恋人の父親に「嫁にはやれん!」と云われたオレは・・・

もっちり道明寺♪

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本編

第7話 王城(↘?)

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オレは、しがない魔道具職人。
対して彼女は、大国の第二王女殿下。
身分違いも、はなはだしい・・・
それでもオレは、彼女の傍に居続けた・・・

彼女が可愛くて、可愛くて、可愛くて・・・
引き際を見極められないまま、今日まで来てしまった。

祝賀会から5か月が経過し、とうとう王太子に、彼女の父親に呼び出された。
王太子執務室に呼ばれた。
呼び出されるのは初めてではない。
だが、正規の手続きを得て呼び出されたのは、初めてだった・・・



「城に来て、3年・・・か・・・?!」
王太子が、静かに話し始めた。

「そうですね・・・3年・・・経ちました・・・」
オレも静かに答える。

「上の娘が城を出て・・・連絡を寄こさなくなって・・・5年が経った・・・」
城に来た頃には、もう既に音信不通だった第一王女だ。

「このまま帰って来ない様なら、跡継ぎに据えねばならん・・・」
王太子には王女が2人、いるだけだからな・・・

「つまりは、嫁にはやれんという事だ・・・」
そりゃ、そうだろう・・・

「まだ、魔道省に通っているのか?」
いきなり話が変わった?
「・・・?はい、書類仕事をしたあと、午後に臨時職員として出仕しています。」
国の魔道具技師達が在籍する魔道省魔道具課に、臨時職員として在籍させてもらっている。
通常だと考えられない程の、特別待遇だ・・・
エリート中のエリート達が在籍している。
色々な経験談エピソードを聞いたり、参考意見アドバイスを貰ったり、時には熱く議論・討論するのがとても楽しい。
一部から反感を買っていたが、最近はそれほど悪くはない。
おそらく、何か手を打ってくれたのだろう。
有難い事だ。

「寝泊まりは、官舎だと聞いたが・・・誠か・・・?!」
恐る恐る聞いてくる王太子。
「はい、官舎の方が色々と都合が良いので・・・」
彼女は城に部屋を用意してくれようとしたのだが、断った。
本音は、いつでも出て行ける様に・・・

「引継ぎと引越しには、どの位時間が必要だ?」
・・・最後通牒か・・・
「一日あれば、充分です。」
城から出て行けと言う事か・・・
いや、国からかな・・・?

「周りが早く結婚をと、焦り始めてな・・・」
それはそうだろう・・・跡継ぎを早く作れって事か・・・
「明後日の朝、部屋を出ます・・・」
荷物は少ない。
引継ぎだけだ。

「・・・すまない・・・苦労を掛けるな・・・」
王太子が、静かに、ひとこと・・・
「・・・いえ・・・」
オレも、静かに、ひとこと、答えた・・・




準備は出来ている。
いつでも出ていけるように。
半年近くを掛けた。
もう充分だ。

あれから、カフェテリアには行っていない。
料理長とは、一緒に北の大森林に行ってきた。
彼女には黙っている様に言って、勿論彼女は黙っていたのに。
何故か教育係に見つけ出された。
解せぬ!

魔道具課には、昨日退職届を提出した。
研究中の魔道具は全て、例の年下同僚に引き継いだ。
きっと彼なら、新しい魔道具を完成させてくれるだろう。

官舎には、私物は残っていない。
半年かけて、色々と処分した。

元々持っていた物と、新たに開発した魔道具を幾つか。
最低限の日用品と着替え。
金銭は、魔道具協会に預けてある。
何円いくらあるかは、確認したことが無いけど・・・
暫く生活するには、問題ないだろう。

3年。
長いように思うけど、短かったと感じるなぁ・・・
彼女と過ごしたのは5年か・・・
オレ、一生引きずるんだろうなぁ・・・
将来子供が出来たら、「父さんは昔、お姫様と恋人だったんだぞ。」って自慢するのかなぁ・・・
それとも、独身のまま彼女との思い出を抱えて寂しく生きていくのだろうか・・・
彼女は、泣くだろうなぁ・・・
でも、すぐに自分の立場を思い出して立ち直ってくれるって信じてる!
・・・今朝の書類仕事、断るんじゃなかったかなぁ・・・
でも、たぶんオレ彼女に嘘が吐けないから・・・
断って正解なんだよな。
最後にひとめ、会いたかったけど・・・
これでいいんだよな・・・
未練がましいなぁ・・・

さようなら・・・


オレは感傷に浸りながら、王城の裏門に向かった。
ひっそりと出ていくには相応しい小さな門。

門番は2人。

チョット街に出かける感じで。

いつもの様に、堂々と。

願わくば、2人の門番にお咎めがありません様に・・・

























「居たぁっ!見付けたぁっっ!!何でこんな所に居るんですかっ!!!
 今日、引っ越しって知ってますよねっ!
 何で出掛けようとしているんですかっ!
 予定が詰まっているんですよっ!
 時間が無いんですよっ!
 忙しいんですよっ!
 手間、取らせないでくださいよぉっっっ!」

物凄い勢いで突撃してきた教育係が、オレの腕をグイグイと引っ張りながら王城に向かう。
いや、引っ越しって?
出かけるんじゃないんだけど?
予定も何も、出て行けって言われたんだけど?
え?
連絡、行ってないの?
戻って、また出てくるの?
おい、おい、おい、
ちょっと待てーーーーーーーーい!








==========
2018年9月16日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作

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