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Kapitel 05
北国の饗宴 03
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パーティが中盤に差しかかった頃、トラジロとズィルベルナーが上座へやって来た。トラジロは天尊に向かって会釈したあと、ヘルヴィンの前へ移動して深々と頭を垂れた。
「ご挨拶が遅くなりました。グローセノルデン大公」
「おお、トラジロとズィルベルナー。息災か」
「今宵はこのように盛大なパーティにお招きいただき誠に有り難うございます。僭越ながら、三本爪飛竜騎兵大隊を代表して御礼を申し上げます」
トラジロが恭しく謝辞を述べている隣で、ズィルベルナーは早くも天尊のほうへと身体を向けた。
「大隊長ぉ~~」
「何だ、鬱陶しい」
天尊はズィルベルナーをシッシッと邪険にした。
トラジロはズィルベルナーの足を爪先でゴスッと蹴った。
「大隊長に懐くのは挨拶を済ませてからになさい、ズィルベルナー」
「いい、いい、気にするな。コイツにそんなモン期待するだけ無駄だろ。図体だけデカくなって頭のなかはガキのまんまなんだからよ」
ヘルヴィンは天尊やズィルベルナーの性格、飛竜の大隊の事情まで理解してくれており、協力的で寛大。トラジロはこの御仁には心から感謝していた。貴族とはプライドの高い生き物であり、不敬な態度を取られたら大いに機嫌を損ねたって不思議ではない。
「大隊長~。緋姐見なかった? さっきから探してるけど見当たらねーんだよなー」
「緋ならさっき騎士団の若いのとテラスに出て行くのを見かけたぞ。今頃どっちかの部屋にでも潜りこんでるだろ」
「ええー! 今夜こそ俺が緋姐と🩷って思ってたのにぃッ」
ズィルベルナーは拳を握って悔しがった。
その横でトラジロは冷静に溜息を吐いた。
「諦めなさい、ズィルベルナー。貴男は緋姐の好みではないのですよ。今夜は緋姐ではなくメイドにお相手願いなさい。今時分から口説いて間に合うかは知りませんが」
「俺は緋姐がイイの!」
ズィルベルナーは白い歯列を剥き出しにしてトラジロにイーッして見せた。トラジロにはハッと一笑されたが。
それからアキラの前に移動し片膝を突いた。
「アキラちゃん~~」
「ハ、ハイ」
「今夜はアキラちゃんもめかしこんでてか~わいい~🩷 お姫様みたいだね」
莫迦みたいに率直な賛辞をペラペラと。トラジロはズィルベルナーを横目に見て呆れ顔。
「緋姐がいいと言った舌の根も乾かぬ内に、よくもそんなことをサラサラと言えますね」
「だって緋姐もビシュラちゃんもいねーんだもん。アキラちゃんに癒やしてもらうしかねーじゃん。あ~、やっぱ女の子はイイなー。キラキラだしいい匂いするし柔らかいし。存在そのものがヒーリング🩷」
ズィルベルナーはアキラの小さな手を持ち上げてスリスリと頬擦りした。
ガシッ、と天尊がズィルベルナーの額を真正面から掴んだ。握り潰さんほどギリッギリッと締め上げた。
「貴様には俺が見えんのか?」
「イダダダダダダッ!」
「二度と無断でアキラに触れるな。莫迦がうつる」
天尊は放り投げるようにズィルベルナーから手を離し、アキラを自分のほうへ抱き寄せた。
「大公の前で恥を晒すんじゃありませんよ、ズィルベルナー」
「少しは俺の心配してくれよッ」
ズィルベルナーは涙目でトラジロに抗議した。
トラジロはふとアキラへと目を遣り、或ることに気づいた。
「心なしか顔色が優れませんねお嬢さん。ズィルベルナーのレベルに合わせて話をするのは、さぞかしお疲れでしょう」
「お前なッ」とズィルベルナー。
天尊は「そんなことは」と否定するアキラの顔を覗きこんだ。先ほどは汗が浮き、今は顔色がやや白く見えた。
「本当にあまり顔色が良くないな。何かつらいか、アキラ」
「うん、ちょっとだけ……」
「ちょっとだけ何だ」
天尊は急に真剣なトーンになって真顔で尋ねた。
アキラは困ったような表情で笑顔を作った。天尊は自分の体調のこととなると大袈裟になる。
「コルセットするの初めてだから、ちょっと苦しくなってきちゃって」
それを聞くや否や、天尊はアキラの膝裏に腕を差し入れ、アキラを抱えて立ち上がった。
「ティエンッ?」
アキラは反射的にずり落ちないように慌てて天尊の衣服にしがみついた。
天尊はアキラを抱えてヘルヴィンの前へ行き、小さく会釈した。
ヘルヴィンは天尊が言い出しそうなことをすでに察しており、フラッと手を振った。
「俺たちは今夜はもう引ける。歓待に感謝する、ヘルヴィン」
アキラは天尊に抱えられたままどうにか体を捻ってヘルヴィンのほうへ顔を向けた。
「あ、あの、ごめんなさい。本当は途中で抜けたりしたくないんですけど気分がちょっと――」
「いいんだ、アキラ。謝るようなことじゃない」
「でも」
「大丈夫だ、ヘルヴィンもユリイーシャも分かっている」
ヘルヴィンはグラスを左右に揺らして笑った。
「何も気にするこたァねェ。身体を大事にな、嬢ちゃん」
天尊はアキラを抱えて颯爽と大広間をあとにした。
ヘルヴィンはテーブルの上に肘を突き、グラスの酒を飲み干した。
「あのティエンゾンに大事大事にされてるにしちゃひねくれてねェ、素直な嬢ちゃんだ。だからこそティエンゾンには似合わねェが」
「そのようなことを仰有らないで、お父様。アキラ様は本当に良いお嬢様なのよ」
「お前がそう言うならそうなんだろうが……ティエンゾンもまた面倒臭いのを選んだもんだ」
§ § § § §
天尊がアキラを連れて大広間から退出してからしばらく経った頃――――。
夜も更けて宴もたけなわ。軽快だった音楽はいつの間にか穏やかに奏で、まろやかな歌声と溶け合って空間に満ちる。笑い声や歌声混じりに酒を傾け、やや照明が落ちて薄暗くなった大広間のなかを光の玉がキラキラと動き回る。その光を浴びながらお気に入りの踊り子と踊る。
それらはすべてガラスの向こうの世界のこと。賑やかな空間とガラス一枚隔てられたテラスに、頬を赤くしたビシュラがいた。
テラスは静かだった。城の周辺には無人の雪原が広がり、ガラス一枚向こうの宴の光景とは別世界の静寂。
雪は降っていないが気温が低い。吐く息が微かに白くなる。火照った頬を冷ますには丁度よい。
(少し飲み過ぎました。普段からそんなに飲まないのに、ここのお酒美味しくて)
ビシュラは欄干に両手を突き、ふう、と息を吐いた。その直後、背後から声を掛けられた。
「こんなところで何してる」
振り返ってみると、想像どおりの声の主。軍服の袖を肘まで捲り上げ、片手には酒瓶。長い朱色の毛を揺らしてゆっくりと此方へ近づいてくる。重たい靴音が目の前で止まった。見上げるとフッとアルコールのにおいが漂った。
「歩兵長はダンスされないのですか?」
ヴァルトラムはクッと笑った。
「ンなモン俺ができると思うか」
それを聞いたビシュラは、ニコッと笑った。
「わたしもダンスはあまり得意ではないのです」
「学院じゃダンスは教えてくれなかったか」
「そのような授業はございませんよ。歩兵長は学院をどのような場所とお考えですか」
ビシュラはぷうと頬を膨らませた。
「それに、もしあったとしてもやっぱりわたしはダンスの成績は芳しくなかったと思います。体を動かすことはあまり得意ではないので……。テラスに出てきたのはダンスに誘われないため、というのもあるのです。せっかくのお誘いをあまりお断りするのも悪いですから」
「へえ。気の毒になるほど誘われたか」
「パーティで女性をダンスに誘うのは礼儀のようなものなのでしょう?」
「さァな。品のイイ連中のやることなんざ知らねェな」
ヴァルトラムは酒瓶に口を付けグイッと酒を呷った。
「で、俺よりイイ男はいたか?」
「歩兵長までそのようなことを仰有って。あれはフェイさんの冗談ですよ」
「冗談じゃねェ。フェイはとっくに男と消えた」
「えーッ⁉」
「オメエもそうするつもりだったんだろ?」
「そのようなことはいたしません!」
ビシュラは一歩前進してヴァルトラムとの距離を詰めた。
人一倍遠慮がちなビシュラが今日は妙に強気なのは、上等な酒に酔っているのかもしれない。
「フェイさんのプライベートを批難する気は毛頭ございませんが、わたしは異性と一晩だけ共にする関係は好みません。楽しい会話をし、お互いへの理解を深め、ふたりの時間を過ごして関係性を築いてからそういう行為に及ぶべきだと思います」
「そうしろと学院で教わったか」
「歩兵長~~」
ヴァルトラムは鼻先で嘲笑して揶揄い、ビシュラはむうっと頬を膨らませた。
「オメエのやり方はまどろっこしい。俺たちゃオメエほど時間がねェ」
「時間?」
「誰がいつおっ死ぬか、分かンねェからよ」
ヴァルトラムが冗談のように言ったそれは、真実だ。一度戦場に立てば、二度戻る保証はない。歴戦の勇士、飛竜の大隊であっても、魔物と畏怖されるヴァルトラムであっても。酒を酌み交わし語り合い、信頼や心を預けた相手さえ、必ず引き裂いてしまう事象、死。それに抗い否定する術など誰も持ってはいない。その絶対性と普遍性の前には弱者も強者も関係なく、均しく受け容れるしかない。
「死ぬなんて、仰有らないでください。歩兵長が死ぬなんて、有り得ません……」
「なんだそのツラ。死んだってオメエにゃ関係ねェだろ。恋人でもねェ男だもんなァ」
ビシュラはふるふるっと頭を左右に振った。
「それとこれとは話が別です。死ぬなんて言われて平気でいられません。もし、目の前で誰かが死にかけていたら、わたしは死なせない為の努力を惜しみません……ッ。わたしではお役に立てないかもしれませんが、それでも……大隊の誰かが死んでしまうのは……嫌です」
この身は懦弱にして貧弱、誇れるものの少ない身。周りを見渡しては己を恥じてばかりいる。しかし、与えられた役割を全身全霊で全うしたいと心から願っている。役割を果たすことで誰かが生き存えるなら、ようやく自身を誇れる気がする。
ヴァルトラムがふと見るとビシュラの肩にはぎゅうぎゅうに力が入っていた。
「ンなに気張ンな。弱っちいンだからよ。俺から見りゃオメエも他の野郎どももそう変わりゃしねェ。すぐにおっ死ぬクソ弱ェヤツらばっかだ」
ヴァルトラムは巨きく硬く迅く強い。実戦部隊・三本爪飛竜騎兵大隊においても、その実力は天尊以外には肩を並べようがないほど突出している。彼らから《魔物》と怖れられながら、カリスマ性を持ち崇められるヴァルトラム程の男にしてみれば、ビシュラもそれ以外も大差ない。
そうは言ってもビシュラが笑顔満面になることはなかった。
――「大隊長に張り合うぐらいだったら一言必要だって言ってやれ」――
晴れないビシュラの顔を眺めていると緋の言葉を思い出した。
ヴァルトラムには到底理解できない小心者の心根。嗚呼、何とも面倒臭いことだ。他者と比べて自分には何ができて何ができないなどと逐一分析して挙げ句、己を卑下して遮二無二働いていないと不安になるなど。余計なことは考えずに自分のしたいことだけをやればいいのに。
「だが、オメエはこの俺が連れてきた。必要ねェんだったら傍に置かねェ。余計なこたァ考えずにここにいろ。その内オメエのお陰で助かるヤツもいんだろ」
「本当にそう思われますか?」
「ああ」
「本当に……?」
ビシュラはまた一歩ヴァルトラムに近づいた。もう身体と身体がぶつかりそうなほど近いのに、距離感が可笑しくなっていることにまだ気づいていない。
「嘘なんざつくかよ、面倒臭ェ」
確かにビシュラが知るk限り、この男が嘘や世辞を口にしたことはない。時と場合、相手に関わらず過ぎるほどに正直者だ。たかだかビシュラ相手に気を遣って己を偽り嘘を吐くなどするはずがない。
今度はヴァルトラムのほうからビシュラへ近づいた。
「ピアスは気に入ったか?」
ヴァルトラムはビシュラの耳、翠玉の石に指で触れた。触れられるとツキン、と鋭い痛みが走り、ビシュラはそれに耐えた。
「えッ、ええ、とても。このような高価な物をいただいて本当によろしいのですか?」
「いいに決まってんだろ。オメエが要らなきゃ捨てる」
ビシュラは心のなかで、やはり、と思った。
そろりと目線を上げてみると、気づかれないようにしたはずなのにヴァルトラムと目が合った。至近距離で真っ直ぐに見詰められているのだと自覚して、突然我に返って顔が熱くなった。
ビシュラは頬を両手で押さえて俯いた。ヴァルトラムのズボンが視界に入った。厚手の漆黒の生地に鮮やかな縦ライン。ズボンと同じ色、漆黒の詰め襟に今紫の飾緒、瑠璃色のマント。胸には数多の勲章。――――それが軍服姿のヴァルトラム。
自身の鼓動に嘘は吐けない。胸がこれほど高鳴るのは、頬が熱いのは、軍服に身を包んだヴァルトラムが目の前にいるからだ。ビシュラにとってこの装いのヴァルトラムは特別だ。ビシュラを迎えに来た日、ビシュラの世界を一変させた日、あの日もこの装いだったから。
「歩兵長は……」
ビシュラが何かを言いかけるとヴァルトラムが腰を折って顔を近づけてきた。目がとても近くにあるだろうから顔を上げられなかった。目が合ったら余計に顔が赤くなってしまうだろう。
「オメエは仕事中に酒を飲むのか? 今は〝歩兵長〟じゃねェだろ」
「ヴァ、ヴァリイさまは……どうしてわたしにピアスをくださったのですか?」
「オメエに似合うと思ったからだ」
「わたしのような者には身に余ります……」
ヴァルトラムはビシュラの腰に腕を回してグイッと引き寄せた。
「オメエはすぐに下を向きやがる。ちったあ堂々とできねェのか。この俺が選んだんだ、オメエはなかなかイイ女だぜェ、ビシュラ」
ビシュラはヴァルトラムの腕力に抗うことはできなかった。身動きができないまま顎を固定され、為す術もないままに唇に吸いつかれた。
「んッ、んん……ッ」
途端にアルコールの匂いが強くなった。自分も酒を飲んでいるのにヴァルトラムの匂いの所為でさらに酔ってしまいそう。頭がくらくらして目が眩む。このままではダメだと意思を強く保とうとするが酔いが、それの邪魔をした。このまま身を委ねてしまいたい思いが半分と、誰がいつやってくるかもしれないこのような場で好きにされたくないという思いが半分。
一瞬唇が離れた隙を突き、ビシュラは素早く顔を背けた。
「ヴァリイさま、もうこれでやめッ……」
「黙れ」
ビシュラの阻もうとした手は掴み取られ、腰に回された腕に力が入った。
強く抱き締められると厭が応にも胸が高鳴った。この強い男に求められていると思うと心臓が応じてしまうのは、意志の力ではどうしようもない本能だ。
「もうダメなんですってば……ッ」
ピンッ、とビシュラの頭部から黒い耳が立ち上がった。ビシュラは顔をかあっと赤くして下を向いた。
ヴァルトラムはその耳を見て、クカカッと笑った。それに反応して長い耳がピクピクと機敏に動いた。
「オメエもその気じゃねェか」
「これはそういう合図ではありません! 気が緩むと出やすくなってしまうのです! 特に今は酔っておりますので……。このようなところで耳を出して誰かに見られたら……ッ」
「隠してやるから引っ付いてろ」
ヴァルトラムはビシュラの黒い耳にカプッと噛みついた。甘噛みされると何かが背筋を駆け上がってきて、ビシュラの口からは甘い声が漏れた。
ビシュラは思いがけない自分の声に真っ赤になって絶句した。ヴァルトラムはその顔を見てクックッと笑みを漏らした。
「ヤッ……離れてくださいッ」
「俺以外のヤツに耳を見られていいのか。酔い覚ましにここにいつ人が来てもおかしかねェぞ」
「~~……ッ」
ビシュラはヴァルトラムの胸板に額をつけた。
ビシュラにとって耳が露呈するのは最も避けたいことだった。そのようなことになるくらいなら、ヴァルトラムの傍にいるほうが余程よい。
「素直で可愛いヤツだ」
いつものヴァルトラムからは想像できないような台詞を、いつもと同じ顔でいつもと同じ調子で、サラリと言ってのけるのはやめてほしい。不意打ちで心臓が飛び出してしまいそうになる。
「そ、そのようなことを軽々しく仰有らないでください」
「俺が言うんだから黙って信じとけ」
――あなたは強くて酷い男だと誰もが言う……。
だけれどもわたしは、だからわたしは、こんな弱い自分よりもあなたのほうが信じられると思った。
「ご挨拶が遅くなりました。グローセノルデン大公」
「おお、トラジロとズィルベルナー。息災か」
「今宵はこのように盛大なパーティにお招きいただき誠に有り難うございます。僭越ながら、三本爪飛竜騎兵大隊を代表して御礼を申し上げます」
トラジロが恭しく謝辞を述べている隣で、ズィルベルナーは早くも天尊のほうへと身体を向けた。
「大隊長ぉ~~」
「何だ、鬱陶しい」
天尊はズィルベルナーをシッシッと邪険にした。
トラジロはズィルベルナーの足を爪先でゴスッと蹴った。
「大隊長に懐くのは挨拶を済ませてからになさい、ズィルベルナー」
「いい、いい、気にするな。コイツにそんなモン期待するだけ無駄だろ。図体だけデカくなって頭のなかはガキのまんまなんだからよ」
ヘルヴィンは天尊やズィルベルナーの性格、飛竜の大隊の事情まで理解してくれており、協力的で寛大。トラジロはこの御仁には心から感謝していた。貴族とはプライドの高い生き物であり、不敬な態度を取られたら大いに機嫌を損ねたって不思議ではない。
「大隊長~。緋姐見なかった? さっきから探してるけど見当たらねーんだよなー」
「緋ならさっき騎士団の若いのとテラスに出て行くのを見かけたぞ。今頃どっちかの部屋にでも潜りこんでるだろ」
「ええー! 今夜こそ俺が緋姐と🩷って思ってたのにぃッ」
ズィルベルナーは拳を握って悔しがった。
その横でトラジロは冷静に溜息を吐いた。
「諦めなさい、ズィルベルナー。貴男は緋姐の好みではないのですよ。今夜は緋姐ではなくメイドにお相手願いなさい。今時分から口説いて間に合うかは知りませんが」
「俺は緋姐がイイの!」
ズィルベルナーは白い歯列を剥き出しにしてトラジロにイーッして見せた。トラジロにはハッと一笑されたが。
それからアキラの前に移動し片膝を突いた。
「アキラちゃん~~」
「ハ、ハイ」
「今夜はアキラちゃんもめかしこんでてか~わいい~🩷 お姫様みたいだね」
莫迦みたいに率直な賛辞をペラペラと。トラジロはズィルベルナーを横目に見て呆れ顔。
「緋姐がいいと言った舌の根も乾かぬ内に、よくもそんなことをサラサラと言えますね」
「だって緋姐もビシュラちゃんもいねーんだもん。アキラちゃんに癒やしてもらうしかねーじゃん。あ~、やっぱ女の子はイイなー。キラキラだしいい匂いするし柔らかいし。存在そのものがヒーリング🩷」
ズィルベルナーはアキラの小さな手を持ち上げてスリスリと頬擦りした。
ガシッ、と天尊がズィルベルナーの額を真正面から掴んだ。握り潰さんほどギリッギリッと締め上げた。
「貴様には俺が見えんのか?」
「イダダダダダダッ!」
「二度と無断でアキラに触れるな。莫迦がうつる」
天尊は放り投げるようにズィルベルナーから手を離し、アキラを自分のほうへ抱き寄せた。
「大公の前で恥を晒すんじゃありませんよ、ズィルベルナー」
「少しは俺の心配してくれよッ」
ズィルベルナーは涙目でトラジロに抗議した。
トラジロはふとアキラへと目を遣り、或ることに気づいた。
「心なしか顔色が優れませんねお嬢さん。ズィルベルナーのレベルに合わせて話をするのは、さぞかしお疲れでしょう」
「お前なッ」とズィルベルナー。
天尊は「そんなことは」と否定するアキラの顔を覗きこんだ。先ほどは汗が浮き、今は顔色がやや白く見えた。
「本当にあまり顔色が良くないな。何かつらいか、アキラ」
「うん、ちょっとだけ……」
「ちょっとだけ何だ」
天尊は急に真剣なトーンになって真顔で尋ねた。
アキラは困ったような表情で笑顔を作った。天尊は自分の体調のこととなると大袈裟になる。
「コルセットするの初めてだから、ちょっと苦しくなってきちゃって」
それを聞くや否や、天尊はアキラの膝裏に腕を差し入れ、アキラを抱えて立ち上がった。
「ティエンッ?」
アキラは反射的にずり落ちないように慌てて天尊の衣服にしがみついた。
天尊はアキラを抱えてヘルヴィンの前へ行き、小さく会釈した。
ヘルヴィンは天尊が言い出しそうなことをすでに察しており、フラッと手を振った。
「俺たちは今夜はもう引ける。歓待に感謝する、ヘルヴィン」
アキラは天尊に抱えられたままどうにか体を捻ってヘルヴィンのほうへ顔を向けた。
「あ、あの、ごめんなさい。本当は途中で抜けたりしたくないんですけど気分がちょっと――」
「いいんだ、アキラ。謝るようなことじゃない」
「でも」
「大丈夫だ、ヘルヴィンもユリイーシャも分かっている」
ヘルヴィンはグラスを左右に揺らして笑った。
「何も気にするこたァねェ。身体を大事にな、嬢ちゃん」
天尊はアキラを抱えて颯爽と大広間をあとにした。
ヘルヴィンはテーブルの上に肘を突き、グラスの酒を飲み干した。
「あのティエンゾンに大事大事にされてるにしちゃひねくれてねェ、素直な嬢ちゃんだ。だからこそティエンゾンには似合わねェが」
「そのようなことを仰有らないで、お父様。アキラ様は本当に良いお嬢様なのよ」
「お前がそう言うならそうなんだろうが……ティエンゾンもまた面倒臭いのを選んだもんだ」
§ § § § §
天尊がアキラを連れて大広間から退出してからしばらく経った頃――――。
夜も更けて宴もたけなわ。軽快だった音楽はいつの間にか穏やかに奏で、まろやかな歌声と溶け合って空間に満ちる。笑い声や歌声混じりに酒を傾け、やや照明が落ちて薄暗くなった大広間のなかを光の玉がキラキラと動き回る。その光を浴びながらお気に入りの踊り子と踊る。
それらはすべてガラスの向こうの世界のこと。賑やかな空間とガラス一枚隔てられたテラスに、頬を赤くしたビシュラがいた。
テラスは静かだった。城の周辺には無人の雪原が広がり、ガラス一枚向こうの宴の光景とは別世界の静寂。
雪は降っていないが気温が低い。吐く息が微かに白くなる。火照った頬を冷ますには丁度よい。
(少し飲み過ぎました。普段からそんなに飲まないのに、ここのお酒美味しくて)
ビシュラは欄干に両手を突き、ふう、と息を吐いた。その直後、背後から声を掛けられた。
「こんなところで何してる」
振り返ってみると、想像どおりの声の主。軍服の袖を肘まで捲り上げ、片手には酒瓶。長い朱色の毛を揺らしてゆっくりと此方へ近づいてくる。重たい靴音が目の前で止まった。見上げるとフッとアルコールのにおいが漂った。
「歩兵長はダンスされないのですか?」
ヴァルトラムはクッと笑った。
「ンなモン俺ができると思うか」
それを聞いたビシュラは、ニコッと笑った。
「わたしもダンスはあまり得意ではないのです」
「学院じゃダンスは教えてくれなかったか」
「そのような授業はございませんよ。歩兵長は学院をどのような場所とお考えですか」
ビシュラはぷうと頬を膨らませた。
「それに、もしあったとしてもやっぱりわたしはダンスの成績は芳しくなかったと思います。体を動かすことはあまり得意ではないので……。テラスに出てきたのはダンスに誘われないため、というのもあるのです。せっかくのお誘いをあまりお断りするのも悪いですから」
「へえ。気の毒になるほど誘われたか」
「パーティで女性をダンスに誘うのは礼儀のようなものなのでしょう?」
「さァな。品のイイ連中のやることなんざ知らねェな」
ヴァルトラムは酒瓶に口を付けグイッと酒を呷った。
「で、俺よりイイ男はいたか?」
「歩兵長までそのようなことを仰有って。あれはフェイさんの冗談ですよ」
「冗談じゃねェ。フェイはとっくに男と消えた」
「えーッ⁉」
「オメエもそうするつもりだったんだろ?」
「そのようなことはいたしません!」
ビシュラは一歩前進してヴァルトラムとの距離を詰めた。
人一倍遠慮がちなビシュラが今日は妙に強気なのは、上等な酒に酔っているのかもしれない。
「フェイさんのプライベートを批難する気は毛頭ございませんが、わたしは異性と一晩だけ共にする関係は好みません。楽しい会話をし、お互いへの理解を深め、ふたりの時間を過ごして関係性を築いてからそういう行為に及ぶべきだと思います」
「そうしろと学院で教わったか」
「歩兵長~~」
ヴァルトラムは鼻先で嘲笑して揶揄い、ビシュラはむうっと頬を膨らませた。
「オメエのやり方はまどろっこしい。俺たちゃオメエほど時間がねェ」
「時間?」
「誰がいつおっ死ぬか、分かンねェからよ」
ヴァルトラムが冗談のように言ったそれは、真実だ。一度戦場に立てば、二度戻る保証はない。歴戦の勇士、飛竜の大隊であっても、魔物と畏怖されるヴァルトラムであっても。酒を酌み交わし語り合い、信頼や心を預けた相手さえ、必ず引き裂いてしまう事象、死。それに抗い否定する術など誰も持ってはいない。その絶対性と普遍性の前には弱者も強者も関係なく、均しく受け容れるしかない。
「死ぬなんて、仰有らないでください。歩兵長が死ぬなんて、有り得ません……」
「なんだそのツラ。死んだってオメエにゃ関係ねェだろ。恋人でもねェ男だもんなァ」
ビシュラはふるふるっと頭を左右に振った。
「それとこれとは話が別です。死ぬなんて言われて平気でいられません。もし、目の前で誰かが死にかけていたら、わたしは死なせない為の努力を惜しみません……ッ。わたしではお役に立てないかもしれませんが、それでも……大隊の誰かが死んでしまうのは……嫌です」
この身は懦弱にして貧弱、誇れるものの少ない身。周りを見渡しては己を恥じてばかりいる。しかし、与えられた役割を全身全霊で全うしたいと心から願っている。役割を果たすことで誰かが生き存えるなら、ようやく自身を誇れる気がする。
ヴァルトラムがふと見るとビシュラの肩にはぎゅうぎゅうに力が入っていた。
「ンなに気張ンな。弱っちいンだからよ。俺から見りゃオメエも他の野郎どももそう変わりゃしねェ。すぐにおっ死ぬクソ弱ェヤツらばっかだ」
ヴァルトラムは巨きく硬く迅く強い。実戦部隊・三本爪飛竜騎兵大隊においても、その実力は天尊以外には肩を並べようがないほど突出している。彼らから《魔物》と怖れられながら、カリスマ性を持ち崇められるヴァルトラム程の男にしてみれば、ビシュラもそれ以外も大差ない。
そうは言ってもビシュラが笑顔満面になることはなかった。
――「大隊長に張り合うぐらいだったら一言必要だって言ってやれ」――
晴れないビシュラの顔を眺めていると緋の言葉を思い出した。
ヴァルトラムには到底理解できない小心者の心根。嗚呼、何とも面倒臭いことだ。他者と比べて自分には何ができて何ができないなどと逐一分析して挙げ句、己を卑下して遮二無二働いていないと不安になるなど。余計なことは考えずに自分のしたいことだけをやればいいのに。
「だが、オメエはこの俺が連れてきた。必要ねェんだったら傍に置かねェ。余計なこたァ考えずにここにいろ。その内オメエのお陰で助かるヤツもいんだろ」
「本当にそう思われますか?」
「ああ」
「本当に……?」
ビシュラはまた一歩ヴァルトラムに近づいた。もう身体と身体がぶつかりそうなほど近いのに、距離感が可笑しくなっていることにまだ気づいていない。
「嘘なんざつくかよ、面倒臭ェ」
確かにビシュラが知るk限り、この男が嘘や世辞を口にしたことはない。時と場合、相手に関わらず過ぎるほどに正直者だ。たかだかビシュラ相手に気を遣って己を偽り嘘を吐くなどするはずがない。
今度はヴァルトラムのほうからビシュラへ近づいた。
「ピアスは気に入ったか?」
ヴァルトラムはビシュラの耳、翠玉の石に指で触れた。触れられるとツキン、と鋭い痛みが走り、ビシュラはそれに耐えた。
「えッ、ええ、とても。このような高価な物をいただいて本当によろしいのですか?」
「いいに決まってんだろ。オメエが要らなきゃ捨てる」
ビシュラは心のなかで、やはり、と思った。
そろりと目線を上げてみると、気づかれないようにしたはずなのにヴァルトラムと目が合った。至近距離で真っ直ぐに見詰められているのだと自覚して、突然我に返って顔が熱くなった。
ビシュラは頬を両手で押さえて俯いた。ヴァルトラムのズボンが視界に入った。厚手の漆黒の生地に鮮やかな縦ライン。ズボンと同じ色、漆黒の詰め襟に今紫の飾緒、瑠璃色のマント。胸には数多の勲章。――――それが軍服姿のヴァルトラム。
自身の鼓動に嘘は吐けない。胸がこれほど高鳴るのは、頬が熱いのは、軍服に身を包んだヴァルトラムが目の前にいるからだ。ビシュラにとってこの装いのヴァルトラムは特別だ。ビシュラを迎えに来た日、ビシュラの世界を一変させた日、あの日もこの装いだったから。
「歩兵長は……」
ビシュラが何かを言いかけるとヴァルトラムが腰を折って顔を近づけてきた。目がとても近くにあるだろうから顔を上げられなかった。目が合ったら余計に顔が赤くなってしまうだろう。
「オメエは仕事中に酒を飲むのか? 今は〝歩兵長〟じゃねェだろ」
「ヴァ、ヴァリイさまは……どうしてわたしにピアスをくださったのですか?」
「オメエに似合うと思ったからだ」
「わたしのような者には身に余ります……」
ヴァルトラムはビシュラの腰に腕を回してグイッと引き寄せた。
「オメエはすぐに下を向きやがる。ちったあ堂々とできねェのか。この俺が選んだんだ、オメエはなかなかイイ女だぜェ、ビシュラ」
ビシュラはヴァルトラムの腕力に抗うことはできなかった。身動きができないまま顎を固定され、為す術もないままに唇に吸いつかれた。
「んッ、んん……ッ」
途端にアルコールの匂いが強くなった。自分も酒を飲んでいるのにヴァルトラムの匂いの所為でさらに酔ってしまいそう。頭がくらくらして目が眩む。このままではダメだと意思を強く保とうとするが酔いが、それの邪魔をした。このまま身を委ねてしまいたい思いが半分と、誰がいつやってくるかもしれないこのような場で好きにされたくないという思いが半分。
一瞬唇が離れた隙を突き、ビシュラは素早く顔を背けた。
「ヴァリイさま、もうこれでやめッ……」
「黙れ」
ビシュラの阻もうとした手は掴み取られ、腰に回された腕に力が入った。
強く抱き締められると厭が応にも胸が高鳴った。この強い男に求められていると思うと心臓が応じてしまうのは、意志の力ではどうしようもない本能だ。
「もうダメなんですってば……ッ」
ピンッ、とビシュラの頭部から黒い耳が立ち上がった。ビシュラは顔をかあっと赤くして下を向いた。
ヴァルトラムはその耳を見て、クカカッと笑った。それに反応して長い耳がピクピクと機敏に動いた。
「オメエもその気じゃねェか」
「これはそういう合図ではありません! 気が緩むと出やすくなってしまうのです! 特に今は酔っておりますので……。このようなところで耳を出して誰かに見られたら……ッ」
「隠してやるから引っ付いてろ」
ヴァルトラムはビシュラの黒い耳にカプッと噛みついた。甘噛みされると何かが背筋を駆け上がってきて、ビシュラの口からは甘い声が漏れた。
ビシュラは思いがけない自分の声に真っ赤になって絶句した。ヴァルトラムはその顔を見てクックッと笑みを漏らした。
「ヤッ……離れてくださいッ」
「俺以外のヤツに耳を見られていいのか。酔い覚ましにここにいつ人が来てもおかしかねェぞ」
「~~……ッ」
ビシュラはヴァルトラムの胸板に額をつけた。
ビシュラにとって耳が露呈するのは最も避けたいことだった。そのようなことになるくらいなら、ヴァルトラムの傍にいるほうが余程よい。
「素直で可愛いヤツだ」
いつものヴァルトラムからは想像できないような台詞を、いつもと同じ顔でいつもと同じ調子で、サラリと言ってのけるのはやめてほしい。不意打ちで心臓が飛び出してしまいそうになる。
「そ、そのようなことを軽々しく仰有らないでください」
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