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本編
第5話 魔道省魔道具課臨時職員研究室(↘)
しおりを挟む「二の姫様、綺麗でしたねぇ・・・」
「伯爵様との事も正式に公表され、喜ばしい限りですねぇ・・・」
「二の姫様は可愛い系だと思っていたんですけど、やっぱり王族ですね。
纏う空気が違いまっす!纏う空気が!」
祝賀会の翌日から、この年下同僚は入り浸りだ。
なんか妖怪・・・イヤ、用かい?
「お前さん、暇なのか?」
思わず聞くオレ。
「チョー忙しいです。」
そんな素振りにゃ見えんがなぁ・・・
「そうか、そうか、それは大変だなぁ・・・」
適当に返事するオレ(笑)
「信じてませんね!大事な任務を遂行中なんです。」
そう言って、大量発注の魔道具制作を手伝ってくれている・・・
いや、手伝ってくれるのはありがたいが、自分の仕事は大丈夫なのか?
これだけの数の魔道具を、ひたすら作るには良い訓練になるかもしれないが・・・
取り敢えず100個作ったので、休憩にしよう。
確か、この間作ったバタークッキーが残っているはず。
お茶は、まぁ、手伝ってくれたから良い茶葉を使ってやろう。
「あのー、ご両親の事を聞いても良いですか?」
何だ?唐突だな!
「両親?母親は居ないし父親とは生き別れだな。」
オレは、母親の顔は知らん。
「は?生き別れ?生き別れってなんですか?!」
わ、ビックリした。
何だよ急に大きな声で!
今時、珍しくも無いだろうに。
「生きているだろうけど、何処に居るか分らんという事だ!
えーと、オレが・・・幾つだ?
12歳位の頃かな?
ある貴族のデッカイ音響魔道具の修理依頼を受けてな、直したんだ。
そしたらそれは、その貴族お抱えの魔道具技師が直せなかった代物でなぁ・・・
逆恨みされたんで逃げたんだが、その途中で逸れた。」
ふむ、そういえば父さんは今頃どうしているのだろうか?
「探さないんですか?」
恐る恐る聞いてくるが
「この国に居るとも限らないのに、どうやって探すんだ?!」
オレは反対に質問する。
「手掛かりは全く無いんでしょうか?
親戚とか、親しくしていた友人とか・・・」
そんな事、言われてもなぁ・・・
「友人は知らん!
親戚は無理だろうな。
ウチの両親、駆け落ち婚だったらしいか「駆け落ちっ?!」
・・・うん、駆け落ち。
病弱だからって蔑ろにされていたお袋を、計画的に掻っ攫ったらしいぞ。
下級貴族の娘だったとは聞いているケド、何処の家かは知らん。」
事ある毎に「お前の母さんは・・・」と惚気を聞かされていたからな。
母親の居ない寂しさは、感じかなかったな。
「逆恨みされた貴族の家は?」
おいおい・・・
「無茶言うなよな!「お宅の魔道具技師に、逆恨みされて、追いかけられていた魔道具職人の居場所を知りませんか?」って聞くのか?
オレは嫌だぞ?!
その貴族に喧嘩売ってるのかって思われるのが落ちだ。」
やれやれ・・・
・・・やっぱりこの茶葉は、低温で入れる方が美味いな。
今度、水出しに挑戦してみるか。
美味かったら朝食の時、彼女に出してみよう。
・・・あれ?
「どうかしましたか?」
固まったオレに尋ねる声
「オレ、親父と同じ事やらかしてる・・・」
わー、オレも魔道具直して、逆恨みされて、逃げ出した口じゃん!
親子そろって、何やってんだよっ!
「・・・そんなトコ似て、どうすんだよ・・・」
orz
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2018年9月16日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作
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