イレブン

九十九光

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♯14ー20

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教えてくれないか」

 つい口をついて出てしまった言葉に、内田は何も返さなかった。自分自身、なんでこんなリクエストをしたのかさっぱり分からなかった。インタビューで煮え湯を飲んだ奴に改めてインタビューを迫るなどおかしいと、この言葉を言ってすぐに、私はやってしまったと後悔した。

 だが私は、その話を訂正しなかった。

「私は知っておきたいんだよ。内田の担任として。内田のことを。約束するよ。今からするそっちの話に、私はなんにも口出ししない。誰かに言うようなこともしない。テレビの人たちみたいに余計な注文は絶対にしない。だから教えてほしい。内田のこと。なんでもいいから一つ」

 私はこの言葉のあとすぐ、今すぐこの場から逃げ出したいという気持ちに襲われた。足枷でもはめられたような倦怠感がやってきて、どうして自分はこんなことをしているのだろうという気分にさいなまれた。

 そんな時間が何十分と続いたように思えた。私が腕の上を毛虫が這っているような気味の悪さと戦っていると、内田は顔を上げることなくこう言った。

「小学二年生……」

 私の中からさっきまでの不快感が消えた。それと同時に私が「え?」という腑抜けた返答をすると、内田はさらに話を続けた。
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