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獣人国ゼルガルド王国編
#32魔国
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「ようやく全員あつまったか」
暗く大きな部屋にある、大きな机を囲むように十人の男女が椅子に腰かけていた。
机の上にはろうそくの燭台が置かれ、暗い部屋を照らしている。
机にはさまざまな料理が並べられ、飲み物には葡萄酒がそれぞれのもとへ用意される。
「おいジェイドてめえ、新参の下っ端魔王の癖に、一番遅く登場とはなめてんのかオイ?」
「…………」
「なんとか言えやコラ」
「まぁ待て、ジェイドは人間達との国境に面している端の領地だ、時間が掛かるのも仕方あるまい」
「ハッ! 騒がしくしてしまい、申し訳ありません」
「謝ることではないゼーハよ。今回招集した理由を話す前に、領地の現状の報告を、第十魔王から順に頼む」
「……第十魔王ジェイド領、特に異常なし」
「第九魔王ミルア領、特に異常はありません。しいて言えばエルフ領を襲う許可を頂きたいです」
「ダークエルフのお前の気持ちもわかるが、向こうがこちらに手を出さない限りは許可できん」
「……承知しました」
「ただし、ダークエルフが虐げられているような情報が入り、裏が取れればすぐに助けに行くぞ。情報だけは集めておけ」
「ハッ!」
「次だ」
「第八魔王リヴァル領、特に異常はありません」
「第七魔王シエナ領、好みの男がなかなか見つからないのだけが問題かなー」
「特になしだ」
「おいアス、報告はちゃんとしろや、なめてんのか?」
「良いゼーハ、アスはこの会議に出るくれるだけでも十分だ。我が許可している」
「大魔王様がお許しであるならば、私からはなにもありません。差し出口を申し訳ありません」
「まぁまぁ、そんな謝ることでもないじゃろ、さて次はわしじゃな、第五魔王シュハ領は、特に異常はないのぞい」
「第四魔王ゼーハ領、特に異常はありません」
「第三魔王リューラ領、いたって平穏、しいて言うなら人間を集めて殺しまくってる奴、私への当て付けなら直接来い」
「我らも意味もなく人族の領地に侵攻したり殺したりはせぬ、重罪人の奴隷なら別かもしれんがな。前の戦いでも信頼を置く第二魔王ガルバの副官である、セグマ魔法騎士長と多くの兵を失ったばかりだ。今は誰にも侵攻の許可など与えていない。そうだろう皆よ」
『その通りです』
各々から同意の声があがる。リューラだけは汚いものでも見るような眼で一人の男を睨みつけ、そしてまた無表情に戻った。
「確かに皆の返事は受け取った。次はガルバ、報告を頼む」
「以前の失態申し訳ありません。今は領地の兵士を鍛えなおしております。他には特に動いておりません」
「いや、あの戦いでは良くやってくれた。正直王国戦士長と言う者の力を見誤った我のミスだ。すまない」
「そんなことはありません。我らの力不足です。一層精進致します」
「うむ。まぁ連絡はこのあたりにして、今回呼んだのは他でもない。先ほどのリューラの話の件だったのだが、しかし誰も勝手はしていないと聞けたし、下らぬことで呼んで申し訳なかった。なあリヴァル間違いないよな?」
「は、はい、間違いありません」
「そうか、良くわかった」
暗い部屋を照らす蝋燭の火が、鋭く通り抜けた風の風圧で消えた。
指を鳴らす音とともに蝋燭に再び火が灯ると、机の上には一人の男の首が転がっていた。
慌てる様子もなく、全員がその男の死の理由を悟り、多くの者が軽蔑のまなざしを向ける。
「別に領内での勝手は私は止めん、最低限のモラルと節度を持っていればな。だが他国への勝手な真似は慎んでもらう。ましてや私に嘘などもっての外だ」
「大魔王様の命に反するような輩が、同じ魔王を名乗っていたと思うと虫唾が走るのぉ」
「リューラよ、気は済まないと思うが、今はこれで勘弁してくれ、リヴァルはどうやらエルレイン王国に攻め込んだようだ。人族との戦争になるかもしれぬ」
「私は魔国にいる人族を守るために魔王になっております。人族との戦争にならない為なら私も尽力しましょう」
「すまない。だが戦わなければいけない理由ができれば、以前のように人族の国とも戦う。それだけは理解しておいてくれ」
「…………」
「俺は、以前お前から聞いた思想以外を理由に戦いを起こさなければ何でも良い。だがセルドニア全体を襲うようなら俺は真っ先に魔国の敵になる。そこだけは忘れないようにな」
アスはそう言うと、そのまま部屋を出ていく。
ゼーハが止めようと立ち上がったが、キルリアが手で制し、座らせた。
アスの足音が聞こえなくなり、ようやくキルリアが口を開く。
「我は向こうからの攻撃や、魔族を虐げている情報がない限り、他国には手を出さない、そしてセルドニアに関しては、以前のような国全体への報復などもしない、あくまでも犯人のみへの報復に絞る。皆も心に留めておいてくれ」
「犯人すべてを探し当てるのが困難ゆえ、国への忠告を込めて全体への報復が有効という、昔からの魔国の戦の心得だったはずじゃが、セルドニアだけには適用しないとな、理由は聞いてもいいのかの?」
「理由は簡単だ。アスが俺より強いからだ」
『!?!?』
「我ら魔族が他種族の国を襲う理由は、裏で魔族を虐げたりしている証拠がある場所に救出兼報復をする、ただそれだけだ。人族によって我らが快楽として侵略していると言われてしまっているがな……。以前微かな情報を頼りに、セルドニアに我と副官と精鋭だけで入り込んだことがある、まぁ最終的には根も葉もない噂だったが」
「初耳ですね」
「ああ、話していいものか悩んでいたからな、話の続きだが、セルドニアに入ってすぐのところである男が立ちふさがった、それがアスだ、本名は違うがな。奴はセルドニアに手を出すなと我に言った。そのとき同族がいたぶられているという情報で冷静さを失っていた我は、その場で奴に襲い掛かった」
『…………』
「そのときアス一人に対して我と副官二名、精鋭数名、負けるはずのない戦いで我は副官一人と精鋭すべてを気絶させられ、そして我も負けた」
「あいつにそんな力が……」
「それほど強いのだ。なぜセルドニアに来たか聞かれた我は、ようやく冷静さを取り戻し、魔族を虐げている情報を聞いたと話した。そのを聞いて、奴もその犯人を探すのを手伝ってくれた。結局そんな事実はなかったが……。その後、魔王として籍だけでも置かないかと誘い、嘘として広まっている魔族の戦う理由ではなく、本当の魔族の戦う理由を気に入ってくれた奴は、籍だけでいいのならと魔王の一人となった」
「そんなことが……」
「今回のリヴァルように我の知らぬところで他国を攻める者など、ここに残っている者の中にはいないと思うが、くれぐれも部下にも言い含めておいてくれ。特にセルドニアを攻撃してしまえば、最悪奴に我が勝てない以上、どうなるかは分からん」
『承知しました』
「とりあえず、エルレイン王国からの報復には気をつけねばならん」
「私がエルレインに行き、謝罪して参りましょう。人族である私であれば、多少は話を聞いてくれるかもしれません。それにいざとなれば逃げ切れる自信はあります」
「任せていいのか?」
「ええ。それよりも相手の被害はどうなっていますか? それによって賠償の準備が変わると思いますが」
「……密偵と使い魔の情報によれば、エルレイン側には死人はほとんど出ていないようだ、むしろ情報が正しければ、こちらの被害が甚大だ。リヴァルは我らに気づかれぬようおそらく山脈を超えて攻め入ったのだろう。密偵からの情報では、およそ二万もの軍勢で攻め入ったが、リヴァルの副官ライゼルを含む約半数が壊滅したと報告が入っている」
『!!!!』
「……副官含め一万を、ほとんど被害なしでのぉ……」
「密偵からの報告は、すべて終わった後に届いたためなにもできなかったが、一万という軍勢と副官を撃ったのは、たった一人の子供のようだ」
「……とても信じられない話しですね……、もちろんキルリア様の集めた情報を信じない訳ではありませんが、簡単には飲み込みずらい話です」
「でも子供かぁ~、かわいい子ならぜひ私が欲しいなぁ」
「相変わらずだなシエナの趣味は、だが今は手を出したりするなよ、時間がたった後でも無理やりはだめだ」
「分かってますよぉ、合意の上じゃないと燃えないじゃないですかぁ~」
「ともかく被害は大きいが、非はこちらにある。賠償の品は破格に用意しよう。リューラ、申し訳ないが頼んだ。その子供には注意が必要ゆえ、お前の護衛に我の副官を付ける、生きて戻ってこい」
「言われなくても、まだ死にませんよ」
「今回の話は以上だ。皆くれぐれも頼む」
『ハッ!』
皆が帰路に付いた頃、薄暗い部屋にはキルリアとリューラの姿があった。
「悪いな、残ってもらって」
「良いわ、用は大体解ってるし、その一万の兵を壊滅させたっていう子供のことよね」
「お見通しか……、その通りだ。強大な力を持っているゆえ注意したいが、今のままでは情報が少なすぎる」
「エルレイン王国に行くついでに情報を集めてくればいいのね」
「ああ、だがくれぐれも無理はするな。どんな人物かだけでも分かれば儲けものくらいの気持ちで行ってくれ」
「危険な思想の持ち主だったらどうするの?」
「……具体的にはどんなだ」
「……自分達を襲った魔族を滅ぼそう……とかよ……」
「……その時は……殺るしかあるまい……」
「そんな思想を持っていないことを祈るわ。じゃあ行くわね」
「ああ、宜しく頼む」
一人だけになった部屋で、キルリアは長い間動くことすらせず、何かを考えているようだった。
そして朝日が登る頃、小さな声が部屋に響くのだった。
一つ空いた席をどうするかと……。
暗く大きな部屋にある、大きな机を囲むように十人の男女が椅子に腰かけていた。
机の上にはろうそくの燭台が置かれ、暗い部屋を照らしている。
机にはさまざまな料理が並べられ、飲み物には葡萄酒がそれぞれのもとへ用意される。
「おいジェイドてめえ、新参の下っ端魔王の癖に、一番遅く登場とはなめてんのかオイ?」
「…………」
「なんとか言えやコラ」
「まぁ待て、ジェイドは人間達との国境に面している端の領地だ、時間が掛かるのも仕方あるまい」
「ハッ! 騒がしくしてしまい、申し訳ありません」
「謝ることではないゼーハよ。今回招集した理由を話す前に、領地の現状の報告を、第十魔王から順に頼む」
「……第十魔王ジェイド領、特に異常なし」
「第九魔王ミルア領、特に異常はありません。しいて言えばエルフ領を襲う許可を頂きたいです」
「ダークエルフのお前の気持ちもわかるが、向こうがこちらに手を出さない限りは許可できん」
「……承知しました」
「ただし、ダークエルフが虐げられているような情報が入り、裏が取れればすぐに助けに行くぞ。情報だけは集めておけ」
「ハッ!」
「次だ」
「第八魔王リヴァル領、特に異常はありません」
「第七魔王シエナ領、好みの男がなかなか見つからないのだけが問題かなー」
「特になしだ」
「おいアス、報告はちゃんとしろや、なめてんのか?」
「良いゼーハ、アスはこの会議に出るくれるだけでも十分だ。我が許可している」
「大魔王様がお許しであるならば、私からはなにもありません。差し出口を申し訳ありません」
「まぁまぁ、そんな謝ることでもないじゃろ、さて次はわしじゃな、第五魔王シュハ領は、特に異常はないのぞい」
「第四魔王ゼーハ領、特に異常はありません」
「第三魔王リューラ領、いたって平穏、しいて言うなら人間を集めて殺しまくってる奴、私への当て付けなら直接来い」
「我らも意味もなく人族の領地に侵攻したり殺したりはせぬ、重罪人の奴隷なら別かもしれんがな。前の戦いでも信頼を置く第二魔王ガルバの副官である、セグマ魔法騎士長と多くの兵を失ったばかりだ。今は誰にも侵攻の許可など与えていない。そうだろう皆よ」
『その通りです』
各々から同意の声があがる。リューラだけは汚いものでも見るような眼で一人の男を睨みつけ、そしてまた無表情に戻った。
「確かに皆の返事は受け取った。次はガルバ、報告を頼む」
「以前の失態申し訳ありません。今は領地の兵士を鍛えなおしております。他には特に動いておりません」
「いや、あの戦いでは良くやってくれた。正直王国戦士長と言う者の力を見誤った我のミスだ。すまない」
「そんなことはありません。我らの力不足です。一層精進致します」
「うむ。まぁ連絡はこのあたりにして、今回呼んだのは他でもない。先ほどのリューラの話の件だったのだが、しかし誰も勝手はしていないと聞けたし、下らぬことで呼んで申し訳なかった。なあリヴァル間違いないよな?」
「は、はい、間違いありません」
「そうか、良くわかった」
暗い部屋を照らす蝋燭の火が、鋭く通り抜けた風の風圧で消えた。
指を鳴らす音とともに蝋燭に再び火が灯ると、机の上には一人の男の首が転がっていた。
慌てる様子もなく、全員がその男の死の理由を悟り、多くの者が軽蔑のまなざしを向ける。
「別に領内での勝手は私は止めん、最低限のモラルと節度を持っていればな。だが他国への勝手な真似は慎んでもらう。ましてや私に嘘などもっての外だ」
「大魔王様の命に反するような輩が、同じ魔王を名乗っていたと思うと虫唾が走るのぉ」
「リューラよ、気は済まないと思うが、今はこれで勘弁してくれ、リヴァルはどうやらエルレイン王国に攻め込んだようだ。人族との戦争になるかもしれぬ」
「私は魔国にいる人族を守るために魔王になっております。人族との戦争にならない為なら私も尽力しましょう」
「すまない。だが戦わなければいけない理由ができれば、以前のように人族の国とも戦う。それだけは理解しておいてくれ」
「…………」
「俺は、以前お前から聞いた思想以外を理由に戦いを起こさなければ何でも良い。だがセルドニア全体を襲うようなら俺は真っ先に魔国の敵になる。そこだけは忘れないようにな」
アスはそう言うと、そのまま部屋を出ていく。
ゼーハが止めようと立ち上がったが、キルリアが手で制し、座らせた。
アスの足音が聞こえなくなり、ようやくキルリアが口を開く。
「我は向こうからの攻撃や、魔族を虐げている情報がない限り、他国には手を出さない、そしてセルドニアに関しては、以前のような国全体への報復などもしない、あくまでも犯人のみへの報復に絞る。皆も心に留めておいてくれ」
「犯人すべてを探し当てるのが困難ゆえ、国への忠告を込めて全体への報復が有効という、昔からの魔国の戦の心得だったはずじゃが、セルドニアだけには適用しないとな、理由は聞いてもいいのかの?」
「理由は簡単だ。アスが俺より強いからだ」
『!?!?』
「我ら魔族が他種族の国を襲う理由は、裏で魔族を虐げたりしている証拠がある場所に救出兼報復をする、ただそれだけだ。人族によって我らが快楽として侵略していると言われてしまっているがな……。以前微かな情報を頼りに、セルドニアに我と副官と精鋭だけで入り込んだことがある、まぁ最終的には根も葉もない噂だったが」
「初耳ですね」
「ああ、話していいものか悩んでいたからな、話の続きだが、セルドニアに入ってすぐのところである男が立ちふさがった、それがアスだ、本名は違うがな。奴はセルドニアに手を出すなと我に言った。そのとき同族がいたぶられているという情報で冷静さを失っていた我は、その場で奴に襲い掛かった」
『…………』
「そのときアス一人に対して我と副官二名、精鋭数名、負けるはずのない戦いで我は副官一人と精鋭すべてを気絶させられ、そして我も負けた」
「あいつにそんな力が……」
「それほど強いのだ。なぜセルドニアに来たか聞かれた我は、ようやく冷静さを取り戻し、魔族を虐げている情報を聞いたと話した。そのを聞いて、奴もその犯人を探すのを手伝ってくれた。結局そんな事実はなかったが……。その後、魔王として籍だけでも置かないかと誘い、嘘として広まっている魔族の戦う理由ではなく、本当の魔族の戦う理由を気に入ってくれた奴は、籍だけでいいのならと魔王の一人となった」
「そんなことが……」
「今回のリヴァルように我の知らぬところで他国を攻める者など、ここに残っている者の中にはいないと思うが、くれぐれも部下にも言い含めておいてくれ。特にセルドニアを攻撃してしまえば、最悪奴に我が勝てない以上、どうなるかは分からん」
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「私がエルレインに行き、謝罪して参りましょう。人族である私であれば、多少は話を聞いてくれるかもしれません。それにいざとなれば逃げ切れる自信はあります」
「任せていいのか?」
「ええ。それよりも相手の被害はどうなっていますか? それによって賠償の準備が変わると思いますが」
「……密偵と使い魔の情報によれば、エルレイン側には死人はほとんど出ていないようだ、むしろ情報が正しければ、こちらの被害が甚大だ。リヴァルは我らに気づかれぬようおそらく山脈を超えて攻め入ったのだろう。密偵からの情報では、およそ二万もの軍勢で攻め入ったが、リヴァルの副官ライゼルを含む約半数が壊滅したと報告が入っている」
『!!!!』
「……副官含め一万を、ほとんど被害なしでのぉ……」
「密偵からの報告は、すべて終わった後に届いたためなにもできなかったが、一万という軍勢と副官を撃ったのは、たった一人の子供のようだ」
「……とても信じられない話しですね……、もちろんキルリア様の集めた情報を信じない訳ではありませんが、簡単には飲み込みずらい話です」
「でも子供かぁ~、かわいい子ならぜひ私が欲しいなぁ」
「相変わらずだなシエナの趣味は、だが今は手を出したりするなよ、時間がたった後でも無理やりはだめだ」
「分かってますよぉ、合意の上じゃないと燃えないじゃないですかぁ~」
「ともかく被害は大きいが、非はこちらにある。賠償の品は破格に用意しよう。リューラ、申し訳ないが頼んだ。その子供には注意が必要ゆえ、お前の護衛に我の副官を付ける、生きて戻ってこい」
「言われなくても、まだ死にませんよ」
「今回の話は以上だ。皆くれぐれも頼む」
『ハッ!』
皆が帰路に付いた頃、薄暗い部屋にはキルリアとリューラの姿があった。
「悪いな、残ってもらって」
「良いわ、用は大体解ってるし、その一万の兵を壊滅させたっていう子供のことよね」
「お見通しか……、その通りだ。強大な力を持っているゆえ注意したいが、今のままでは情報が少なすぎる」
「エルレイン王国に行くついでに情報を集めてくればいいのね」
「ああ、だがくれぐれも無理はするな。どんな人物かだけでも分かれば儲けものくらいの気持ちで行ってくれ」
「危険な思想の持ち主だったらどうするの?」
「……具体的にはどんなだ」
「……自分達を襲った魔族を滅ぼそう……とかよ……」
「……その時は……殺るしかあるまい……」
「そんな思想を持っていないことを祈るわ。じゃあ行くわね」
「ああ、宜しく頼む」
一人だけになった部屋で、キルリアは長い間動くことすらせず、何かを考えているようだった。
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