キモヲタ男爵奮戦記 ~ 天使にもらったチートなスキルで成り上がる……はずだったでござるよトホホ ~

帝国妖異対策局

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第63話 ユリアスの涙と怒れるキモヲタ! の巻でござる 

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 下着姿の亀甲縛りで吊るされたキモヲタたち。

 吊るされた仲間の一人ひとりに、エロい視線を向けていたキモヲタでしたが、ユリアスの股間の縞パンティを見て、ついに気がついてしまったのです。

 ついにキモヲタは、ユリアスが男であることに気づいたのでした。

「ユリアス殿は……ユリアスくんでござったか……」

 キモヲタの言葉に嗚咽することしかできないユリアス。そんな隊長の姿を見てセリアが叫びました。
 
「キモヲタ聞いて! 姫隊長は受け専よ! だから安心して!」
「黙れぇえぇい!! そういうことではござらぁぁん!!」

 鼻血まみれのキモヲタの気迫に圧倒され、その場にいる者全員が口を閉ざしてしまいました。

「うっ……うっ……ごめんなさい。キモヲタ様……こんな私でごめんなさい……」

 ユリアスの嗚咽だけが、周囲に響き渡りました。

 キモヲタは眉根を寄せて何かを深く考えていました。そんなキモヲタにキーラ達の視線が集まります。

「キ、キモヲタ……」※キーラ
「キモヲタ殿……」※エルミアナ
「キモヲタ……」※セリア
「うっ……グスっ……」※ユリアス

 それから少ししてキモヲタは、

 スゥーッ!

 キモヲタは思い切り肺に空気を送り込み、下にいる小人たちに向って大声で叫びました。

「このくされ小人ども! 我輩のハーレムメンバーたちをすぐに降ろすでござる!」

「「「「!?」」」」

「いいかよく聞くでござる! 我輩の可愛いたちを降ろせ! 我輩の犬耳少女を! 我輩のエロエロフを! 我輩の黒髪ツンデレ委員長を! 我輩の……」

 そこでキモヲタは一度言葉を止めました。

「我輩のくっころ姫騎士を! 全部、我輩のでござる! 傷つけたら絶対に許さんでござるからなぁああ!」

「キモヲタ!?」※キーラ
「誰がエロフですか。あとで絶対殺します」※エルミアナ
「マジ殺す」※セリア

 そしてユリアスは、涙で濡れた瞳でキモヲタを見つめていました。

「キ、キモヲタ様……」

 キモヲタはユリアスにニチャリとした笑顔を向けて言いました。

「フッ……。ヒロインを助けるのは、主人公である我輩の特権でござる。それでは……」

 キモヲタは身体を揺さぶって回転させると、目につく小人たちに向けて気合を放っていきました。

「ハッ! チョッ! ホッ! アタッ! エイッ! ヤッ! トッ!」

 キモヲタのスキル【お尻かゆくな~る】。
 
 その発動条件は「視界にある対象に、意識を強く向けて気合を放つこと」で、特に指をさす必要はなかったのでした。

 キモヲタから気合を飛ばされた小人たちが、つぎつぎとお尻に異変を感じ始めます。

「えっ!? お尻が超痒いんですけど!?」
「お尻かゆいぃぃい!」
「うぉおお! 誰か! 誰か俺のケツを掻いてくれ!」
「穴の周りが特に痒いぃいぃ!」
「自分で掻いても痒みが止まらない! 誰か!私のお尻を掻いてぇぇえ!」

 このスキルによるお尻の痒みは、自分の手で掻いても、まったく痒みが解消されません。なので小人たちは、様々な方法でお尻を擦りつけはじめました。

 白髭小人村長は、その場にしゃがんでお尻を地面に擦り付けて悶え、ミミとノノアはお互いに背を向けて、お尻を擦りつけ合っています。

「フハハハ! これ以上、お尻の痒みに苦しみたくなければ、我輩たちを降ろすでござる!」

 勝ち誇った声を張り上げるキモヲタに、キーラが叫びました。

「もうキモヲタ! みんなのお尻を痒くしちゃったから、ボクたちを降ろす人がいなくなったじゃない!」

「あっ……」

 みんなの冷たい視線から目をそらしつつ、キモヲタはニチャリと笑って言いました。

「我輩、またやっちゃったでござるか?」

「「「キモヲター!!」」」

「ちょ、ちょっと待つでござる! まだでござる! まだ怒るような時間ではござらんよ!」

「じゃあ、どうするっていうの! ボク、もう腕が痛いんだけど!」

「むむっ! むっ……むむぅ……」

 破れかぶれになったキモヲタは、自分たちが吊るされている木に向けて気合を放ちました。

「そいぃっ!」

 グッ! グッ! グルーン!

 その瞬間、キモヲタたちを吊るし上げていた蔓が急に下に伸び、地面すれすれのところで束縛が解放されて地面に転げ落ちました。

「痛いでござる!」
「痛い!」※キーラ
「痛っ!」※エルミアナ
「クッ!」※セリア  
「くっ!」※ユリアス

 地面スレスレとは言え、身体を打ち付けて苦しむキモヲタたち。その直後、頭上から女性の声が聞こえてきました。

「か、か、痒い! お尻が痒い! 痒いのじゃぁぁああああ!」

 キモヲタたちを縛っていた蔓が、シュルシュルと音を立てて木に集まっていくと、その木が女性の形へ変っていきました。

「なっ!? 木が人の形になっていくでござる!」

 驚くキモヲタたちを尻目に、女性の形になった木は、近くの大木に駆け寄ると、そのお尻を必死で擦りつけ始めるのでした。

「はぁぁああああん❤ 心地よいのじゃぁぁああ❤」

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