ボーダーラインまで、あと何点?

冴月希衣@商業BL販売中

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第七章

2 異常事態②

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「好きだ。大好きだよ、秀次くん」
 あー、言っちゃった。こんなこと、ある?
「初恋なんだ」
 嫌いを連呼してたはずなのに、なんで真逆のことをペロリと零してんの? 嘘みたい。

「ずっとずっと、もう何年もずっと想い続けてる。諦め方もわからないくらい、君のことが好き。大好きっ」
 感情が振り切れすぎたせいかな? 自分で自分がコントロールできない。
 相手の胸元を叩いてた手は気づいたらその背に回っていて、背伸びしたことで近づいた唇に自分の唇を押しつけていた。
 つまり、抱きしめてキスしながら告白! という異常事態を作り出してる。僕が! 秀次くん相手に!
 こんなこと、ある? いや、こんな予定、どこにも無かったよ!

「香椎、俺……」
「き、気持ち悪いこと言って、ごめんっ!」
 どどっ、どうしようっ?
「今の無し! よくわかんないけど、口が勝手に動いただけだから聞かなかったことにして! 全部、忘れて!」
 だめだ。無理やり誤魔化してでもリセットしてもらわなきゃ。
 だって、これじゃ、気持ち悪いやつ認定、まっしぐらだよ。『弟扱いの幼馴染』をやめて、せめて同格の親友になりたい! を目指してたはずが、視界にも入れてもらえなくなっちゃう。いったん、退避!

「ということで、頭を冷やすために帰るね。お邪魔しまし……」
「待て。もうちょい、お邪魔しとけ」
「うわっ」
 退避、失敗。身体の向きを変えた途端、両肩をガシッと掴まれた。一歩、踏み出した右足が宙に浮いたまま、その場から動けない。
「ポカスカ殴られた挙げ句のキスについて説明してから帰れ」
 顔が近いよ。
 なぜかわかんないけど、とても良い笑顔がじりじりと迫ってくる。怖い。

「……無理」
 言えるわけない。だから逃げようとしたのに。
「なんで?」
 ポカスカ殴った挙げ句の告白とキスを無かったことにしたいから逃げたいのに、なんで引きとめるの? なんで、それを深掘りしたいの?
「秀次くんは僕から何を聞きたいの? 残酷だよ」

 ポロッと気持ちを曝け出しちゃった僕が悪い。わかってるよ、自暴自得だってことは。でも、僕の口から改めて言わせる必要ないじゃん。
「説明って、何? そんなの無理だし、やる意味がわかんない」
 そもそも、言わせてどうしたいの? あの人に恋してる君に、僕が今やらかしたことの説明をする意味ある? 僕が自分に死刑宣告するだけじゃん。そんなの……。
「酷いよ。残酷にも程がある」
「え? お前、何言って……」
「男に『好き』って言われて、キ……キスまで無理やりされて気持ち悪かったっていうのは、わかってる。でも、だからって、わざわざ引きとめてまで暴く?」
 僕の知ってる秀次くんは、そんな人じゃなかった。あの人が君を変えたの? あの綺麗な人が君を……。

「僕の行動の理由なんて、一つじゃん。明白じゃん」
 あー、もう何もかもどうでも良くなってきた。そんなに聞きたいなら、全部ぶちまけてやる! 
「説明するまでもなく、片想いをこじらせすぎて気持ちがグチャグチャなんだよ! 無意識で変なことをしでかすくらい、秀次くんのことが大好きなだけだっ!」


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