ミサイル護衛艦が異世界転移!? しかも艦長が幼女になっちゃいましたけど?

帝国妖異対策局

文字の大きさ
86 / 214
第四章 アシハブア王国 

第84話 結婚相談

しおりを挟む
 護衛艦フワデラに戻った私たちは、行方不明となった海賊フェルミとカトルーシャ王女の乗った船の捜索を開始。

 王女たちは王都の港からリーコス村に向って進んでいたことは確かなので、艦を逆ルートで進めながら捜索することにした。

 私は手が空いている乗組員を後甲板に集めて、フワデラがこれから王女捜索に取り掛かることを説明。その後、グレイベア村やってきた協力者たちを紹介する。

「こちらの四人が今回の王女捜索に協力していただく皆さんだ。左からステファン・スプリングさん、トルネラ・ラミア―ノさん」

 ステファンとトルネラが乗組員に向って軽く頭を下げる。乗組員たちが拍手で歓迎の意を表す中、あちこちから私語が聞こえてきた。

「おぉ、あれって義手かな? かっこよくね?」

「あの美人、ラミアじゃないですか! 俺、初めて異世界に来たって実感したわ!」

「スプリングさんって独身かしら? 後で艦長に聞いてみよっと」

「ハミ乳! ハミ乳!」

 うん。風通しの良い艦を目指して、多少の私語には目を瞑ってきた私だが、そろそろ考え直した方が良さそうだな。

「皆、静かに!まだ全員の紹介が終わっていない。こちらがシンイチ・タヌァカさん、ライラ・タヌァカさんだ。直接顔を合わせるのは初めての者も多いだろうから、ここで改めて二人を紹介しておく」

「「「うぉぉぉぉお!」」」

 乗組員たちから盛大な拍手が沸き起こると、タヌァカ氏が顔を真っ赤に染めて何度もへこへこと頭を下げる。ライラもタヌァカ氏を見習って同じように頭を下げていた。

「悪魔勇者討伐作戦中、タヌァカ夫妻には艦内にて我々と行動を共にしてもらうことになる。不慣れな海上生活を強いることになるので、皆も二人をサポートしてやってくれ」

「「「了!」」」

 解散後、グレイベア村の四人を乗組員たちが取り囲んでワイワイガヤガヤと騒ぎ始めた。中にはツーショット撮影を希望する者がいたが、その気持ちはわからなくはない。私もトルネラとのツーショット写真を撮りたいのを、平野の目を気にして我慢しているくらいだから。

 だがサインを求める連中の考えだけはさっぱり理解できない。サインなんか貰ってどうするつもりなんだ?

「艦長……」
  
 私がトルネラのハミ乳をチラ見している横で、平野が氷点下の冷たさで声を掛けてきた。

「一応、警告させていただきますが、今後、おふざけでも女子の入浴に混ざったり、更衣室に突撃するのはお控えください。幼女の外見を悪用した一切のセクハラもそうです」

「なっ!? そ、そそそそんなことしないよ?」

「別に追求する気はありませんが、少しだけ考えてみて頂きたいのです。いつものように艦長が紛れ込んだ女風呂の中に、もしライラさんが入っていたら? そして、そのことをタヌァカ氏が知ったとしたら?」

「ハッ!?」

「くれぐれもタヌァカ氏を敵に回さないようご注意ください」

 そう言って、平野は私を残して後甲板から立ち去って行った。

 ヤバイ……。

 私の額からツツーっと大粒の汗が流れ落ちた。

 ヤバイ……。

 女風呂でライラさんと遭遇してしまう可能性については、平野のおかげで回避することができそうだ。だが、お着換えについてはもう手遅れだ。幼女戦隊ドラゴンジャーの活動時に、何度かライラさんやルカと一緒にお着換えしてしまっている!

 幸いなことに? ライラさん自身はまだ気にしていないというか、気が付いていないようだし……

「こ、これからは気を付けよう」



~ トルネラ ~

 トルネラは上半身が美女で下半身が蛇体のラミア族だ。非常に大きな胸を申し訳程度のビキニで吊っている。

 独身の若い乗組員も多い艦内で過ごしてもらうには、あまりにも刺激が強い格好なので、彼女にはフワデラTシャツを着てもらうことにした。これは帝国で定期的に開催されていた艦内公開見学のときに販売していたものだ。

「タカツ様、服をいただきありがとうございます。とても着心地が良いです」

 フワデラTシャツを着たトルネラが私にお礼を述べに来た。

「おっふ!」

 私は思わず前屈みになってしまった。股間に添えた手の下に問題行動を起こすような器官は付属していないのだが、そうせざる得ないくらいトルネラの姿は青少年の目の猛毒である。

 彼女にプレゼントしたXLサイズのTシャツがその豊満なバストによって引き上げられていた。胸の下辺りで、余ったシャツ部分を結んでヘソ出しルックになっている。

 結びのせいで、トルネラの胸の肌色部分を覆い隠しているTシャツは、却って彼女の巨乳を強調していた。超強調していた。


 
~ 結婚相談 ~

「艦長、艦長!」

 トルネラを残して後甲板から離れた私の手を突然引っ張ったのは田中未希航海長(32歳独身)だった。

「どうした田中? 何かトラブルでもあったのか?」

「そういう訳ではないのですが、ぜひ艦長にお尋ねしたいことがありまして」

「何だ?」

「スプリングスさんって独身ですか?」

「えっ? 何? よく聞こえなかった。スプリングスさんって、さっき紹介したスプリングス氏のことか?」

「そのスプリングスさんですよ! 他にスプリングスさんがいらっしゃるのですか?」

「いないな。確か彼は独身だっと思うが、それがどうした」

「わたしも独身です」

「そうだな」

「わたしも独身で、スプリングスさんも独身です!」

「お、おう。知ってるが?」

 田中未希航海長(32歳独身)の笑顔がとてつもない圧を伴って私の眼前に迫ってきた。彼女は仕事において優秀であり、美人でスタイルも良い非の打ちどころのない女性だ。

 ただ彼女は圧倒的に男運が無かった。運というより縁がなかったと言った方が良いか。

  大学時代に彼氏と別れて以降、勉学と仕事に打ち込んできた彼女だったが、念願であった航海長となってからは色々と考えることもあったのだろう。

 彼女から何度か結婚についての相談を持ち掛けられたことがある。

「艦長、前に結婚相談したとき『私に任せておけ!』とおっしゃってましたよね?」

「言ったな」

「今がその時じゃないでしょうか? いえ、その時です! 違いますか?」

「お、おう……」

 ただでさえ王女捜索で大変なのに、これ以上厄介ごとを増やしてたまるか! 

 私の表情を読み取った田中未希航海長(32歳独身)が鋭い眼光を私に向けて放つ。

「帝国に戻ったとき、平野副長と奥様によって開かれる艦長断罪裁判で、女性の弁護人が欲しくないですか?」

「はっ!?」

「この田中、赤い糸を結んでくださった方の恩に報いるために、女性弁護団を編成してあの二人に対峙することを厭うことはありません!」

「よし! 私に任せろ!」

 こうして、王女捜索と同時に田中のお見合い大作戦が始動した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

処理中です...