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♯19ー2
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「けやきのきさんなのですが、時間を一時間遅く勘違いしていたみたいでして……! 現在東名高速の静岡のあたりを走行中とのことです!」
自分のスマートフォン片手に、佐藤先生は教職員全体にこのような非常事態の報告をしていた。無論、学校祭の進行に大幅な乱れをきたすこの話は、佐久間校長まで含めて多くの先生を動揺させる。大野先生や西川先生などからは、「空いた時間をどうするの」とか、「佐藤先生、本当に正しい時間を連絡したのか」など、彼の仕事に対する疑念の声まで上がる始末だ。
内心で落ち着いていたのは、私を含めた三年生の担任八人だけだった。佐藤先生のこの嘘が、時間になってもあの人形劇の演者たちが来ない理由づけだと知っており、これで予定通りだと考えているからである。当然、このあとの話の流れにも台本が用意されている。
「吹奏楽部の一、二年生でなんとかしましょう」
手を挙げてそう言ったのは天草先生だった。全員の視線が注目している中、さらに彼は台本通りのセリフを口にする。
「部活動発表でやる予定の演目に、あれこれ私が話を追加します。先方も時間を間違えていたとはいえ、その間違えた時間に余裕で間に合うように向かっているとのことでしたら、充分時間は稼げるでしょう」
冷静に考えるとなかなか恐ろしい話だ。詳しく知らないが、この流れだとまともなウォーミングアップの時間さえ用意できないだろうから、やってくれと言われた生徒たちがかわいそうになる(実際にやることはないのだが)。
天草先生はさらに言葉を続けた。
「けやきのきさんと共演予定の三年生は予定通り、体育館に向かわずに下の武道場で待機させます。これでよろしいでしょうか」
これに対して山田先生を含めた三人の学年主任に、堤教頭と佐久間校長を含めた五人が顔を寄せて小声で話し合う。時間がないという差し迫った状況に加えて山田先生が賛成方向に意見提示することが確定しているせいで、話し合いはものの三十秒ほどで決着した。
「分かりました。天草先生、吹奏楽部員への指示をお願いします」
この堤教頭からの指示に返事を返した天草先生は、各教室の黒板に指示を書き出すために職員室を飛び出した。
こうして予定調和のトラブルに予定通りの軌道修正が加えられると、天草先生を除く三年生の担当七人は体育館下の階にある武道場へと向かう。
自分のスマートフォン片手に、佐藤先生は教職員全体にこのような非常事態の報告をしていた。無論、学校祭の進行に大幅な乱れをきたすこの話は、佐久間校長まで含めて多くの先生を動揺させる。大野先生や西川先生などからは、「空いた時間をどうするの」とか、「佐藤先生、本当に正しい時間を連絡したのか」など、彼の仕事に対する疑念の声まで上がる始末だ。
内心で落ち着いていたのは、私を含めた三年生の担任八人だけだった。佐藤先生のこの嘘が、時間になってもあの人形劇の演者たちが来ない理由づけだと知っており、これで予定通りだと考えているからである。当然、このあとの話の流れにも台本が用意されている。
「吹奏楽部の一、二年生でなんとかしましょう」
手を挙げてそう言ったのは天草先生だった。全員の視線が注目している中、さらに彼は台本通りのセリフを口にする。
「部活動発表でやる予定の演目に、あれこれ私が話を追加します。先方も時間を間違えていたとはいえ、その間違えた時間に余裕で間に合うように向かっているとのことでしたら、充分時間は稼げるでしょう」
冷静に考えるとなかなか恐ろしい話だ。詳しく知らないが、この流れだとまともなウォーミングアップの時間さえ用意できないだろうから、やってくれと言われた生徒たちがかわいそうになる(実際にやることはないのだが)。
天草先生はさらに言葉を続けた。
「けやきのきさんと共演予定の三年生は予定通り、体育館に向かわずに下の武道場で待機させます。これでよろしいでしょうか」
これに対して山田先生を含めた三人の学年主任に、堤教頭と佐久間校長を含めた五人が顔を寄せて小声で話し合う。時間がないという差し迫った状況に加えて山田先生が賛成方向に意見提示することが確定しているせいで、話し合いはものの三十秒ほどで決着した。
「分かりました。天草先生、吹奏楽部員への指示をお願いします」
この堤教頭からの指示に返事を返した天草先生は、各教室の黒板に指示を書き出すために職員室を飛び出した。
こうして予定調和のトラブルに予定通りの軌道修正が加えられると、天草先生を除く三年生の担当七人は体育館下の階にある武道場へと向かう。
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