イレブン

九十九光

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♯18ー4

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 私は事の次第を説明することにした。

「……。三十時間TVってあるじゃん。シルバーウィークに放送する特番の。内田、あれの取材を夏休み中に受けたんだけど……」

 ここで湯本や浜崎のようなお調子者たちから、「うおー! それマジかー! 録画しねえとー!」といった歓声は上がらなかった。それだけ彼らが真面目に話を聞いているという証拠だ。

「そこであいつ、色々あって今学校にこれなくなっちゃったんだよ……」

 私はここで一旦話をストップした。石井の母親がその内田の不登校の原因の一つである以上、あまり詳しく言うことはまずいと感じたからだ。

 だが本人は違った。

「いいよ、樋口。隠さなくて」

 窓際の最前列に座る石井が言った。特に何か考えたような雰囲気のない、あっけらかんとしたセリフだった。

「え? いいの? あんたのお母さんの」

「いいって言ってるじゃん」

 頬杖を突き、顎を使って催促するようなその姿勢は、まるで私の上司のようである。これに私は、顔を平手で叩かれるような感覚を受けた。

 石井空介は大人だ。自分の身の回りのことでいちいち動じない人間だ。そして周囲のほかの生徒たちも、石井に何かあるからと彼を責め立てようとしないところを見るに、やはり同じように大人だ。

 そして私は子供だ。危うく数か月前と同じ失敗をするところだった。

 私は正直に、先月三日に何があったのかを説明した。テレビの取材の内容、そこでの内田の回答、それに対する番組と石井母の反応、それに対する内田の返事に、その後彼が現場から飛び出したこと。三年二組の全員に、かける時間を惜しむことなく説明した。そして話をしたのは、本当に内田に何があったかという話だけ。「内田は必ず戻ってくる」とか、「内田のことは心配しなくていい」とか、生徒を安心させるためのお約束の文言は一切口にしなかった。話さなかったのは、内田との約束だった彼の過去の話だけである。

 話が終わった時には、時計の短針は数字の『6』のところを指していた。数十秒ほど黙って待ってみた。話している最中もそうだったが、誰一人として話への感想を口にしなかった。だがそれぞれが頭の中でこの問題に対して何かしらの考えを持っていることは、教卓から
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