【完結】計画的ラブコメ未遂の結愛さん。

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第2章 いじめ問題。

第10話 復讐達成……?

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 □■□

「一日ズラした理由はもう分かる?」
「な、なに?」
「疑いがかからない為にってのが先ず一つ目の理由。私と悠斗は体育の時間、同時に抜け出した。特に気にした様子は無かったけれど、一日ずらす事でその疑いを最小限になるように調整したの」

 なるほど、それで今日に実行したのか。

「二つ目の理由はこれ。証拠写真付き」

 えぐい写真が撮れていた。
 というのも、安藤くんが下校中に新たなタバコを購入する写真を正確に捉えられていた。つまり結愛は、タバコを無くした事に気付かせ、改めて買う現場を押えられるよう仕向けたのだ。

 買っているのは……コンビニか。
 確か、自販機とかだと年齢確認用の免許とか必要なんだったか。制服を、ジャージかパーカーに着替えて学生身分を偽り、更にはコンビニバイトの店員すらグルの恐れが出てきた。

「これでチェックメイトね」
「ちなみにこれも未来視で?」
「……まあね。凄い?」

 凄いと言うか、チート過ぎる。

 □■□

 それからというもの、これでもかと証拠を集めた。
 明かなオーバーキルだ。

 暴力行為を纏めた動画や画像、喫煙の写真。何から何まで都合よく撮れ過ぎだ。停学処分、いや退学になってもおかしくない。

「これを匿名で学校宛てに送る」
「半分脅しじゃないか」

 結愛は最早迷う様子無く、送付した。
 試合終了、これでぼくらの戦いは終わったのだ。

 ある意味で呆気ない、天下統一した徳川家康もこんな気持ちだったのだろうか。悪夢の様に毎日見たいじめもこれで無くなる。とんでもない事をした、と後から来る罪悪感と、これで良かったんだと自己肯定する感情がぐちゃぐちゃに入り混じって気分が悪くなった。

「どう、復讐を達成した気分は」

 いや、闇落ちしたヒロインのセリフかよ。 
 どうと言われても分からない。
 晴れやかで無い事は確かなはずだ。

「さあね」

 絶対悪に限りなく近い安藤くん。彼に不幸が降りかかる事を喜んでいいはずなのに、まだこの一連の事件は終わっていない、そんな予感さえしていた。

 結愛の家には、その間何度も行った。
 でも邪魔者が消えた今、ここに来る理由は無い。

 最大限、名残惜しさを感じながら玄関で靴を履く。

「じゃあ、また明日。学校で」

 ぼくはそう言って結愛に手を振って家を出た。
 結局結愛の両親に挨拶する事もなかったな。

 共働きで、日中はずっと家を開けているらしい。
 もしかしなくても、この家にぼくを呼んだのは、寂しかったからではなかろうか。結愛にとってこの事件は単なるお遊びで、ぼくと話す為だけに……なんて考え過ぎか。

「また来てね」
「ラブコメを匂わせるのは勘弁してくれ」

 ぼくは手をひらひらとさせて外に出た。
 言われなくてもまた来るよ。

 □■□

 その夜、ぼくは夢を見た。
 決まって寝る時に見る、未来視の夢。

 そうだ、これは予知夢だ。

 ぼくが何もしなければ起こる夢。
 その日、起こってしまう最悪の未来。


 これは誰だ。ぼくじゃない。
 少なくとも、いじめや報復の夢でないのは確かだ。あの日、結愛が交通事故に巻き込まれる夢とはまた別の、誰かが犠牲になる夢。

 その男は、橋の手すりの上で立ち上がる。
 橋の数メートル下には、さらさらと川が流れていた。街が静まり返る夜、ぼくはその現場に遭遇した。ぼくは必死に手を伸ばす、でもほんの少し間に合わない。

 どぼん、落ちた。ぼくの目の前で。
 今のは誰だった、夜闇で顔が見にくかったけれど。

 でもぼくはきっと一生、その顔を忘れない。




 
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