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第2章 異世界攻略編
第45話 ベッドでイチャイチャ。
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「えへへぇ、すきぃ……レイすきぃ」
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
ぎゅうぎゅうと羽交い絞めにして抱き着いてくる王国最強の騎士にされるがままになりながら俺はシンシアの胸の上で脱力しきっていた。
これは誓って本当の事だが、俺はまじで今一歩たりとも動けなかった。魔力がゼロになり、頭に激痛が絶え間なく走っている状態なのだ。
抵抗する力が有り余っているはずもなく俺はシンシアの求愛行動(?)を受け続ける羽目になっている。ルナはこの惨状に脳が完全に機能を停止したのか、口を開閉したまま一言も発する事が出来ず。周りの騎士達は「羨ましい……」等と怨嗟の声を響かせ。
唯一のまとも枠たるイレイスは無言で頭を抱えていた。
「これはどういう事だ、説明しろ」
「多分だが……シンシア様は酔っているんだ」
「酔っている?」
俺は思わず聞き返してしまった。
「それって酒を飲んだりする時の」
「ああ。正確には『魔力酔い』に近い症状だろう。本来ならば、他人から貰った魔力を身体に蓄える事で一時的に酔いに似た症状を引き起こす事がある。アルコールに弱い人ほどその傾向が強いとされている」
なるほど。今のシンシアはべろんべろんに酔った状態で、理性の欠片もなく、正気に戻った頃には記憶すら吹き飛んでいるであろうと。
質の悪いダル絡みを無抵抗で受け続けなくてはいけないのか。
なんで俺は拷問を受けているんだ?
いや、これはある意味でご褒美と言った方がいいのか??
12→22
スキル『慧眼』を獲得しました。
スキル『根性』を獲得しました。
酔った勢いで好感度を稼いでしまうのは何ともいたたまれない気もするが。シンシアを救った正当な報酬としてここは納得しておこう。
「お、おわ……っ」
「ありがとう……」
シンシアは俺を胸の中へと抱き込んだ。
一定のリズムで響く心臓音が心地いい。
まるで赤ちゃんに帰ったような気分だ。
「んふふぅ~」
なんだろう、嫌な予感しかしないのだが。
「レイってば全力出し過ぎだよぉ」
服が乱れて、シンシアの素肌の熱が直接伝わる。
柔らかな胸の感触が呼吸に合わせて伝わってきた。
「レイの熱が、私の奥まで入ってきちゃったぁ」
何故かシンシアは下腹部を撫でる。
「……」
シンシア。実は素面じゃないだろうな。
俺を揶揄っているなら質が悪すぎるぞ。
「それは『紅魔』で使役した俺の血だろ?」
勿論、俺の解答は全スルー。
理性を失ったシンシアは更に続けた!!
「ん~? おっぱい好きなの?」
大好きですといって飛び込めばいいのか!?
揺れる胸に理性がどんどんと削られる。
自然と顔が赤くなってくる。
酷使した脳を今は少しでも休ませたいのに。
ラスボスがまさかこんな所に潜んでいたとは。
「あ~なるほど。いっぱい出して疲れちゃったか」
また語弊を生むような事を平然と。
あくまで言っておこう。出したのは「血」だ!
俺は周りを見る。
何故か空気が固まっていた。
はて、俺は何かしただろうか?
「ルナ……さん?」
ルナの後ろに般若如来像を幻視した。怒りのボルテージが際限なく上がっている事が分かる。ようやく脳が整理を終えたのか、呪文のようにぶつぶつと。
「『レイってば、全力出し過ぎ』」
先程の会話をボイスレコーダーで再生するかの如く、一言一句違わず、だがその意味はあえて言及せずに唱えていく。
「『私の奥まで』『いっぱい出した』?」
「おい待て。悪質なメディアの切り抜き方だ!」
俺はがくんっ、とベッドから滑り落ちる。
中途半端に音だけを拾っていたらしい。
「シンシアさんを救う手筈が、いつのまにベッドでイチャイチャする事になっていたのですか?」
記憶まで飛ばしてやがった!
フリーズしてデータまで飛んだパソコンのようだった。
だが、確かに一部始終を見てみない者からは?
服が乱れ、全身に汗を浮かべた男女二人がベットの上にいて。意味深な発言を連続して発したばかりか、挙句俺の片手は今。
ふよん。
「えっち♡」
滑り落ちた拍子にシンシアの胸を揉んでいた。
あ、終わった。
「死ねばいいのに」
「おい、シンシア。早く正気に戻れぇぇえ!!」
俺は起き上がってシンシアの肩を揺すった。
今世紀最大級の死の危機に俺の全身は警鐘を鳴らした。
「はっ……私は何を」
そして、シンシアは意識を覚醒させた。
目覚めてまず、己の服の状態を確認し。
続いて横にいる俺へと目を移す。
更には前後の記憶を洗い出し、
そしてッ!!!
「は、はぁああああああ~~~!?」
バッと布団を被って蹲った。
「嘘嘘、絶対夢。これは夢、そうよ落ち着きなさい、シンシア・オルデン! えっと……えっと……ああ、本当に無理。ダメ、もうお嫁に行けなぁい!?」
そして再び壊れた。
嗚呼、これが地獄絵図というやつだろう。
収拾がつかない、このクソみたいな狂気の渦中で。
「なーんで俺ってハーレム形成出来ないのかねぇ」
もうどうでもよくなった俺はそんな事を口走っていた。
それは一重にご都合主義が機能しない最悪の連続と。異世界漫画みたく一向にデレる気配のない気難しいヒロイン達が紡ぐ、ギャルゲー的異世界に転移してしまったからに他ならないだろう。
異世界迷宮編 了
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
【悲報】シンシア・オルデン脳死滅か。
ぎゅうぎゅうと羽交い絞めにして抱き着いてくる王国最強の騎士にされるがままになりながら俺はシンシアの胸の上で脱力しきっていた。
これは誓って本当の事だが、俺はまじで今一歩たりとも動けなかった。魔力がゼロになり、頭に激痛が絶え間なく走っている状態なのだ。
抵抗する力が有り余っているはずもなく俺はシンシアの求愛行動(?)を受け続ける羽目になっている。ルナはこの惨状に脳が完全に機能を停止したのか、口を開閉したまま一言も発する事が出来ず。周りの騎士達は「羨ましい……」等と怨嗟の声を響かせ。
唯一のまとも枠たるイレイスは無言で頭を抱えていた。
「これはどういう事だ、説明しろ」
「多分だが……シンシア様は酔っているんだ」
「酔っている?」
俺は思わず聞き返してしまった。
「それって酒を飲んだりする時の」
「ああ。正確には『魔力酔い』に近い症状だろう。本来ならば、他人から貰った魔力を身体に蓄える事で一時的に酔いに似た症状を引き起こす事がある。アルコールに弱い人ほどその傾向が強いとされている」
なるほど。今のシンシアはべろんべろんに酔った状態で、理性の欠片もなく、正気に戻った頃には記憶すら吹き飛んでいるであろうと。
質の悪いダル絡みを無抵抗で受け続けなくてはいけないのか。
なんで俺は拷問を受けているんだ?
いや、これはある意味でご褒美と言った方がいいのか??
12→22
スキル『慧眼』を獲得しました。
スキル『根性』を獲得しました。
酔った勢いで好感度を稼いでしまうのは何ともいたたまれない気もするが。シンシアを救った正当な報酬としてここは納得しておこう。
「お、おわ……っ」
「ありがとう……」
シンシアは俺を胸の中へと抱き込んだ。
一定のリズムで響く心臓音が心地いい。
まるで赤ちゃんに帰ったような気分だ。
「んふふぅ~」
なんだろう、嫌な予感しかしないのだが。
「レイってば全力出し過ぎだよぉ」
服が乱れて、シンシアの素肌の熱が直接伝わる。
柔らかな胸の感触が呼吸に合わせて伝わってきた。
「レイの熱が、私の奥まで入ってきちゃったぁ」
何故かシンシアは下腹部を撫でる。
「……」
シンシア。実は素面じゃないだろうな。
俺を揶揄っているなら質が悪すぎるぞ。
「それは『紅魔』で使役した俺の血だろ?」
勿論、俺の解答は全スルー。
理性を失ったシンシアは更に続けた!!
「ん~? おっぱい好きなの?」
大好きですといって飛び込めばいいのか!?
揺れる胸に理性がどんどんと削られる。
自然と顔が赤くなってくる。
酷使した脳を今は少しでも休ませたいのに。
ラスボスがまさかこんな所に潜んでいたとは。
「あ~なるほど。いっぱい出して疲れちゃったか」
また語弊を生むような事を平然と。
あくまで言っておこう。出したのは「血」だ!
俺は周りを見る。
何故か空気が固まっていた。
はて、俺は何かしただろうか?
「ルナ……さん?」
ルナの後ろに般若如来像を幻視した。怒りのボルテージが際限なく上がっている事が分かる。ようやく脳が整理を終えたのか、呪文のようにぶつぶつと。
「『レイってば、全力出し過ぎ』」
先程の会話をボイスレコーダーで再生するかの如く、一言一句違わず、だがその意味はあえて言及せずに唱えていく。
「『私の奥まで』『いっぱい出した』?」
「おい待て。悪質なメディアの切り抜き方だ!」
俺はがくんっ、とベッドから滑り落ちる。
中途半端に音だけを拾っていたらしい。
「シンシアさんを救う手筈が、いつのまにベッドでイチャイチャする事になっていたのですか?」
記憶まで飛ばしてやがった!
フリーズしてデータまで飛んだパソコンのようだった。
だが、確かに一部始終を見てみない者からは?
服が乱れ、全身に汗を浮かべた男女二人がベットの上にいて。意味深な発言を連続して発したばかりか、挙句俺の片手は今。
ふよん。
「えっち♡」
滑り落ちた拍子にシンシアの胸を揉んでいた。
あ、終わった。
「死ねばいいのに」
「おい、シンシア。早く正気に戻れぇぇえ!!」
俺は起き上がってシンシアの肩を揺すった。
今世紀最大級の死の危機に俺の全身は警鐘を鳴らした。
「はっ……私は何を」
そして、シンシアは意識を覚醒させた。
目覚めてまず、己の服の状態を確認し。
続いて横にいる俺へと目を移す。
更には前後の記憶を洗い出し、
そしてッ!!!
「は、はぁああああああ~~~!?」
バッと布団を被って蹲った。
「嘘嘘、絶対夢。これは夢、そうよ落ち着きなさい、シンシア・オルデン! えっと……えっと……ああ、本当に無理。ダメ、もうお嫁に行けなぁい!?」
そして再び壊れた。
嗚呼、これが地獄絵図というやつだろう。
収拾がつかない、このクソみたいな狂気の渦中で。
「なーんで俺ってハーレム形成出来ないのかねぇ」
もうどうでもよくなった俺はそんな事を口走っていた。
それは一重にご都合主義が機能しない最悪の連続と。異世界漫画みたく一向にデレる気配のない気難しいヒロイン達が紡ぐ、ギャルゲー的異世界に転移してしまったからに他ならないだろう。
異世界迷宮編 了
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