セブンスセブンデイズー男女七人異世界探訪ー

なぽれおんEX

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第十五話 集結ーヴァルキュア陣営ー

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そして時は進み、ここはヴァルキュア城の会議室。
先ほどまで現状の報告を行なっていたヴァルキュア城のトップたちが、空間に投影されたホログラムのような姿になっているネクス・ハシャックの報告を受けていた。

『以上が主審、ガウス・デイガーの報告になります』
「ふむ…」

その報告を受けたクルフォルトは思案気な表情を浮かべながら、手をあごに当てた。
幾ばくか考え込むまま、クルフォルトはたずねた。

「ステラ。お前はどう見る?」

クルフォルトはステラに言葉足らずの問いをした。
ステラはその問いにすんなりと応えてみせた。

「ボクが今の報告を聞いている限り、ガウスさんの裏切りの線は薄いと思ってます」
「その根拠は?」

食い下がるクルフォルトに少し面食らいながらも、ステラは言葉を考えると話し始めた。

「…そう考えられる理由を挙げるとするならば、まず、なぜ会場に壁を造り出したのか、これを解き明かすのが先ですね」
「ほう?」

クルフォルトは興味深そうに目を輝かせた。
ステラは続けた。

「もし【エヴォル】が不正を行なうなら、一番目隠しが必要な審判団に施すはず。だがそれをせず、彼らは観客に向けて壁を造り、審判団にしか見えないようにした…なぜか」

そこまで言うとステラはネクスに確認した。

「ちなみにハシャック様、他の審判員はなんと?」
『他の審判員も概ね同じ話をしていたな』

ネクスは報告を受けていた内容を話した。
それを確認できたステラはやはり、と確信を持ち、話を続けた。

「ありがとうございます…話を戻すと、次点で目隠しが必要なものは観客になります。ですが、彼らが不正を行なうためにガウスさんを丸め込んだんだと仮定するなら、他の審判員も巻き込んで隔離するのは話が食い違う可能性が出てくるため悪手中の悪手。じゃあ審判員全員とズブズブなのかとも考えられますが…それにしては報告に違和感がある」
「違和感?」

ステラの論述を聞いていたシィーカが復唱した。

「はい。どこからも【エヴォル】が得をするような話が出ていないんです」
「たしかにそうだな」

その答えを聞き、クルフォルトは頷きながら同意した。
たしかにネクスからの報告には"裏を返せばこういうこと"といったものは感じられず、エヴォルが得をするような話も入ってはいなかった。
見落としがあるのかもしれませんが、と前置きをしつつ、ステラは結論を言った。

「だからこそ、ガウスさんの裏切りは考えられないといったところです。付け加えると…」
「まだあるのか」

話が続くと思っていなかったのか、隣で静かに聞いていたガイが思わず言葉を漏らした。

「いえ…これはただの予測なんですが、彼らの狙いは自分の力を見せつけることにあったのではないかと感じるんですよ」
『…君もか』
「ハシャック様も?」

ステラの付け加えた話に同調しながら、ネクスは話し始めた。

『あぁ…まぁ彼らの狙いがどうあれ騎士杯での目下の問題は彼らが起こしたコアの顕現に集約されています』
「コアの顕現…。シャモラ、これに関連する報告は過去に何かあったか?」

ネクスから話を進めるように促されたクルフォルトは、コア研究を行なっているシャモラに聞いた。
だが、シャモラは肩をすくめた。

「いえ。そのような興味深いことがあれば、すぐさま陛下のところへ持参しております」
「お前のことだ。そうだろうな」

クルフォルトはくつくつと笑いながらシャモラの否定を受け入れた。
実状、たしかにそういった報告はクルフォルトに来ていなかったからだ。
そんなやりとりをしているとノワーゼ老師が口をはさんだ。

「…二人ともお戯れはそこまでに。現状はわからないことはわからないことと置くとして、騎士杯については観客達に誠意を見せるため、何らかの対処ができるようにしておかねばなりますまい」
「いや、すまないな。ノワーゼ老師の言うとおりだ。ちなみに騎士杯運営としてはどんな対応を取るつもりなんだ?」

ノワーゼ老師にそう諌められると、クルフォルトはネクスに確認した。

『…こちらとしては、今回は不正なしとして、厳重注意に留めようと考えています』
「なるほど。たしかに観客から見えていなかっただけで、事実、不正自体はなかったわけだからな。妥当は妥当か」

今回の件に関し、騎士杯運営は特にお咎めなし、だが次はないといった形での決着を目指していた。

「じゃあそっちの対応はその通りに。ネクス頼んだ」
『かしこまりました』

そうクルフォルトから指示を出されるとネクスは一礼した。
騎士杯の問題に関してはとりあえずの終着が見えたため、クルフォルトは次の話題へ移した。

「まだコア顕現のほうは残っているとはいえ、あとの問題は城襲撃のことか」
『…城襲撃?』
「…それがな?」

クルフォルトはその時の状況を掻い摘んでネクスに説明した。
話が進んでいくと、みるみるうちに鬼が出来上がっていた。
そして、雷は落ちた。

『なんたる失態か…!中枢トップ戦力の頭数を揃えておきながら不届き者の侵入を許した上に、お守りすべき姫君すらも悠々と攫われるとは…ガイ!!』
「んぐっ!?」

悲惨なことに避雷針はガイに決まり、ネクスの激昂が容赦なく降り注いだ。

『貴様の役職はなんだ!?親衛隊長たる貴様がいながらこのようなオチとは!如何様にして責任を取るつもりだ!!』
「…申し訳ない」

今のネクス自身は実態のないただの虚像だが、その言葉には相当な重さが伴っていた。
そしてそれを受けたガイは非を認め、目を伏せながら謝罪した。
その様子を見ていたクルフォルトがネクスの静止に入った。

「落ち着いてくれ、ネクス。それなら部下をうまく動かせなかった俺の責任でもある」
『ですが陛下…!』
「それにあの姫君ならばまた取り返せばいい。尻尾は掴んでいる。…ジーナ」
「…お側に」

クルフォルトが名前を呼ぶとまるで最初からそこに居たかのように小柄な黒装束のジーナという人物が忽然と現れ、ひざまずいた。
ジーナが現れたのを確認すると、クルフォルトはそちらに顔を向けると話しかけた。

「お前が戻ったということは調べはついたんだな?」
「こちらに」

どこから取り出したのか、ジーナは一枚の用紙をクルフォルトに手渡した。
クルフォルトが受け取ったのを確認するとジーナはスクリと立ち上がり、その場の全員を見据えた。

「他の方のお手元にもご用意いたしました」

ジーナがそう言うといつの間に置いたのか、それぞれの席の前にクルフォルトに手渡された用紙が置かれていた。
その場の全員が用紙を確認するのを見計らってネクスに話しかけた。

「ハシャック様には部下の方に同じものを渡しておりますのでそちらをお受け取りください」
『なに?…ん?これか』

そう言われるとネクスは部下から差し出された用紙を横目で確認し、受け取った。
ネクスも受け取ったのを確認すると、ジーナはその報告書を読み上げ始めた。

「目標は城脱出後、都市ヴァルキュア方面へ我々、カゲロウ部隊の捕捉可能程度で逃走。そして都市ヴァルキュアの城壁付近に到着後、一人の人物と合流し、消失。恐らく都市部に侵入したものと思われます」
「消失?」

気になる単語にステラは反応した。

「はい。追跡担当からは闇に溶け込むように消えていったと報告があります」

ステラはその報告に引っかかりを覚えた。
もしや繋がっているのではないかと。
答えを予測しながらもステラはジーナに聞いた。

「…そのときコア反応はありましたか?」
「報告では何も反応はなくただ突然に、ということでした」

その答えが帰ってきた瞬間にその場にいた全員がピクリと反応した。
あまりにもタイミングが良すぎる報告にネクスは苦々しく声を漏らした。

『…【エヴォル】か』
「偶然と言うには出来すぎてますね」

あまりの偶然にステラも苦笑してしまった。
そして報告が出揃ったことでクルフォルトはまとめようと動いた。

「皆の察しのとおりだろう。今回の件、事のタイミングといい、先の【エヴォル】との共通点があまりにも大きい」
「じゃあ先にエヴォルを叩くか?」

話の内容を聞いたガイは確認した。
だがクルフォルトは首を横に振った。

「いやそっちは後回しでいいだろう。理由はどうあれ、"約束の日"に直接関わってくる問題でもないだろうからな」

ノワーゼ老師がまとめを促した。

「では…?」
「優先すべきは姫君の奪還、及び安全の確保だ。奪還の際、連中と衝突する可能性は大いにあるが、現状エヴォルに関しては調査を続けつつ、警戒するに留めておこう」
『警戒中、彼奴らに何かしら大きな動きがあればいかがなさいますか?』

ネクスがもしもの場合を想定した場合の対処を確認すると、それに対しクルフォルトは、一拍置いてから説明した。

「内容と場合によりけりだが、そのときには叩く。俺自ら動くとしよう」

その言葉に部屋がざわついた。
クルフォルトの返答にネクスは少しだけ声を荒げた。

『陛下自ら…!』
「それが一番の抑止力になる。それに遅かれ早かれ都には向かうんだ。騎士杯を対応するための入都が少し早まっただけだと考えればどうということはない」
「それでは城を空けることになりますが、配置はいかがなさいますか?」

ノワーゼ老師がそう確認すると予め配置を考えていたのか、クルフォルトは指示を飛ばした。

「最後の話がそれだ。まず、城残留は城の守りを固めるべく、ノワーゼとシィーカ、シャモラの三人とステラも残ってくれ。他は俺とともに入都し、向こうに一時的な拠点を構築する」
「あれ?ボクも居残りでいいんですか?」

頭脳役として同行するものだと考えていたステラが疑問を口にした。
クルフォルトは問題ないと答えた。

「構わん。むしろお前の超兵器を奪われるわけにはいかないからな」
「…彼らがまたここに戻ると?」

ステラが表情を険しくしながら反応した。
二度目の襲撃は警戒度も跳ね上がり、普通であれば考えられないことではあった。
エヴォルの目的が見えない以上、あらゆる可能性を残しておくべきとクルフォルトは考えていた。

「根拠はない。だが、備えておくに越したことはないだろう」

そしてクルフォルトは少し意地悪げな笑顔になりながら続けた。

「それにお前が一番速度を出せるからな。何かあったときの即応便だ」
「…それじゃいつも通りただの便利屋じゃないですか!」

そう言われたステラは一瞬きょとんとしたあと、意味を理解し、顔を真っ赤にしながら抗議した。
その反応を見たクルフォルトは声を出して満足そうに笑った。
ひとしきり笑った後、そのまま続けた。

「いや、笑ってしまってすまない。だがお前の力がこういうときに一番頼りになるんだ。頼んだぞ」
「うぐぅ…わかりました!!」

クルフォルトから自信満々に真っ直ぐと言われたステラは完全に怒りを忘れたが、精一杯の反抗とそっぽを向いて怒鳴った。
そんなやりとりに部屋中が穏やかな空気に変わった。

「ネクスは受け入れの用意と【エヴォル】の詳細を探ってくれ」
『承知いたしました』

そのあと、ネクスにも役割を振ったクルフォルトに対し、毒気を抜かれたネクスがため息混じりに了承した。
クルフォルトは続けた。

「他は俺とともに入都だ。各々の役割や詳細に関しては追って連絡する」

そこまで言い終えるとクルフォルトは顔を引き締めながら立ち上がった。
何をするのか気がついた面々はそれに合わせ、起立した。
全員が立ち上がるのを確認するとクルフォルトは解散を宣言した。

「…ひとまずのやるべきことは見えた。この場は一時解散としよう。各々の支度に取りかかれ」
「はっ!」

クルフォルトとメイドを除く全員が敬礼した。
その姿を見届けるとクルフォルトはマントをひるがえし、後方の扉へと向かった。
後ろに最初から控えていたメイドも一礼するとクルフォルトに追従した。
こうしてこの世界の最高戦力が動き出した。
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