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第1章 日本
08. 君が僕を知った ~僕は僕を知らない~
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赤築灯雪。
同じ小学校に通う、小学3年生。
彼が入学した時は、その人目を惹く容姿や財閥の家の子という話も相まって、あらゆる憶測と共に保護者を中心にしてあっという間に噂が広まった。
彼を知らない者なんて、この学校にはいないだろう。
クラスが違ったのもあるけど、僕はみんなより彼に気付くのが遅かったようだ。
最初はその字面から知った。
廊下に貼り出されていた書き初め。
今となっては、なんと書かれていたかは覚えていないけれど、その端っこにひらがなで書かれた『しゃずき ともゆき』という名前に僕は興味を持った。
『しゃずき』というあまり聞き慣れない苗字に、どんな漢字を書くのだろうという、ごく単純な疑問からだ。
彼の事を知るのはそんなに難しいことではなかった。
ふと耳を澄ませてみれば、クラスメイトの女子はいつだって彼の話で持ち切りなのだ。
彼女たちに聞いてみれば、欲しかった答えの10倍の情報が返ってくる。
素晴らしい諜報活動だと思うが、その信憑性には怪しい所も多い・・・。
『赤築』 『灯雪』
初めてその字を知った時、僕は違和感を覚えた。
最初に受ける漢字のイメージと、後に続く名前のイメージがかけ離れていてしっくりこないのだ。
どこか禍々しさすら感じるその苗字に、容姿も相まってか、淡く光る無垢な雪を連想させるその名前が、どうしても両極端に思えてしょうがない。
とは言っても、苗字も名前も自分で選んだ訳ではないだろうし、特に苗字なんて選り好みできるものではない。
僕がどうこう思ったところで、何にもならない。
だからどうした、というものだ。
「・・・・・。」
大豪邸のエントランス。
僕は今、灯雪くんの家で幼児に睨まれていた。
なぜそんな流れになったかというと、簡単に言えば僕が間抜けであるからだ。
あの後、灯雪くんはこんこんと少年たちを説き伏せていたのだが、僕は突然すっとんきょうな声を出していた。
今朝あれだけ言われていたのに、家の鍵を持って来るのを忘れたからだ。
今日は夕方まで家族みんな出かけている。
鍵を持っていくのを忘れないようにと、お母さんに散々言われていた事を思い出したのだ。
僕の「あっ!」という声に、呆気にとられる灯雪くんたち。
事情を聞いた少年たちは「何やってんだよ」「馬鹿だな」と口々に言っていたが、そんな時灯雪くんが言ったのだ。
「じゃあ、うち来るか?」って。
もちろん断った。
僕はそこまでおこがましくない。
でも、灯雪くんが少年たちにも「お前らも来いよ。一緒に遊ぼうぜ。」というと、彼らは「行く行く!」と二つ返事で答えた。
何だか面白くない。
そんなこんなで、「遠慮すんな」と灯雪くんに連れて来てもらった僕は、今に至る訳である。
少年たちは、一度家に帰って昼を済ませてから集合することになっていた。
そしてどういう訳か僕は、灯雪くんに弟だと紹介された男の子から、半眼で凝視されている。
「こ・・・、こんにちは~幸希・・くん?」
都心の一等地に建つ、広大な敷地の重厚感ある邸宅に圧倒されていたのも束の間、廊下の奥から駆けて来た幸希くんが、「兄さんおかえりっ!」と無邪気に灯雪くんに抱きついた。
3、4歳ぐらいだろうか。
まだ幼いながらも、きりりとした知性的な容姿は、間違いなく将来イケメンに育つ事が約束されている。
自分にも3つ下の弟がいるが、こんな風に熱烈に迎えられたことはない。
なんて可愛い弟だろう、さすが灯雪くんの弟である。
そう思っていたのだが、どういう訳か僕に向けられる表情は冷ややかだ。
「・・・兄さん・・また変なの拾って来て・・、こんな小汚いのうちじゃ飼えないよ。元いたところに返して来てもらお?ね?」
あれ?いま、可愛い幸希くんから、ものすごい人権を侵害する言葉が聞こえたような・・・。
いや・・・実際全身泥まみれな訳で、幸希くんが嫌がるのも当然なんだけど。
「こんな小汚いの」と僕を見て言う幸希くんは、次の瞬間には甘えた表情で灯雪くんに話しかけている。
まるで餌をねだる猫のようだ、などと呑気に考えていると灯雪くんが顔をしかめる。
「バカッ、なんてこと言うんだよっ。こいつは俺の友達だ、失礼な事言うな。ほら、ちゃんと謝れ。」
「友達」と言う言葉に感動して、一瞬思考が止まる。
さっき会ったばかりのこんな情けない僕を、友達などと言っても良いのだろうか?
僕が良いやつとも限らないのに家にまで上げて・・・いつか悪い奴に騙されはしないかと心配になってくる。
「・・・ごめんなさい」
蔑んだ視線で、しおらしい声の謝罪を受けたのは初めての経験だった。
随分器用な事をする子だ。
「そういえばお前、名前なんて言うんだ?」
弟の頭を撫でていた灯雪くんが、ついでとばかりにぞんざいに聞いてくる。
友達と言いながら名前すら知らないという兄に、さすがの弟も呆れた表情をしていた。
僕がいうのも何だが、灯雪くんは相当マイペースな性格をしているようだ。
「猛・・・大貫猛って言うんだ。」
「猛か、来いよ。俺の部屋二階なんだ。」
そう言って、さっさと階段を上っていく灯雪くん。
ちょっと拗ねた表情をした弟は習い事があるようで、使用人らしき人と渋渋去って行った。
やっぱり可愛いなと微笑ましく思う。
階段を上りきった灯雪くんが、二階から声を掛ける。
「早く来いよ。何してんだ?」
こんな立派な豪邸に、泥まみれの自分が上がり込んで良いのだろうかと躊躇してしまう。
「僕、汚れてるからここで良いよ。」
たまらずそう言うと、灯雪くんが首をかしげる。
「汚れてる?ハハ・・お前面白いなぁ。」
何も面白い事は言っていない。
大丈夫だろうか灯雪くん・・・。
「よく見ろよ。お前と俺いい勝負だぜ?」
そう言われて改めて見ると、確かに灯雪くんは全身土で汚れていた。
「さっきまで用務員のおじちゃんと花壇弄ってたからな・・・、一応外で払って来てはいるけど、今朝雨だっただろ?泥がついちまってよ。」
何で気付かなかったのだろう。
自分でも不思議だ。
多分、灯雪くん自身があまりに清廉としているから、服の汚れなんかに目がいかなかったのだろう。
灯雪くんならボロ切れ着てても美しいと思う。
「猛ってなんか、可愛いな。」
・・・・・。
突然、灯雪くんが微笑んで、おかしな事を言い出した。
いやいや、そんな事言われた事ないし、君の方が何兆倍、何京倍・・・もう比べるのもおこがましい程可愛いよ!
そう思うのに、体がカッと熱くなるのを止められない。
「来いよ、俺の服貸すから。」
ちょっと困ったように笑う灯雪くん。
その顔を見ながら、胸の鼓動がドキドキと高鳴っているのを自覚する。
何だろう・・・この感じは?
まるで世界が躍動しているようだ。
初めての感情に頭がついていかない。
「お、お邪魔しま~す。」
勇気を出して家に上がってみるが、まるで錆びた機械のようにぎこちない。
自分が自分じゃないみたいだ。
いったい僕は何を期待しているのだろう。
期待?
あれ?・・・僕は何かに期待しているらしい。
考えてみれば、生まれて此の方期待なんてしたことがあっただろうか。
頭の中で『希望』という字が浮かんだ。
自分でも訳が分からず、内心混乱したままだ。
それでもどこかで冷静な僕が、心の片隅で思っていた。
今日という日が特別で、それを自分は一生涯忘れはしないのだろうと。
僕の知らない感覚。
自分の中にある意識ではコントロール出来ない強い感情。
それを自覚した時、僕は再びこの世界と繋がっていた。
同じ小学校に通う、小学3年生。
彼が入学した時は、その人目を惹く容姿や財閥の家の子という話も相まって、あらゆる憶測と共に保護者を中心にしてあっという間に噂が広まった。
彼を知らない者なんて、この学校にはいないだろう。
クラスが違ったのもあるけど、僕はみんなより彼に気付くのが遅かったようだ。
最初はその字面から知った。
廊下に貼り出されていた書き初め。
今となっては、なんと書かれていたかは覚えていないけれど、その端っこにひらがなで書かれた『しゃずき ともゆき』という名前に僕は興味を持った。
『しゃずき』というあまり聞き慣れない苗字に、どんな漢字を書くのだろうという、ごく単純な疑問からだ。
彼の事を知るのはそんなに難しいことではなかった。
ふと耳を澄ませてみれば、クラスメイトの女子はいつだって彼の話で持ち切りなのだ。
彼女たちに聞いてみれば、欲しかった答えの10倍の情報が返ってくる。
素晴らしい諜報活動だと思うが、その信憑性には怪しい所も多い・・・。
『赤築』 『灯雪』
初めてその字を知った時、僕は違和感を覚えた。
最初に受ける漢字のイメージと、後に続く名前のイメージがかけ離れていてしっくりこないのだ。
どこか禍々しさすら感じるその苗字に、容姿も相まってか、淡く光る無垢な雪を連想させるその名前が、どうしても両極端に思えてしょうがない。
とは言っても、苗字も名前も自分で選んだ訳ではないだろうし、特に苗字なんて選り好みできるものではない。
僕がどうこう思ったところで、何にもならない。
だからどうした、というものだ。
「・・・・・。」
大豪邸のエントランス。
僕は今、灯雪くんの家で幼児に睨まれていた。
なぜそんな流れになったかというと、簡単に言えば僕が間抜けであるからだ。
あの後、灯雪くんはこんこんと少年たちを説き伏せていたのだが、僕は突然すっとんきょうな声を出していた。
今朝あれだけ言われていたのに、家の鍵を持って来るのを忘れたからだ。
今日は夕方まで家族みんな出かけている。
鍵を持っていくのを忘れないようにと、お母さんに散々言われていた事を思い出したのだ。
僕の「あっ!」という声に、呆気にとられる灯雪くんたち。
事情を聞いた少年たちは「何やってんだよ」「馬鹿だな」と口々に言っていたが、そんな時灯雪くんが言ったのだ。
「じゃあ、うち来るか?」って。
もちろん断った。
僕はそこまでおこがましくない。
でも、灯雪くんが少年たちにも「お前らも来いよ。一緒に遊ぼうぜ。」というと、彼らは「行く行く!」と二つ返事で答えた。
何だか面白くない。
そんなこんなで、「遠慮すんな」と灯雪くんに連れて来てもらった僕は、今に至る訳である。
少年たちは、一度家に帰って昼を済ませてから集合することになっていた。
そしてどういう訳か僕は、灯雪くんに弟だと紹介された男の子から、半眼で凝視されている。
「こ・・・、こんにちは~幸希・・くん?」
都心の一等地に建つ、広大な敷地の重厚感ある邸宅に圧倒されていたのも束の間、廊下の奥から駆けて来た幸希くんが、「兄さんおかえりっ!」と無邪気に灯雪くんに抱きついた。
3、4歳ぐらいだろうか。
まだ幼いながらも、きりりとした知性的な容姿は、間違いなく将来イケメンに育つ事が約束されている。
自分にも3つ下の弟がいるが、こんな風に熱烈に迎えられたことはない。
なんて可愛い弟だろう、さすが灯雪くんの弟である。
そう思っていたのだが、どういう訳か僕に向けられる表情は冷ややかだ。
「・・・兄さん・・また変なの拾って来て・・、こんな小汚いのうちじゃ飼えないよ。元いたところに返して来てもらお?ね?」
あれ?いま、可愛い幸希くんから、ものすごい人権を侵害する言葉が聞こえたような・・・。
いや・・・実際全身泥まみれな訳で、幸希くんが嫌がるのも当然なんだけど。
「こんな小汚いの」と僕を見て言う幸希くんは、次の瞬間には甘えた表情で灯雪くんに話しかけている。
まるで餌をねだる猫のようだ、などと呑気に考えていると灯雪くんが顔をしかめる。
「バカッ、なんてこと言うんだよっ。こいつは俺の友達だ、失礼な事言うな。ほら、ちゃんと謝れ。」
「友達」と言う言葉に感動して、一瞬思考が止まる。
さっき会ったばかりのこんな情けない僕を、友達などと言っても良いのだろうか?
僕が良いやつとも限らないのに家にまで上げて・・・いつか悪い奴に騙されはしないかと心配になってくる。
「・・・ごめんなさい」
蔑んだ視線で、しおらしい声の謝罪を受けたのは初めての経験だった。
随分器用な事をする子だ。
「そういえばお前、名前なんて言うんだ?」
弟の頭を撫でていた灯雪くんが、ついでとばかりにぞんざいに聞いてくる。
友達と言いながら名前すら知らないという兄に、さすがの弟も呆れた表情をしていた。
僕がいうのも何だが、灯雪くんは相当マイペースな性格をしているようだ。
「猛・・・大貫猛って言うんだ。」
「猛か、来いよ。俺の部屋二階なんだ。」
そう言って、さっさと階段を上っていく灯雪くん。
ちょっと拗ねた表情をした弟は習い事があるようで、使用人らしき人と渋渋去って行った。
やっぱり可愛いなと微笑ましく思う。
階段を上りきった灯雪くんが、二階から声を掛ける。
「早く来いよ。何してんだ?」
こんな立派な豪邸に、泥まみれの自分が上がり込んで良いのだろうかと躊躇してしまう。
「僕、汚れてるからここで良いよ。」
たまらずそう言うと、灯雪くんが首をかしげる。
「汚れてる?ハハ・・お前面白いなぁ。」
何も面白い事は言っていない。
大丈夫だろうか灯雪くん・・・。
「よく見ろよ。お前と俺いい勝負だぜ?」
そう言われて改めて見ると、確かに灯雪くんは全身土で汚れていた。
「さっきまで用務員のおじちゃんと花壇弄ってたからな・・・、一応外で払って来てはいるけど、今朝雨だっただろ?泥がついちまってよ。」
何で気付かなかったのだろう。
自分でも不思議だ。
多分、灯雪くん自身があまりに清廉としているから、服の汚れなんかに目がいかなかったのだろう。
灯雪くんならボロ切れ着てても美しいと思う。
「猛ってなんか、可愛いな。」
・・・・・。
突然、灯雪くんが微笑んで、おかしな事を言い出した。
いやいや、そんな事言われた事ないし、君の方が何兆倍、何京倍・・・もう比べるのもおこがましい程可愛いよ!
そう思うのに、体がカッと熱くなるのを止められない。
「来いよ、俺の服貸すから。」
ちょっと困ったように笑う灯雪くん。
その顔を見ながら、胸の鼓動がドキドキと高鳴っているのを自覚する。
何だろう・・・この感じは?
まるで世界が躍動しているようだ。
初めての感情に頭がついていかない。
「お、お邪魔しま~す。」
勇気を出して家に上がってみるが、まるで錆びた機械のようにぎこちない。
自分が自分じゃないみたいだ。
いったい僕は何を期待しているのだろう。
期待?
あれ?・・・僕は何かに期待しているらしい。
考えてみれば、生まれて此の方期待なんてしたことがあっただろうか。
頭の中で『希望』という字が浮かんだ。
自分でも訳が分からず、内心混乱したままだ。
それでもどこかで冷静な僕が、心の片隅で思っていた。
今日という日が特別で、それを自分は一生涯忘れはしないのだろうと。
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