しか見えない。見ていない。
「秀次くん、大好き」

【どうやったら、君の特別になれる? 何度『好き』を伝えたら、僕は合格点をもらえるんだろう】

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表紙はミカスケさん@oekakimikasuke作画です

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