イレブン

九十九光

文字の大きさ
上 下
169 / 214

♯15ー2

しおりを挟む
ら、ズボンを脱いでオナニーをしていた。少し遠くから様子を見てると、『じろじろ見るな』って怒鳴られて、近くにあったもので殴られる。その時の自分には、父親が何をしてるのかさっぱり分からなくって、怖かったのだけを覚えてる。学校の先生に言っても、まともに相手してくれなかったのもつらかった。

もっと怖かったのは、近所の人と学校の同級生が僕のことを見てくる目だった。学校の行き帰りの時に近所の大人は自分を指さしながら、『あの子、同性愛者の子供ですって』って言ってきた。学校では今まで仲良しだった友達から、『お前、母ちゃんに捨てられたんだろー?』っていきなり言われて、そればかり言われるようになった。前半のほうは、その時は言葉の意味が分からなかったからそこまで気にならなかったけど、後半はとにかくつらかった。大好きだった母さんに捨てられたってことだけが頭にあって、その理由が全然分からない。それがひたすら怖かったんだ。

……。人に言っても全然信じてもらえないんだけど、父親にレイプされたって話は本当だよ。三年生の時に、家から帰ったらいきなり父親に襲われたんだ。後ろから肩をつかまれてリビングの床に投げ飛ばされて、無理矢理服を脱がされて裸にされて。そしたら今度は全身を舐め回されて、両足をあげられたと思ったら……、おちんちんを口でくわえてきて、その中で舐め回されて。その後父親の大きくなったおちんちんをお尻の穴にねじ込まれた。痛くて気持ち悪くて、寒気がして、体中が熱くなった。このまま自分は死んじゃうんじゃないのかって思った。気がつくと夜になってて、おしっこ漏らして血の混じったうんちもしてた。そして父親から、『誰かに言ったらぶっ殺す』って脅された。目はチカチカしてて、今何時かも分からなかったけど、その言葉だけはしっかりと聞こえた。

それから父親には、何度も何度も無理矢理セックスさせられた。休みの日や学校から帰ったあととかに、全身を舐められて、お尻の穴に大きくなったおちんちんを入れられる。痛くて気持ち悪いだけで、いつも泣きながら、早く終わらないかなって思ってた。

こんなのがいつ起こるか分からないから、全然眠れなくなった。むしろ寝るのが怖かった。眠ると、父親から暴力を振るわれる夢を見るか、まだ両親が仲良しだった時の夢を見て悲しくなるかのどっちかだった。一応、何もしなかったわけじゃない。お父さんがひどいことするのは僕のせいなんだって思って、時間を見つけていっぱい勉強した。でも無駄だったよ。テストで何回百点を取ったところで、あの男は僕をレイプするのをやめなかった。むしろ酔っぱらった勢いで電話の向こうの誰かに僕を犯したことを話して、それで他人にこのことが知られたことを僕のせいにしてまたレイプする。最低の男だった。
しおりを挟む

処理中です...