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第3章 通り魔事件。
第23話 突撃訪問。
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容疑者は、ぼくの近くにいる。
これは間違いない事実だ。
頭が朝からフル回転している。
全く、最悪な朝だ。
王国の姫を攫われたと知った時の、配管工の兄弟もきっといつも感じで心臓をバクバクさせていたんだろうよ。彼らは姫を救う英雄になれるけれど、果たしてぼくはどうだろう。
そんな力がぼくにあるのだろうか。
結愛みたいに随時使える程万能な能力じゃないのは確かだ。
学校に着いた。
良かった、結愛は学校に来ている。
朝の時間を利用して、三年生の様子も確認に行った。
「伊崎? そういやまだ来てないな」
伊崎先輩は休みだった。なんて事だ。学校で会えば、わざわざ会う必要もないと思っていたのに。今日に限って休みか。ますます怪しくなってきたぞ。
昼休み、結愛が心配になったのかぼくに話しかけて来た。
「深夜のあれは何だったの?」
「あーいや。やっぱり伊崎先輩絡みの事件だってのは、だいぶと分かってきたよ。陸上部のメンバーにはこれといって、麗奈を刺そうとするまでの動機はなかった。それに何より、今までの被害者との接点まで掴めなかった」
「確かにあの記事には、彼女達が何の部活に入っていた、という情報の記載は無かったけど。そうそう、私も少し調べて分かった事がある」
携帯を取り出して、メモアプリを開いた。
「事件が起き始めたもののうち、三年前までに限ってはいるけれど、その年齢を確かめてみると、凄い事が分かった。今に置き直してみると、丁度被害者は、早生まれを含めれば現在15~18歳。しかも対象の年齢は徐々に上がって来ていたの」
「それってまるで」
犯人の年齢に合わせて、被害者の年齢を変えている?
伊崎先輩で考えてみよう。
ちょうど同年だから一歳違いを対象にしている。
間違いない。伊崎先輩はこれに関して何かを知っている。
「それに、学校裏サイトにアクセスして調べてみると、ほら。二年前の記述になるけど、こことか。被害者の名前が載ってた」
伊崎先輩と、被害者を結び付ける材料がまた一つ増えた。
これだけあれば、吐かせるのも容易だろう。
あとは、伊崎先輩に会うのが一番の問題だけど。
「放課後は、じゃあ伊崎先輩の家に向かうって事で」
「ダメだ!」
ぼくは、思わず声を荒げてしまった。
「なんで……?」
「えっと、ここはぼく一人で行くべきだと思うな。もし、伊崎先輩が犯人なら、結愛だって狙われるかもしれないだろ?」
「それなら悠斗だって。犯人を下手に追い詰めたら、どうなるか分からないっていうのに。とにかく、悠斗が行くなら私も行く。これは決定事項だから」
「え~、でも!」
「この情報を持ってきたのは誰だったかな?」
結愛め、意地悪が過ぎるだろう!
「それにぃ、一人で伊崎先輩を見つけられるのかなぁ」
「ああ、もう分かったよ。ついて来い!」
「やったっ、じゃあそれで決まりね悠斗!」
はあ、やられた。
こうなったらテコでも動かないのが結愛様だ。
日が暮れるまでに、何とか用件を終わらせよう。
「っとと」
「結愛、大丈夫?」
結愛がいきなり、上体をグラリと揺らす。
「あ……ごめん、少し眩暈がして」
「保健室で休んでおいたら」
「そうやって、一人だけ伊崎先輩の元に向かうつもりでしょう。大丈夫、前に言わなかった? 未来視を使うと副作用があるって。昨日は力を使い過ぎたからその影響で」
確か、安藤くんの事件を解決した頃、結愛が未来視についての本当の能力を教えてくれた時に聞かされたっけか。あの時は、解放感の方が凄くて忘れていた。
「そっか。無理しないでも……」
「悠斗。ここに来てまでそれ言う?」
「ははは」
結愛様は同行をご所望のようだ。
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