13 / 22
第十二話 コア解放
しおりを挟むヴァルキュラ黒狼騎士杯一回戦第四試合は怒涛の弾幕戦が繰り広げられていた。
優勝候補と名高い【不死の黄金鳥】のリーダー、カエ・フレイヤは虚空に拳大の火球を無数に生み出し、相対する敵へと打ち続けていた。
対するチャレンジャーである【エヴォル】のビーは、カエが飛ばしてくる火球のことごとくを自らの拳から放った火球で撃ち落としていった。
そんなビーは目を爛々と輝かせながら叫んだ。
「いいねぇ!だいぶ打てるじゃねえか!」
「あ、貴方に、言われたく、はありません!ハッ!」
息を絶え絶えにしながらも、カエは先ほどと同様の巨大火球を撃ち出した。
だがその火球は砂塵を巻き上げながら小さな爆発が起こっただけにとどまった。
「くぅ…!」
カエはその爆風に煽られながら焦燥に駆られた。
(あれだけの弾幕を全部捌かれた…このままじゃジリ貧…どうする…?)
「…打ち止めか?なら今度は」
カエが思考にふけかかった瞬間、砂塵の奥から背筋が凍るほどの熱量が膨れ上がった。
「俺の番だ!」
そう叫びながらビーは中段への前蹴りを放ち、超近距離格闘戦へと運んだ。
カエの焦燥感を加速させていった。
一方、他の対戦も【エヴォル】陣営が圧倒していた。
「せいっ!やっ!はっ!」
「くっ!」
リア対ティータ。
太刀と短剣という圧倒的なリーチの差と、小手先の鋭さをもつリアの剣士としての腕がティータを苦しめていた。
「あの長さで、この速さじゃ!厳しいな!」
そう言いながらティータは体制を整えるためにバックステップで距離をとった。
リアはティータが離れていくのを目で追いながら、その場で構え直した。
「ふー…」
「やりづらいなぁ…シフさんと代われればいいんだけど」
ティータが横目でちらりと仲間を確認しようとした瞬間、その隙きを逃さずリアが動いた。
目にも止まらぬ速さでリアが太刀の間合いまで一足飛びに踏み込んできたのだった。
そしてその凶刃はティータののど元へと一直線に突かれた。
「!?」
あわや必殺の一突きにも思えたが、ティータはとっさに口から針をリアの顔面へ飛ばし、牽制した。
「っ!?」
まさかの攻撃に面食らったリアは突こうとしていた刀を引き戻し、すべての針を打ち払った。
押せ押せだったリアはその針の攻撃から警戒度をぐっと高め、一度間合いの外まで完全に離れたのだった。
こうして、ティータがとったとっさの牽制は成功した。
だが、
(距離を取れたとはいえ有効打はない…アレが使えればいいんだが…)
実はあの針攻撃は強襲用の攻撃手段のため、面と向かった実戦ではさきほど同様、落とされる上に決定力を持っていなかったのだ。
そのため今のティータは、リアの刀よりリーチの短い短剣と飛距離はあるものの威力の小さい針攻撃の手札しかなかった。
このあとどうするかを決めかねていると、近距離格闘戦をビーに仕掛けられるカエの姿が横目にちらりと映った。
その瞬間にカッと頭に血が上るのをティータは感じたのだった。
「カエちゃん…!時間の問題か!」
焦りは積もるが、両者ともに押すことも引くこともできず、リアとティータはにらみ合いを始める他なかった。
一方、シア対シフは少し変わった様相になっていた。
リズミカルに氷の長棒で盾を叩き、ところどころで氷の息吹を放つリアに、それを難なく受け続け、時たま盾で弾く動きをするシフ。
そんな二人はまるで型の練習を行なっているようにも見えた。
「やりづらいなぁ!」
リアの攻撃はそこそこの強さだったが、シフが盾で弾こうとするとどういうわけか弾ききれずにたたらを踏むことが多かったのだ。
自分の動きがうまく行かないことにシフはひどくいらだった。
「これで。ヒュゥゥゥゥ」
「またこれか!」
またもや氷の息吹を吹きかけられ、息吹自体は盾で防いだものの視界がすべて覆われた。
この繰り返される行動にシフはふと違和感を感じた。
(目隠しのような攻撃の割に次手で勝負を決めに来るわけでもない。いったい目的はなんなんだ?)
通常の戦闘で視界を遮るのならば、その次手は必殺の一撃が放たれるはずなのだが、シアの場合は決まって息吹後の攻撃が完全に止むのだ。
そのとき、シフの後方で一陣の風が吹いた。
その風はシアの予定を打ち崩し、シフたちの追い風となる。
(先に後ろが晴れそうか…!?)
後方で風を感じたシフは状況確認のためにガードを固めつつ軽く振り向いた。
すると霧が晴れ始めると少し離れた場所でビーに近距離戦闘を仕掛けられているカエの姿が見えた。
その光景が見えた瞬間、シフの頭の中で何かがキチリとはめ込まれる音が響いた。
なぜ、単調ながら絶妙な力加減でシフの相手をしていたのか。
なぜ、目隠しのような攻撃を何度も仕掛けてきたのか。
なぜ、息吹のあとになんの攻撃もしてこなかったのか。
「そうか!完全分断で火力役からの撃破狙いか!」
それは盾持ちとしての役目を引き付けるため。
それは状況確認を遮るため。
それは少しの風圧で霧を飛ばさないため。
それもすべて、【不死の黄金鳥】唯一の遠距離火力持ちであるカエをビーが単独撃破するための布石だったのだ。
だが、それに気づかれたシアは至って平然としていた。
「おや?バレましたか」
「そうとわかれば貴女と打ち合ってる暇はない!ティータくん!」
少しの違和感を残しつつ、シフは仲間の名前を呼んだ。
呼ばれたティータはリアとのにらみ合いを続けつつ、ピクリと反応を示した。
それを確認することもなく、シフは言葉を続けて叫んだ。
「解放するよ!」
その声がティータに届くとティータは口角を上げ、水を得た魚のような表情になった。
「…!了解!」
そしてシフとティータはまるでタイミングを合わせたかのように声を揃え、叫んだ。
「「コア!解放!」」
そう叫ぶと二人は体から光る粒子のような何かを吹き出した。
その粒子は二人の体をそれぞれ包むと装備を変異させていった。
変異した姿を目の当たりにしたシアは声を漏らした。
「その姿は…」
「…ふう。まだ中途半端な格好だけど、ここをしのぐぐらいならこれで十分だ」
持っていた盾は二つに分離し、人の体よりも長い二本の斧へと変化した。
シフ自体の鎧も胴体や足の軽鎧はそのままに腕部分だけが重鎧のものに変わっており、かなり不格好な姿になった。
だが、シフはそんな姿の印象すらもくつがえす攻撃を繰り出した。
「ハァ!!!」
「!?」
シフの掛け声とともに左手に持つ斧を勢いよく振りかぶり、シアに向けて振り落とした。
シアは少しでも意識を逸らそうと氷のつぶてを作り、飛ばした。
だが、シフは盾持ちだったのにも関わらず、つぶてをその身に受けつつ、そのまた斧を振り落とした。
「盾持ちがノーガード戦法ってありなの!?くっ!?」
恨み言を言いながら、シアは氷の小さな盾を作り出し、斧の軌道を変えた。
軌道を変えられた斧はそのままシアの足元に突き刺さったが、このときシアは失念していた。
シフが斧を両手に一本ずつ持っていたことを。
「これで!」
「ぐぅぅ…!」
そのことにシアが気づいたときにはシフが右手に持った斧はシアの脇腹に吸い込まれていた。
斧の直撃を受けたシアは体をくの字に曲げ、吹き飛ばされたのだった。
「…カエちゃん!」
砂埃をあげながら地面に叩きつけられたシアを確認することなくシフはチームのリーダーを救うべく行動を開始した。
同様の変化が起きたリア対ティータの戦いも一変していた。
「何度やっても…!攻撃が弾かれる…!」
「あんたみたいな速さ思考の剣士にはちょうどよかったな!」
シフと同様に光の粒子に包まれたティータは全身に槍の穂先ほどの針を全身に生やしていた。
それはかなりの硬度を持った針のようで、リアの斬撃を一切通していなかったのだ。
するとシフが相手を倒し、カエのもとへ向かう姿が横目に見えた。
(シフさんが動いた!なら!)
ティータも決めにかかろうとリアの斬撃を受けながら息を吸い、貯めた。
吸った息とともに、先ほどの針攻撃を今度はマシンガン並みの連射で撃ち放った。
「さっきより多い!」
リアもかなりギョッとした様子で驚いていたが、今度は鞘も使い、距離を取りながらすべて外すことに成功した。
だが距離を開けたことが仇となる。
「これもおまけだ、とっときな」
そう言いながらティータは背中の針山から一本取り出し、そのままリアに投てきした。
「いまさらそんな一本ばかり!」
何も問題ないと言わんばかりに勢いよくその一本の針を叩き切ったリアだったが、それを見た瞬間にティータはにやりと口角を上げ、針を投げた手を前に突き出した。
「…それだけじゃないんだよ」
「うぇ!?」
そう言いながら突き出した手を握り込むと、次の瞬間リアの体を何かが縛り上げた。
当のリアは突然のことに素っ頓狂な声を上げながら前のめりに倒れ込んだ。
「う、動けない…!」
完全に拘束されたリアはもぞもぞともがくも、抜け出せる隙間はなかった。
「あんたの始末は後回しだ。それまで転がってろ」
「ま、待てぇー!」
ティータは踵を返すと、呼び止めようとするリアの声に反応することなく、カエのもとへと走り出した。
その件のカエだが、息も絶え絶えになりながらも、なんとかビーの攻撃を避けていた。
そんなカエを煽るようにビーは話しかけた。
「どうしたどうした!もうへばったか!」
「こ、の、程度!…きゃっ!?」
カエの体力は限界を迎えていた。
足をもつれさせ転ぶと、体は言うことを聞かず、立ち上がることすら拒否してきた。
血の気が一気に引くのをカエは感じたのだった。
それを見逃すビーではなく、目を輝かせながら前蹴りを放とうとした。
「もらった!」
「させるかぁぁぁぁあ!」
「おっと!」
後ろから大声を出しながらシフが長斧を振り下ろしてきた。
声に反応したビーはシフを一瞥すると横に飛び退いた。
「おいおい、不意打ちならもっと静かに殺るもんだろ…ん?」
少し呆れながら話すビーだったが、ふと背後に気配を感じ、振り向いた。
そこには針攻撃を打つ状態になっているティータと目があった。
「こっちが本命だったか!だけどなぁ!」
「ちっ」
ティータと目があった瞬間、ビーは火球を飛ばし、牽制した。
針を飛ばすよりも速い火球に、用意していた針を飲み込み、回避に移行した。
回避しつつもティータは背中の針を一本、火球とは違う軌道でビーの足元へ投げた。
今度は後ろに飛び退きながら、ビーが避けるとその隙きに、シフがカエとの間に立ちふさがれた。
「…ちっと下がるか」
シフとティータがカエのもとに到着し、数的不利を感じたビーは二人を警戒しながら一歩二歩と後退し、お互いの間合いの範囲外まで離れた。
「…カエちゃん、遅れてごめん。大丈夫?」
「チー、タ…シフ、さん…私」
「謝るのはあとだよ」
ビーが完全に離れたのを確認するとティータはカエに駆け寄った。
落ち着かせるために声をかけるティータだったが、カエは肩で息をしている状態で何かを伝えようとした。
その何かを察するとシフは少し怒ったように言い放った。
「悪いけどあなたの思い通りにはさせませんよ」
「…見た目が変わったと思ったら雰囲気までずいぶんと変わったもんだ」
どうしたもんかと頭をかいていたビーは少し考え込んでから叫んだ。
「…おい、シアリア!いつまで休んでんだよ。プランツーだ」
そうぶっきらぼうに叫ぶと、ビーの後方で倒れ込んでいた二つの影が動いた。
「…結構重いのもらって痛いんですけど」
「もうちょっと!むむむ…えい!あっ切れた!」
方や平然と服についた砂埃を落としながら。
方や巻き付いた糸状のものを切り落としながら。
動き出す二人に、さきほどまで戦っていたシフとティータは絶句した。
「そんな…」
「…先に処理しとくべきだったか」
方や会心の一撃を決めて、戦闘不能にさせていたと思い込み。
方や切れないと自慢の糸をあっさりと断ち切られ。
失意の中、【不死の黄金鳥】の数的有利はなくなった。
「さーて…場は温まった。第二ラウンドといこうか」
真面目な顔をしながらカエたちのことをまっすぐと見つめるビーに対する三人は戦慄した。
波乱の一回戦第四試合はまだ続く。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる