イレブン

九十九光

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♯14ー19

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 だが黙っているわけにはいかないという思いだけが、私の中には無責任に存在していた。

「なあ、内田」

「どうせあんたも俺の話なんかまったく信じてないんだろ! 実の父親に無理矢理セックスさせられるなんてありえないって思ってんだろ! それでいてこいつはそういう奴なんだって笑ってんだろ! 俺のことを面倒でうっとうしくてバカなやつなんだって思ってんだろ!」

 顔をこちらにまったく向けずに話す内田からは、彼の心の傷の深さがにじみ出ていた。同時に私の中で、薄気味悪い寒気のようなものが走り回った。

 私は本当に、自分はダメな教師だと痛感していた。内田庵が言ったように、自分から進んで内田の傷口をつつく他人を止めることもせず、自分自身も彼の心の傷のケアを何一つしなかった。目の前に現れた問題の処理に追われ、それがあまりにも難しいと感じるとただただ逃げて。ほかの先生が職を失う覚悟で意を決しても、自分だけは何かと理由をつけてそこから逃げ出す。目の前で一人うずくまり、自分だけの世界に逃げ込もうとしている内田平治を見て、私は自分の弱さを改めて痛感していた。

 何もしないわけにはいかない。そんな思いだけが体中を駆け巡って、具体的な方策を決めようとしなかった。

「なあ、内田……」

 私はなんの作戦も立てないまま、うずくまる内田に三度声をかけた。泣き疲れている彼は、今回は話を遮って言い返すような真似はしなかった。

 私はそこから、次のセリフを考えるために一旦黙り、ある程度形になったところで再び口を開いた。

「今日は本当に悪かった。本当ならこの取材の話を聞いた時点で、教師として、無理にでも中止させるべきだった。本当にすまなかった」

 内田は何一つ反応を返さなかった。当然のリアクションである。

 私はそこからまた黙り込み、何を話そうかとあれこれ考えた。二十代後半に差し掛かろうという体に、気持ちの悪い肩の疲れがやってくる。

「……。なんでもいい。なんでもいいから、内田が私に言ってもいいって思ったこと、何か
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