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Kapitel 01
暉曄宮 04
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アキラは、耀龍と麗祥によってパーティが開かれる広間へと導かれた。すでに多くの招待客で埋め尽くされていた。赫暁がパーティを開催すると決めてからそれほど時が経っていないというのに、よくもまあこのように豪華な場を設けられ、客人も急な招待に応じられるものだ。
大広間の天井はとても高く、そこにはいくつものシャンデリアが煌びやかに輝く。広間は全体的に赤で統一されていた。天井から垂れ下がるカーテンはシックで深い紅色、広間に敷かれた絨毯、テーブルやチェアを彩るクロス、随所に生けられた花も真っ赤な大輪。鮮やかな装束を纏った老若男女たちが華やかさを添える。精悍な顔付きの男たちが身に着けた鎧がシャンデリアの灯りを照り返し、広間はますます眩さを増した。
耀龍たちが武具や従者の自慢大会と言ったのは真実らしい。着飾った主人らしい人物は、誰も彼も武具を装備した従者を付き随えている。この鎧は此処が素晴らしいだとか、この刀剣はどの鍛冶が鍛えただとか、其処彼処から話題が聞こえてくる。
「ほう。耀龍様と麗祥様が揃ってエスコートなさるとは。あちらは一体どちらの愛嬢で在られるか」
「はて。お二方ともいまだご婚約者を迎えられておられないはずだが」
「噂では耀龍様の可愛い方らしく。近頃お手許に囲っていらっしゃるそうですわ」
「それはそれは。しかし、一体如何ほどのご令嬢方が噎び泣くことか」
この世界きっての大貴族の令息たちは、パーティの参加者たちの衆目を集めた。彼らと並び立つ見知らぬ少女は注目の的だった。素性を知られていないが故に、殊更に興味を掻き立てた。パーティの参加者たちは好き勝手に噂し、中には特段耳の早い者もいた。大貴族令息の恋人の座を密かに狙う令嬢たちは、歯軋りしたかもしれない。
大貴族の令息がふたりも揃って甲斐甲斐しく世話を焼く光景がまた、彼らの好奇心や嫉妬心を煽った。
耀龍はアキラの手を引き、麗祥は飲み物のグラスを差し出した。
「アキラはダンスは好き? 何が得意?」
「姑娘。飲み物は何を?」
「あ。ダメダメ。アキラはアルコールは飲めないよ」
「では何か別の飲み物を持ってこさせよう」
「ふたりとも慣れてるし違和感ない。ホント貴族のお坊ちゃまってカンジ」
「だって貴族のお坊ちゃまだもん」
アハハハ、と耀龍は笑った。
アキラは此処にいるだけで何か粗相はないか、借り物のドレスを汚してしまわないか、と心配事ばかりで緊張したが、耀龍と麗祥は自然体だった。ふたりともきちんと正装を纏い、普段とはまったく異なる装いなのに完璧に着こなしており、まるで当たり前のような態度だ。
「お前たち」
耀龍と麗祥は、自分たちが呼びかけられていると気づいて振り向いた。この場でトップクラスの身分である彼らに対し、お前たち、と呼びかけられる人物は限られる。
「一大哥」
耀龍と麗祥は赫一瑪と短い挨拶を交わした。
赫一瑪はすぐに弟たちからアキラへと目線を移した。
「姑娘と話がしたい、と族長の仰せだ」
「何で」
「族長の仰せだ」
耀龍は黙った。兄の口調からは理由など問うなという意思を感じた。
耀龍が麗祥へチラリと視線を遣り、麗祥は抗うなと目を伏せた。父の命令に逆らえないのは、兄も弟も同様だ。
耀龍はアキラの肩に手を置き、耳許に口を近づけて囁いた。
「心配しないで、アキラ。オレたち近くにいるから」
「う、うん」
安心させようとした耀龍の声がやや緊張しており、その緊張がアキラにもうつった。
赫一瑪はアキラに自分についてくるように促し、アキラは足を進めた。
アキラに追従しようとしたルフトとヴィントを、赫一瑪は視線で制した。
「従者は不要」
「しかし――」
「従者。もう一度言う。我が族長は姑娘のみをお召しだ。貴様らは要らぬ」
「ッ……!」
ルフトとヴィントはそれ以上食い下がれず、赫一瑪はアキラを伴って行ってしまった。
ふたりとも赫一瑪の刺すような視線に気づいた瞬間、喉が締まったように言葉が出てこなかった。耀龍や麗祥と同じ貴族令息でありながら決定的に異なる威圧感。あれと比較したら耀龍も麗祥も確かに貴族のお坊ちゃまに過ぎず、赫一瑪には支配者の風格があった。
口惜しいルフトは、耀龍と麗祥へと矛先を向けた。
「アキラ殿を守れと言っておきながらおひとりにさせるなど、どういう了見だ」
「今のは我らの長兄。呼んだのは赫の族長。この場で逆らえる相手ではない」
弟たちは、長兄が自分たちとは別格の存在であると、誰よりも弁えていた。
アキラはパーティ会場の端まで連れてこられた。壁際は薄いカーテンがいくつか張られており、その前に使用人が立っている。目を凝らしてみると、カーテン越しに人間大の黒い影が見えた。
赫一瑪が短く言葉を交わし、使用人が手でカーテンを掻き分けた。
カーテンの向こうは個室になっており、8人程度が座れるソファが壁沿いにコの字型に配置されている。そこに赫暁がひとりで座していた。この部屋は、大勢が参加する社交場において、限定された者のみで談話ができるちょっとした密室というわけだ。
耀龍たちとそれほど離れたわけではなかった。アキラが個室の前でチラリと振り向くと、ルフトのやきもきした表情を目視できた。
入りなさい、と赫一瑪から促され、アキラは怖ず怖ずと足を踏み出した。
赫暁とは偶然言葉を交わした程度だが、悪い人物という印象はない。しかし、気は進まなかった。好き勝手に振る舞うあの耀龍が逆らえない人物など、なんとなく構えてしまう。
アキラは、最奥に座っている赫暁の斜め前あたりに座った。
カーテンが閉められて個室にふたりきりになった。そうなると余計に緊張してしまって自然と顔を伏せた。
「呼び立ててすまんな、姑娘」
(あ。やっぱり似てる……)
赫暁の声質は記憶のなかの天尊のそれによく似ていた。
アキラは声に惹かれてわずかに顔を上げた。
「先ほどは名乗り遅れた。俺は赫暁。天尊と耀龍の父だ。姑娘は名は何という?」
「アキラです」
「よい名だ」
「そうですか? 昔は男の子みたいってよく言われて」
「耳に心地良い清澄な響きだ」
アキラは天尊と似たような会話をしたことを思い出した。懐かしくなり、途端にキュッと胸が苦しくなった。これもおそらくは、赫暁の落ち着いた低音が天尊と似ているからだ。
「姑娘が天と恋仲とは驚きだった」
「あのッ……ロンと同じ学校って言ったのは、ウソじゃないです」
アキラが慌てて言い訳のように口走り、赫暁はハハハと笑った。
「安心してくれ。嘘吐きと責めるつもりは毛頭ない。天にしても龍にしても、本当に意外だっただけだ」
「わたしはふたりの好みじゃないから?」
赫暁はアキラから切り返されて肩を揺すって笑った。
「フハハハハ。あれは礼を欠いた発言だった。許してほしい。いや、なに、父から見るに、てっきりあの倅たちは艶冶な美女を好むと思っていたものだからな。ところが姑娘は清純可憐な花の精のようだ」
(んんんんッ。とても恥ずかしい……! ロンたちって何でこう、何でこう……褒め方が過剰かなあ~)
アキラは頬を染めて口を一文字に閉じて羞恥を噛み殺した。
耀龍も麗祥も女性に対する美辞麗句が立て板に水。赫暁はそれを上回る。この家庭はこれが当たり前なのだろうか。長兄の赫一瑪は寡黙な人物のようだが。
赫暁はソファの上を横にずれてアキラに近寄った。
「何故天と恋仲に? アレのどこに惹かれた? 見た目なら俺も劣らんと思うのだが」
「そうですね。お父さんもカッコイイです」
アキラは自然と笑みを零した。赫暁が気さくに話してくれるから、緊張はかなりほぐれた。
「ロンやお兄さんよりもお父さんのほうがティエンと似てます。顔もそうですけど、声とか立ち方とか」
――近くで見てもやはり似ている。
アキラは赫暁の顔をジッと見た。
もう一年も見ていない姿を思い出す。此処最近で最も克明に思い出す。赫暁の顔立ちや声質、ふとした表情や仕草、無意識に零れ落ちる癖、醸し出す雰囲気、すべてが天尊に似ている。年齢は兄弟たちのほうが近いのに、何故だか赫暁に強く惹きつけられた。目を奪われる。声を聞いていたいと思う。
そして、自分は寂しいのだと実感した。天尊がいなくなって、自分は何かが欠けてしまった。天尊はいなくなるときに何かを持って行ってしまった。アキラ自身では取り戻せない何かを。
「そうか。では俺を好ましく思ってくれるか。それは重畳」
アキラは、好ましいかと問われて素直に「はい」と答えた。嫌っていない相手にそう答えるのは当然のことだった。
「その黒髪も夜空のような瞳も実に美しい。世界広しといえど、その誂えたように見事な髪と瞳はそうはいまい。姑娘ほど麗しい娘を見たことがない。天には勿体ない美しさだ」
赫暁はアキラに躙り寄った。アキラの目を見詰めながら髪の毛先に指先で触れた。
「天が長の不在で寂しい思いをしているだろう。その寂しさを今夜は少しでも紛らわせられたらよいのだが……。俺に何かできることはないか」
「あなたに?」
「何か望みがあるなら言ってみるといい。大抵は叶えてやれるだろう」
「わたしはティエンが今どこにいるか――」
「今夜はアレのことは忘れろ」
赫暁はアキラの言葉を遮った。
「それこそが姑娘を煩わせている原因だ。アレの所為でこの愛らしい顔が曇るのは残念だ。これまでもう随分とアレのことを想い、寂しく過ごしてきたことだろう。今夜一晩だけ忘れたとて何も悪いことはない」
「無理です。ティエンを忘れるなんて絶対無理」
無自覚に寂しく苦しい思いを積み重ねた。もう限界だと気づいて、なかったことにしようと思った。自分にはどうにもできない事柄にいつまでも苦しめられる自分自身を解放してあげようと思った。周囲にもそれを勧められた。
しかしながら、できなかった。忘れようとしてもできなかった。運命の所為か、己の意思か、忘れることを許してはくれなかった。天尊に愛を乞われ、好きだと返した、あのたった一度の事実をなかったことにできなかった。
もう二度と逢えないと、ともに過ごした時間は夢幻だったのだと、すべてをなかったことにしようとしたけれど、今はいつか必ず逢えると信じている。
「俺が忘れさせてやると言っても? 望みを叶えてやると言ったろう。姑娘が望むなら、一晩アレの代わりとなろう」
赫暁はアキラの頬に手の甲で触れた。
精悍な顔立ちをした切れ長の目から注がれる秋波。アキラはそれをきっぱりと拒否した。
どれほど聞き心地のよい声質でも、懐かしい雰囲気を纏っても、よく似た紛い物。赫暁のなかに天尊を見つけることは、寂しくて虚しい。喪失感が増すだけだ。手の届く範囲にはいないのだと思い知らされるだけだ。
「あなたはティエンじゃない」
「アキラ――……」
赫暁はアキラの顔の輪郭に手を添え、唇を近づけた。
シャッ。――突然、カーテンが開かれた。
「父様!」
耀龍と麗祥が個室へと踏みこんだ。
唇と唇が触れ合うまであと数センチ、すんでのところだった。個室に男女がふたりきり、この好色な父に何をしていたのかなど問う必要はなかった。
「アキラはダメだってば。本当に天哥々とケンカなさるつもりッ? アキラに手を付けたら、たとえ父様だって天哥々は絶対に許さないよ」
「何だ。アレはまだ手をつけておらんのか」
「うん。両想いになった矢先に麗が連れてっちゃったから」
「あ、あれは任務で仕方なくッ……」
耀龍が素直にコクンと頷き、麗祥は慌てて言い繕おうとした。
赫暁はジョークのように、あっはっはっと声を上げた。
「じゃあ俺にもまだ分があるな」
「と・う・さ・ま⁉💢」
耀龍は赫暁に詰め寄った。耀龍にしてはかなり真面目な態度だったが、赫暁には笑って遇われた。
麗祥はアキラの手を取って席を立たせ、個室の外へと連れ出した。
薄布のカーテンを潜って個室から出てくると、ルフトとヴィントがすぐにアキラを取り囲んだ。特にルフトはアキラの両手を掬い上げて握り、心配そうに顔を覗きこんだ。
「アキラ殿。御無事ですか。何もされませなんだか」
「何もって?」
アキラは皆の懸念の理由が分からずキョトンとした。赫暁の言動に対して距離感がやや近いとは感じたものの、特段危機感を抱かなかった。大人びていても、そういった経験や勘はまだまだ不足していた。
ルフトとヴィントはアキラの両脇に立って赫暁の個室から足早に離れた。
程なくして、耀龍と麗祥も追いついてきた。ルフトはふたりに向かって噛みつきそうな勢いで批難した。
「あれがニーズヘクルメギルの族長だと! 年甲斐もなくアキラ殿のような若い娘を口説こうなどッ」
「恥ずかしながら、父様はかなり女性がお好きだ。美女と見たら手当たり次第。これまで何人の侍女に手を付けたか数え切れない」
「痴れ者め!」
ルフトはアキラを両手で抱き締めた。たとえこの場でアキラが守るべき対象でなかったとしても、赫暁の言動は充分に女性の敵たりえる。
麗祥は天井を仰いで苦笑いを浮かべた。父親の所業を思えば、女性からの非難の目を甘んじて受けるしかなかった。
「父様の女好きは今に始まったことじゃないけど、天哥々のにまで手を出そうとするなんて。天哥々と父様のガチゲンカなんて暉曄宮が壊れる~~!」
麗祥は、嘆きながら頭を抱える耀龍に冷静な目線を向けた。
「お前とて過去に天哥々の恋人と交際したことがあるくせに」
「オ、オレはちゃんと別れたあとだもん。横からちょっかいかけるなんてしてないもん。オレと天哥々は好みが似てるんだから仕方ないじゃんッ」
(そういえばロンも学校でモテまくってたなー)
――この親にしてこの子あり。
アキラは必死に弁明しようとする耀龍を見て苦笑した。
麗祥は腕組みをしてハーッと長い溜息を吐いた。
「父様が無礼を働いた。すまない、姑娘」
麗祥は申し訳なさそうな顔をした。しかし、アキラはキョトンとした。
「無礼って? ティエンの話をしただけですけど」
(言い寄られたと気づいていないか。なかなか手強いな、姑娘)
「アキラ殿ッ」とルフトがやや声を荒らげた。
それから、アキラの正面に立ってガミガミと小言を述べた。
ルフトはアキラを生活力が高くしっかりした人物だと認めている。恩人でもある。しかし、個室でふたりきりの情況で至近距離に寄られてのほほんとしている危機感の低さには、同じ女性として注意せざるを得なかった。
ねえ、アキラ、と耀龍が声をかけた。
「父様は天哥々のこと何か言ってなかった?」
「ティエンのどこが好きかってことと、俺も見た目は負けてないと思うって話しかしなかったよ」
「父様……」
耀龍と麗祥は脱力した。
息子から見ても赫暁は男性的矜持にこだわる尊大な男だ。息子と張り合う姿は容易に想像できた。
「確かに父様と天哥々は似てるし歳の割に男前だと思うけどさー。息子と張り合うのやめてほしい」
「お父さん、カッコイイもんね」
「――――……」
アキラはフフッと笑みを零してやや頬を染めた。
少女らしい羞じらいの表情。耀龍と麗祥の目にはそのように見え、ふたりして顔を見合わせた。
ルフトがアキラに何か飲み物を選びましょうと提案し、ふたりで場を離れた。
耀龍と麗祥はアキラの後ろ姿を眺めた。
「まさか姑娘のほうが父様に心変わりするなど、ないだろうな」
麗祥から問われた耀龍は、はあーっと嘆息を漏らした。
「ないとは思うけど……。でも父様は手が早いし、何より天哥々にいろいろ似てるからな~。アキラと天哥々の間に恋人らしい何かでもあれば、そんなことは有り得ないってもうちょっと自信持てるけど。一年も顔も見てないのに想い続けるって、もう奇跡じゃん?」
「何を他人事のように暢気な。我らがついていながら父様に奪われることになどなってみろ。天哥々に合わせる顔がないぞ」
「それは分かってる。分かってるけどさ~」
惹かれ始めた人の気持ちを方向転換させるなど難儀だ。本人ですら制御できるものではない。もしそうなってしまったとして、自分たちにできることなど無いに等しいと、耀龍も麗祥も理解しているが故、悩ましい深い吐息しか漏れなかった。
アキラたちが去ったあと、赫一瑪は赫暁がいる個室のカーテンをめくって入室した。
赫暁は頬杖を突いて上機嫌にニヤニヤしていた。
「天のヤツ、趣味は悪くねェな。まだ若いがイイ女になりそうだ。この俺が口説いて靡かなかった」
「自信家でいらっしゃる」
「まだまだアレに負けるつもりはない✨」
赫暁が好色家であることは隠してもおらず周知の事実。赫一瑪は最早諫める気も起きなかった。
継嗣が必要不可欠な貴族の家において、好色であることは必ずしも悪とは考えられない。胤が無いよりは散蒔くほうがまだよい。血が絶えるリスクが低くなる。事実、息子たちも認めるほどの好色家である赫暁は、五人もの頑健な男児を成した。
「あの娘がお気に召したのは本心ですか?」
「愛らしいと言ったのは本心だ。清純で愛らしく……不憫な娘だ」
赫暁は小さく嘆息を漏らした。
「あの娘は天が戻ろうと戻るまいと幸せにはなれん。天の《オプファル》なのだからな。愛する者の手にかけられるなど、若い身空で浮かばれまい。真実、天を愛しているというなら俺に心変わりしたほうが、いくらか幸せかと思ってな」
赫暁は眉間に皺を寄せ、皮肉っぽく笑った。
愛情は人を愚かにする。愛するという行為は、ただひとりを何物にも替えがたく、掛け値のない存在とすることだ。愛情という毒物によって思考は麻痺し、合理性は棄却され、導きうる予測は無視される。然らぬ運命を覆そうとまでする。
合理的で冷徹と評判だった天尊でさえそうなってしまった。やるかたないことだ。
「まったく、アレは莫迦なことをしたモンだ。《オプファル》に惚れこむなんざ――……」
大広間の天井はとても高く、そこにはいくつものシャンデリアが煌びやかに輝く。広間は全体的に赤で統一されていた。天井から垂れ下がるカーテンはシックで深い紅色、広間に敷かれた絨毯、テーブルやチェアを彩るクロス、随所に生けられた花も真っ赤な大輪。鮮やかな装束を纏った老若男女たちが華やかさを添える。精悍な顔付きの男たちが身に着けた鎧がシャンデリアの灯りを照り返し、広間はますます眩さを増した。
耀龍たちが武具や従者の自慢大会と言ったのは真実らしい。着飾った主人らしい人物は、誰も彼も武具を装備した従者を付き随えている。この鎧は此処が素晴らしいだとか、この刀剣はどの鍛冶が鍛えただとか、其処彼処から話題が聞こえてくる。
「ほう。耀龍様と麗祥様が揃ってエスコートなさるとは。あちらは一体どちらの愛嬢で在られるか」
「はて。お二方ともいまだご婚約者を迎えられておられないはずだが」
「噂では耀龍様の可愛い方らしく。近頃お手許に囲っていらっしゃるそうですわ」
「それはそれは。しかし、一体如何ほどのご令嬢方が噎び泣くことか」
この世界きっての大貴族の令息たちは、パーティの参加者たちの衆目を集めた。彼らと並び立つ見知らぬ少女は注目の的だった。素性を知られていないが故に、殊更に興味を掻き立てた。パーティの参加者たちは好き勝手に噂し、中には特段耳の早い者もいた。大貴族令息の恋人の座を密かに狙う令嬢たちは、歯軋りしたかもしれない。
大貴族の令息がふたりも揃って甲斐甲斐しく世話を焼く光景がまた、彼らの好奇心や嫉妬心を煽った。
耀龍はアキラの手を引き、麗祥は飲み物のグラスを差し出した。
「アキラはダンスは好き? 何が得意?」
「姑娘。飲み物は何を?」
「あ。ダメダメ。アキラはアルコールは飲めないよ」
「では何か別の飲み物を持ってこさせよう」
「ふたりとも慣れてるし違和感ない。ホント貴族のお坊ちゃまってカンジ」
「だって貴族のお坊ちゃまだもん」
アハハハ、と耀龍は笑った。
アキラは此処にいるだけで何か粗相はないか、借り物のドレスを汚してしまわないか、と心配事ばかりで緊張したが、耀龍と麗祥は自然体だった。ふたりともきちんと正装を纏い、普段とはまったく異なる装いなのに完璧に着こなしており、まるで当たり前のような態度だ。
「お前たち」
耀龍と麗祥は、自分たちが呼びかけられていると気づいて振り向いた。この場でトップクラスの身分である彼らに対し、お前たち、と呼びかけられる人物は限られる。
「一大哥」
耀龍と麗祥は赫一瑪と短い挨拶を交わした。
赫一瑪はすぐに弟たちからアキラへと目線を移した。
「姑娘と話がしたい、と族長の仰せだ」
「何で」
「族長の仰せだ」
耀龍は黙った。兄の口調からは理由など問うなという意思を感じた。
耀龍が麗祥へチラリと視線を遣り、麗祥は抗うなと目を伏せた。父の命令に逆らえないのは、兄も弟も同様だ。
耀龍はアキラの肩に手を置き、耳許に口を近づけて囁いた。
「心配しないで、アキラ。オレたち近くにいるから」
「う、うん」
安心させようとした耀龍の声がやや緊張しており、その緊張がアキラにもうつった。
赫一瑪はアキラに自分についてくるように促し、アキラは足を進めた。
アキラに追従しようとしたルフトとヴィントを、赫一瑪は視線で制した。
「従者は不要」
「しかし――」
「従者。もう一度言う。我が族長は姑娘のみをお召しだ。貴様らは要らぬ」
「ッ……!」
ルフトとヴィントはそれ以上食い下がれず、赫一瑪はアキラを伴って行ってしまった。
ふたりとも赫一瑪の刺すような視線に気づいた瞬間、喉が締まったように言葉が出てこなかった。耀龍や麗祥と同じ貴族令息でありながら決定的に異なる威圧感。あれと比較したら耀龍も麗祥も確かに貴族のお坊ちゃまに過ぎず、赫一瑪には支配者の風格があった。
口惜しいルフトは、耀龍と麗祥へと矛先を向けた。
「アキラ殿を守れと言っておきながらおひとりにさせるなど、どういう了見だ」
「今のは我らの長兄。呼んだのは赫の族長。この場で逆らえる相手ではない」
弟たちは、長兄が自分たちとは別格の存在であると、誰よりも弁えていた。
アキラはパーティ会場の端まで連れてこられた。壁際は薄いカーテンがいくつか張られており、その前に使用人が立っている。目を凝らしてみると、カーテン越しに人間大の黒い影が見えた。
赫一瑪が短く言葉を交わし、使用人が手でカーテンを掻き分けた。
カーテンの向こうは個室になっており、8人程度が座れるソファが壁沿いにコの字型に配置されている。そこに赫暁がひとりで座していた。この部屋は、大勢が参加する社交場において、限定された者のみで談話ができるちょっとした密室というわけだ。
耀龍たちとそれほど離れたわけではなかった。アキラが個室の前でチラリと振り向くと、ルフトのやきもきした表情を目視できた。
入りなさい、と赫一瑪から促され、アキラは怖ず怖ずと足を踏み出した。
赫暁とは偶然言葉を交わした程度だが、悪い人物という印象はない。しかし、気は進まなかった。好き勝手に振る舞うあの耀龍が逆らえない人物など、なんとなく構えてしまう。
アキラは、最奥に座っている赫暁の斜め前あたりに座った。
カーテンが閉められて個室にふたりきりになった。そうなると余計に緊張してしまって自然と顔を伏せた。
「呼び立ててすまんな、姑娘」
(あ。やっぱり似てる……)
赫暁の声質は記憶のなかの天尊のそれによく似ていた。
アキラは声に惹かれてわずかに顔を上げた。
「先ほどは名乗り遅れた。俺は赫暁。天尊と耀龍の父だ。姑娘は名は何という?」
「アキラです」
「よい名だ」
「そうですか? 昔は男の子みたいってよく言われて」
「耳に心地良い清澄な響きだ」
アキラは天尊と似たような会話をしたことを思い出した。懐かしくなり、途端にキュッと胸が苦しくなった。これもおそらくは、赫暁の落ち着いた低音が天尊と似ているからだ。
「姑娘が天と恋仲とは驚きだった」
「あのッ……ロンと同じ学校って言ったのは、ウソじゃないです」
アキラが慌てて言い訳のように口走り、赫暁はハハハと笑った。
「安心してくれ。嘘吐きと責めるつもりは毛頭ない。天にしても龍にしても、本当に意外だっただけだ」
「わたしはふたりの好みじゃないから?」
赫暁はアキラから切り返されて肩を揺すって笑った。
「フハハハハ。あれは礼を欠いた発言だった。許してほしい。いや、なに、父から見るに、てっきりあの倅たちは艶冶な美女を好むと思っていたものだからな。ところが姑娘は清純可憐な花の精のようだ」
(んんんんッ。とても恥ずかしい……! ロンたちって何でこう、何でこう……褒め方が過剰かなあ~)
アキラは頬を染めて口を一文字に閉じて羞恥を噛み殺した。
耀龍も麗祥も女性に対する美辞麗句が立て板に水。赫暁はそれを上回る。この家庭はこれが当たり前なのだろうか。長兄の赫一瑪は寡黙な人物のようだが。
赫暁はソファの上を横にずれてアキラに近寄った。
「何故天と恋仲に? アレのどこに惹かれた? 見た目なら俺も劣らんと思うのだが」
「そうですね。お父さんもカッコイイです」
アキラは自然と笑みを零した。赫暁が気さくに話してくれるから、緊張はかなりほぐれた。
「ロンやお兄さんよりもお父さんのほうがティエンと似てます。顔もそうですけど、声とか立ち方とか」
――近くで見てもやはり似ている。
アキラは赫暁の顔をジッと見た。
もう一年も見ていない姿を思い出す。此処最近で最も克明に思い出す。赫暁の顔立ちや声質、ふとした表情や仕草、無意識に零れ落ちる癖、醸し出す雰囲気、すべてが天尊に似ている。年齢は兄弟たちのほうが近いのに、何故だか赫暁に強く惹きつけられた。目を奪われる。声を聞いていたいと思う。
そして、自分は寂しいのだと実感した。天尊がいなくなって、自分は何かが欠けてしまった。天尊はいなくなるときに何かを持って行ってしまった。アキラ自身では取り戻せない何かを。
「そうか。では俺を好ましく思ってくれるか。それは重畳」
アキラは、好ましいかと問われて素直に「はい」と答えた。嫌っていない相手にそう答えるのは当然のことだった。
「その黒髪も夜空のような瞳も実に美しい。世界広しといえど、その誂えたように見事な髪と瞳はそうはいまい。姑娘ほど麗しい娘を見たことがない。天には勿体ない美しさだ」
赫暁はアキラに躙り寄った。アキラの目を見詰めながら髪の毛先に指先で触れた。
「天が長の不在で寂しい思いをしているだろう。その寂しさを今夜は少しでも紛らわせられたらよいのだが……。俺に何かできることはないか」
「あなたに?」
「何か望みがあるなら言ってみるといい。大抵は叶えてやれるだろう」
「わたしはティエンが今どこにいるか――」
「今夜はアレのことは忘れろ」
赫暁はアキラの言葉を遮った。
「それこそが姑娘を煩わせている原因だ。アレの所為でこの愛らしい顔が曇るのは残念だ。これまでもう随分とアレのことを想い、寂しく過ごしてきたことだろう。今夜一晩だけ忘れたとて何も悪いことはない」
「無理です。ティエンを忘れるなんて絶対無理」
無自覚に寂しく苦しい思いを積み重ねた。もう限界だと気づいて、なかったことにしようと思った。自分にはどうにもできない事柄にいつまでも苦しめられる自分自身を解放してあげようと思った。周囲にもそれを勧められた。
しかしながら、できなかった。忘れようとしてもできなかった。運命の所為か、己の意思か、忘れることを許してはくれなかった。天尊に愛を乞われ、好きだと返した、あのたった一度の事実をなかったことにできなかった。
もう二度と逢えないと、ともに過ごした時間は夢幻だったのだと、すべてをなかったことにしようとしたけれど、今はいつか必ず逢えると信じている。
「俺が忘れさせてやると言っても? 望みを叶えてやると言ったろう。姑娘が望むなら、一晩アレの代わりとなろう」
赫暁はアキラの頬に手の甲で触れた。
精悍な顔立ちをした切れ長の目から注がれる秋波。アキラはそれをきっぱりと拒否した。
どれほど聞き心地のよい声質でも、懐かしい雰囲気を纏っても、よく似た紛い物。赫暁のなかに天尊を見つけることは、寂しくて虚しい。喪失感が増すだけだ。手の届く範囲にはいないのだと思い知らされるだけだ。
「あなたはティエンじゃない」
「アキラ――……」
赫暁はアキラの顔の輪郭に手を添え、唇を近づけた。
シャッ。――突然、カーテンが開かれた。
「父様!」
耀龍と麗祥が個室へと踏みこんだ。
唇と唇が触れ合うまであと数センチ、すんでのところだった。個室に男女がふたりきり、この好色な父に何をしていたのかなど問う必要はなかった。
「アキラはダメだってば。本当に天哥々とケンカなさるつもりッ? アキラに手を付けたら、たとえ父様だって天哥々は絶対に許さないよ」
「何だ。アレはまだ手をつけておらんのか」
「うん。両想いになった矢先に麗が連れてっちゃったから」
「あ、あれは任務で仕方なくッ……」
耀龍が素直にコクンと頷き、麗祥は慌てて言い繕おうとした。
赫暁はジョークのように、あっはっはっと声を上げた。
「じゃあ俺にもまだ分があるな」
「と・う・さ・ま⁉💢」
耀龍は赫暁に詰め寄った。耀龍にしてはかなり真面目な態度だったが、赫暁には笑って遇われた。
麗祥はアキラの手を取って席を立たせ、個室の外へと連れ出した。
薄布のカーテンを潜って個室から出てくると、ルフトとヴィントがすぐにアキラを取り囲んだ。特にルフトはアキラの両手を掬い上げて握り、心配そうに顔を覗きこんだ。
「アキラ殿。御無事ですか。何もされませなんだか」
「何もって?」
アキラは皆の懸念の理由が分からずキョトンとした。赫暁の言動に対して距離感がやや近いとは感じたものの、特段危機感を抱かなかった。大人びていても、そういった経験や勘はまだまだ不足していた。
ルフトとヴィントはアキラの両脇に立って赫暁の個室から足早に離れた。
程なくして、耀龍と麗祥も追いついてきた。ルフトはふたりに向かって噛みつきそうな勢いで批難した。
「あれがニーズヘクルメギルの族長だと! 年甲斐もなくアキラ殿のような若い娘を口説こうなどッ」
「恥ずかしながら、父様はかなり女性がお好きだ。美女と見たら手当たり次第。これまで何人の侍女に手を付けたか数え切れない」
「痴れ者め!」
ルフトはアキラを両手で抱き締めた。たとえこの場でアキラが守るべき対象でなかったとしても、赫暁の言動は充分に女性の敵たりえる。
麗祥は天井を仰いで苦笑いを浮かべた。父親の所業を思えば、女性からの非難の目を甘んじて受けるしかなかった。
「父様の女好きは今に始まったことじゃないけど、天哥々のにまで手を出そうとするなんて。天哥々と父様のガチゲンカなんて暉曄宮が壊れる~~!」
麗祥は、嘆きながら頭を抱える耀龍に冷静な目線を向けた。
「お前とて過去に天哥々の恋人と交際したことがあるくせに」
「オ、オレはちゃんと別れたあとだもん。横からちょっかいかけるなんてしてないもん。オレと天哥々は好みが似てるんだから仕方ないじゃんッ」
(そういえばロンも学校でモテまくってたなー)
――この親にしてこの子あり。
アキラは必死に弁明しようとする耀龍を見て苦笑した。
麗祥は腕組みをしてハーッと長い溜息を吐いた。
「父様が無礼を働いた。すまない、姑娘」
麗祥は申し訳なさそうな顔をした。しかし、アキラはキョトンとした。
「無礼って? ティエンの話をしただけですけど」
(言い寄られたと気づいていないか。なかなか手強いな、姑娘)
「アキラ殿ッ」とルフトがやや声を荒らげた。
それから、アキラの正面に立ってガミガミと小言を述べた。
ルフトはアキラを生活力が高くしっかりした人物だと認めている。恩人でもある。しかし、個室でふたりきりの情況で至近距離に寄られてのほほんとしている危機感の低さには、同じ女性として注意せざるを得なかった。
ねえ、アキラ、と耀龍が声をかけた。
「父様は天哥々のこと何か言ってなかった?」
「ティエンのどこが好きかってことと、俺も見た目は負けてないと思うって話しかしなかったよ」
「父様……」
耀龍と麗祥は脱力した。
息子から見ても赫暁は男性的矜持にこだわる尊大な男だ。息子と張り合う姿は容易に想像できた。
「確かに父様と天哥々は似てるし歳の割に男前だと思うけどさー。息子と張り合うのやめてほしい」
「お父さん、カッコイイもんね」
「――――……」
アキラはフフッと笑みを零してやや頬を染めた。
少女らしい羞じらいの表情。耀龍と麗祥の目にはそのように見え、ふたりして顔を見合わせた。
ルフトがアキラに何か飲み物を選びましょうと提案し、ふたりで場を離れた。
耀龍と麗祥はアキラの後ろ姿を眺めた。
「まさか姑娘のほうが父様に心変わりするなど、ないだろうな」
麗祥から問われた耀龍は、はあーっと嘆息を漏らした。
「ないとは思うけど……。でも父様は手が早いし、何より天哥々にいろいろ似てるからな~。アキラと天哥々の間に恋人らしい何かでもあれば、そんなことは有り得ないってもうちょっと自信持てるけど。一年も顔も見てないのに想い続けるって、もう奇跡じゃん?」
「何を他人事のように暢気な。我らがついていながら父様に奪われることになどなってみろ。天哥々に合わせる顔がないぞ」
「それは分かってる。分かってるけどさ~」
惹かれ始めた人の気持ちを方向転換させるなど難儀だ。本人ですら制御できるものではない。もしそうなってしまったとして、自分たちにできることなど無いに等しいと、耀龍も麗祥も理解しているが故、悩ましい深い吐息しか漏れなかった。
アキラたちが去ったあと、赫一瑪は赫暁がいる個室のカーテンをめくって入室した。
赫暁は頬杖を突いて上機嫌にニヤニヤしていた。
「天のヤツ、趣味は悪くねェな。まだ若いがイイ女になりそうだ。この俺が口説いて靡かなかった」
「自信家でいらっしゃる」
「まだまだアレに負けるつもりはない✨」
赫暁が好色家であることは隠してもおらず周知の事実。赫一瑪は最早諫める気も起きなかった。
継嗣が必要不可欠な貴族の家において、好色であることは必ずしも悪とは考えられない。胤が無いよりは散蒔くほうがまだよい。血が絶えるリスクが低くなる。事実、息子たちも認めるほどの好色家である赫暁は、五人もの頑健な男児を成した。
「あの娘がお気に召したのは本心ですか?」
「愛らしいと言ったのは本心だ。清純で愛らしく……不憫な娘だ」
赫暁は小さく嘆息を漏らした。
「あの娘は天が戻ろうと戻るまいと幸せにはなれん。天の《オプファル》なのだからな。愛する者の手にかけられるなど、若い身空で浮かばれまい。真実、天を愛しているというなら俺に心変わりしたほうが、いくらか幸せかと思ってな」
赫暁は眉間に皺を寄せ、皮肉っぽく笑った。
愛情は人を愚かにする。愛するという行為は、ただひとりを何物にも替えがたく、掛け値のない存在とすることだ。愛情という毒物によって思考は麻痺し、合理性は棄却され、導きうる予測は無視される。然らぬ運命を覆そうとまでする。
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