イレブン

九十九光

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♯19ー3

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 前日までに運び入れた楽器類の中に、浜崎や今田を筆頭とした十数名の三年生が混じっている。彼、彼女らは私たちが金属製の引き戸を開けて入ってくると、「おおーっ!」というタイミングばっちりの歓声をあげる。やる気があるのはいいが少し静かにしてほしい。

 私たち七人を代表して、山田先生がその十数名の前に立った。

「えー、皆さん。おはようございます」

「おはようございまーす!」

「えー、ついにこの日がやってきました。現状、大きなトラブルは一切ありません。予定通り、君たちのためのライブができそうです。……。あとは君たち次第だ。物を壊さない、けがをしない、させないを守って、思いっきりこの日を楽しんでください」

 これに対して生徒たちは、「うっす!」という返事をこれまたタイミングばっちりで返し、自分たちの結束力の強さを改めてこちらに認識させた。

 ここから数十分間、私たち七人は武道場の中と外に分かれて立ち、次々とやってくる生徒たちを確認していく。石井、湯本、三津島、岡村、孫入、倉木、小暮、諸田、井上、立川、品川、桐林、伊藤、原田、山本。そのほか含めて百五十人近い三年生たちが、八時十分を過ぎる頃には誰一人欠けることなく集合してきた。

 内田平治、たった一人を除いて。

 ほぼ全生徒が集まったところで、私は一人の男子生徒を後部座席に乗せて自分の車を走らせた。目的地はもちろん、二学期に入ってまだ一度も学校に顔を出していない、内田平治の自宅だ。

 八幡にある彼の家には、学校から五分とかからずに到着した。以前見た壊れた温室の前に建つ平屋、その敷地内にある白いプレハブ小屋は、赤みがかった桃色のカーテンが閉めきられたままだった。

 そして突然家の中に入ってきた見慣れない軽自動車に、平屋の家主二人が顔を出す。

「樋口先生……! どうしたんですか、こんな時間に!?」

 このように声をあげて驚いた様子を見せる信子さんに続いて、穣一さんが頭を掻きながら出てくる。二人ともまだパジャマ姿だった。

 私はそんなことを気にするでもなく、信子さんに質問する。

「平治君は?」

「あ……。小屋の中ですけど……」

 動揺している信子さんに代わり、穣一さんが答えた。それを聞いてプレハブ小屋の出入り
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